107年の歴史で「最も熟考された1台」 ベントレー・トルカル 膨大な時間をかけたV8サウンド ポルシェやアウディと技術共有 試作車の見事な第一印象
世界で初めて許された同乗
筆者が腰掛けると、リアドアが静かに閉まった。英国を代表するブランドの1つを率いるフランク・ワリザー氏は、107年に及ぶ歴史を振り返り、「最も熟考された1台」だと表現する。ベントレー・トルカルのことだ。
【画像】UK編集部が世界初の同乗取材!ベントレー初のバッテリーEV『トルカル』と現行モデル 全106枚
タイヤが転がり始める。特徴的なサウンドとともに。開発に関わる人を除いて、世界で初めて、AUTOCARは同社初のバッテリーEVへの同乗が許された。

ベントレー・トルカル(プロトタイプ)
プロポーションは、ベントレー・ベンテイガより短く低い。しかし、乗員空間の広さは同等が目指されている。膝前にも頭上にも、かなりの余裕がある。
内装は、メリノウール張りのシートにオンブレ・ベニア・ウッドトリムなど、過去にはないラグジュアリーな演出で仕立てられるという。プロトタイプだから、その殆どは入念にカモフラージュされていたが。
「キュレーション・エンジン」で制御される体験
リアシートから少し体を起こし、製品ディレクター、マーティン・ペイジ氏が運転する様子をうかがう。ダッシュボードを覆うカバーを少しめくりながら、デザインの経緯を彼が説明する。その口調から、伝統的な雰囲気を好む顧客が多かったことが滲む。
タッチモニターが回転して姿を表すような、仕掛けは見当たらない。レバーが突き出た、「オルガンストップ」スタイルのエアコン用物理スイッチもない。ダッシュボードの端から端まで、ドアパネルと続くように、間接照明が点っている。

ベントレー・トルカル(プロトタイプ)
その光は、メーター用モニターやタッチモニターと連動。ガラスのようなコントローラーで選ぶドライブモード、「キュレーション・エンジン」で制御される。
モードは、お約束のベントレーの他、コンフォート、スポーツ。新たに、リフレッシュも加わった。パワートレインにサスペンション、ステアリングの特性だけでなく、エアコンやマッサージ機能、間接照明、モニターのグラフィックなどが変化する。
ベントレーが追求してきた乗り心地を体現
中央のタッチモニターは台形で、僅かにカーブしている。上下にスワイプする際、自然に指が辿る軌跡へ合わせたという。ドライブモードを変えるたび、タッチモニター全面へカラフルなアニメーションが描かれる。
少し目障りかもしれないと話すと、「お望みなら、ピュアという設定があります。視覚的な演出をなくして、シンプルにモード変更できますよ」とペイジが答える。納得だ。

ベントレー・トルカル(プロトタイプ)
走るのは、アメリカ・カリフォルニア州のペブルビーチ。気付けばだいぶ進んでいたようだが、不快な揺れも音も、まったく感取されない。かといって、雲の上のよう、というわけでもない。しっかり路面を掴むような、優れたバランスの姿勢制御にある。
低速域では、22インチのホイールを通じて、僅かにロードノイズが届く。少し隆起したマンホールの蓋を通過すると、お尻へ優しい揺れが伝わる。あくまでも、安定した走行へ不可欠な範囲で。ベントレーが追求してきた、乗り心地にある。
ポルシェやアウディとパワートレイン技術を共有
トルカルがベースとするのは、ポルシェ・カイエン・エレクトリックなども採用する、フォルクスワーゲン・グループのPPEプラットフォーム。サスペンションは前後とも2チャンバー式エアスプリングで、後輪操舵にアクティブ・アンチロールバーも備わる。
駆動用モーターは、前がアウディQ6 e-トロンと共有。後ろのユニットは、108.0kWhのバッテリーや電圧800Vの制御システムも含めて、カイエン・エレクトリックと関係性が深い。カリフォルニアの海岸線は交通量が多く、控えめにしか走れないが。

ベントレー・トルカル(プロトタイプ)
回生ブレーキ用パドルは備わらないようだが、効きは自動か固定、惰性走行の3段階から選択できる。航続距離は、約2.7tの車重でありながら、595kmと悪くない。
膨大な時間を投じたV8エンジン風サウンド
車内には、ベントレーが膨大な時間をかけて収録・分析し、ミュージシャンの手でリズムや抑揚が再現されたという、V8エンジン風サウンドが再生される。アクセルペダルの操作やスピード、ドライブモードによって、複雑に変化する。
ベントレー・モードでは控えめに響き、スポーツ・モードでは主張が増す。車外にも再生されるが、あくまでも上品なボリュームだ。

ベントレー・トルカル(プロトタイプ)
リアシートから観察する限り、非常に運転しやすそう。重さも実感しにくいようだ。ホテルへ戻るまでの道中、ペイジは心地良く時間を過ごしているように見えた。車寄せに入ると、自律運転システムが稼働。トルカルは、自ら出発時と同じ場所へボディを戻す。
フライングスパー級に、外界から隔離されたベントレーに仕上がっているのかは、まだわからない。デジタル技術に関しても、まだ未知数。それでも、トルカルの快適性や音響は、間違いなくベントレー。その第一印象は、極めて素晴らしい。
ベントレー・トルカル(プロトタイプ)のスペック
英国価格:約18万ポンド(約3870万円)
全長:-mm
全幅:-mm
全高:-mm
最高速度:-km/h
0-100km/h加速:4.0秒以下(予想)
航続距離:595km(予想)
電費:-km/kWh
CO2排出量:-g/km
車両重量:2700kg(予想)
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:108.0kWh
急速充電能力:-kW(DC)
最高出力:862ps(予想)
最大トルク:-kg-m
ギアボックス:1速リダクション/四輪駆動

ベントレー・トルカル(プロトタイプ)

