「自首なり出頭なりしてきなさい」 娘を殺害した犯人を追う父親の執念 ー上智大生殺人放火事件からまもなく30年【news LOG】
事件が起きたのは30年前の1996年9月9日。当時21歳の小林順子さんが首を複数箇所刺されて殺害されたうえ、自宅は放火されました。今も事件は未解決のままです。
“娘の命を奪った犯人を絶対に逃がさない”
今年で80歳となった父・賢二さんの執念の30年を追い続けました。
■アメリカ留学の2日前に事件 父「なぜ娘が、、、」

上智大学に通い、英語を教えるボランティアに取り組んでいた小林順子さん。将来は得意な語学をいかし、ジャーナリストを目指していました。
その夢をかなえるためアメリカに留学する2日前。順子さんが1人で自宅にいたときに事件は起きました。
自宅が火事になり順子さんが亡くなったことを出張先で知った父・賢二さん。自宅に戻ると、警察から娘が何者かに殺害されたと告げられました。
父・小林賢二さん
「『なぜわが家が、なぜ娘が、誰が』事件当日からずっと頭離れない」
■殺人事件の時効撤廃を社会に訴え続けた

当初、顔を出さずに取材に応じていた父・賢二さん。
「犯人に対しては考えるだけで怒りがこみあげてまいります」
事件の遺族だと周りに知られたくない思いがあったといいますが、事件から12年、父・賢二さんの心境に変化がありました。
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記者
「顔を出してお話しすることはすごい決意だと思います、どういう思いから?」
父・賢二さん
「とにかく世論を盛り上げて(時効)制度撤廃に向けて進めていこうと」
当時、殺人事件には時効があり(順子さんの事件は時効15年)、順子さんの事件は時効まで3年に迫っていました。賢二さんは他の事件の遺族とともに、時効撤廃を訴える「宙(そら)の会」を結成し、署名を集めるなど社会に訴え続けました。
当時から20年以上取材を続ける森田陽子記者に、父・賢二さんは時効撤廃への思いを明かしていました。
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森田記者
「時効制度というのは遺族の方にとってどういうものなのでしょうか?」
父・賢二さん
「あってはならない」
「時間がくれば犯人が無罪に等しいということになるわけですから。しかし一方で被害者の気持ちは未来永ごう変わらないわけですから」
■父・賢二さんの思いが国を動かす

2010年、遺族を代表して国会で意見を述べることになった賢二さん。
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「私たち遺族の犯人への憤りは増すことがあっても薄れることは決してありません。他方、このような殺人事件が1件でも少なくならないかという強い願いがあります。」
「その根底には、殺害された者、そして遺族になった私たちと同じような無念の生涯を味わっていただきたくないという思いがあるからです」
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そして、時効まで1年半に迫っていた2010年4月。
殺人事件の時効が撤廃されました。
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「あえて娘に語りかけるとすれば『お父さん頑張っただろ』とそんなことを語りかけたいと思っています」
■事件から30年 未だ犯人は見つからず

「今日犯人が見つかるのではないか」、「明日犯人が見つかるかもしれない」...情報提供を呼びかけ続けてきた父・賢二さん。
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殺人事件の時効が撤廃され、犯人を追い続けられることになりました。しかし、犯人が捕まらないまま。
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8年前、賢二さんは大病を患い、15時間にわたる手術を受けました。
『事件解決するまで死ねないな』
入院の連絡を受け駆けつけた森田記者が、賢二さんから聞いた言葉です。
■体力は衰え、不安も…

事件から30年、父・賢二さんに今の思いを聞きました。
「30年という言葉は一口で言えば簡単だけどね。365日をかけるともう1万日超えるわけですよ」
「妻は朝と夕飯で陰膳を毎日あげて、私は朝お線香をあげて、そういったルーティンを1万回を超える回数をずっと重ねてきているわけですね」
「こんなに時間がたってしまったかと」
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今年7月、賢二さんは順子さんの墓参りへ。
父・賢二さん
「順子の遺骨が左側の方に入ってるんですよ。だからいつも来ると左側を『ぽんぽんぽん』って」
母
「『来たよ』って」
今年6月には、80歳の誕生日を迎えました。
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「やっぱり体力の衰えは著しい」
「いつまでこの生活を続けられるんだろうという不安もあるし、何よりも事件解決が先かいよいよ私の寿命が先なのか」
■父「自首なり出頭なりしてきなさい」犯人の“有力な手がかり”も

殺人事件の時効が撤廃されたことで、容疑者の検挙にいたったケースはこれまでに5件あります。去年10月には、名古屋市で高羽奈美子(たかば・なみこ)さんが殺害された事件の容疑者が、26年の時を経て逮捕されました。逮捕の決め手のひとつとなったのが、現場に残されたDNA型です。
実は順子さんの事件でも、現場にあった布団やマッチ箱から犯人のものとみられる血痕が見つかっていて、DNA型が検出されました。犯人逮捕への有力な手がかりとなる可能性があります。
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「16年前に時効が撤廃になったわけだし、(犯人は)逃げ切るわけにはいかない。そういった法律ができあがったわけですから
犯人は覚悟を決めて『自首なり出頭なりしてきなさい』と画面を通じて訴えたいと思います」
(9月5日放送『news LOG』より)
【情報提供】警視庁亀有署特別捜査本部
03-3607-0110
