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8月30日に行われた高山市長選。その裏で、選挙権のない子どもたちによる、もう1つの“市長選”が行われていました。選挙を自分たちの手でつくった、地元高校生たちの挑戦に密着しました。

【写真を見る】1票に試行錯誤… 高校生が企画した「こども選挙」 結果は“大人”と真逆に!? 「子どもの声を政治に」 岐阜・高山市

現職の田中明さん(65)が新人との一騎打ちを制した、8月30日の高山市長選挙。この街の将来を託す選挙に参加していたのは、有権者だけではありません。

(斐太高校3年 切手佑樹さん)
「こどもの、こどもによる、こどものための選挙です」

その名も「こども選挙」。選挙権のない18歳未満の子どもたちが、市長選の候補者に1票を投じます。

選挙権ない子どもたちの声も「政治」に

企画したのは、県立斐太高校3年の切手佑樹さん。高校生活最後の夏、政治を身近に考える機会を作りたいと仲間と動き出しました。

(斐太高校3年 切手佑樹さん)
「生徒会選挙には全員が投票するのに、街のトップを決める選挙に無関心なのは、僕はちょっと違うと思っている」

こども選挙は、選挙権のない子どもたちの声も政治に届けようと、4年前に神奈川茅ヶ崎市で始まった試み。今や全国に広がり、政治家に子どもの目線を意識させることが期待されています。

「高山のためにできることを」運営メンバーは市内の高校3年生23人

今回、企画から運営まで子どもたちだけで行うのは、高山が全国で初めて。

(実行委員)
Q.周りの同級生は何をやっている?
「勉強…(笑)」
「勉強も大切だけど、これから(卒業後)高山を離れるので、高山の繁栄のためにできることは今しておかないと」

運営メンバーは市内の高校3年生23人。中にはこんな生徒も…

(斐太高校3年 池田晃太朗さん)
「政治家になりたいですね。自分の暮らす街や国に還元できる最適な職業は政治家なのかなと思っている」

掲げる目標は2500票。前回市長選の若者(18~24歳)の投票率37.8%を上回る、40%を目指します。

行政のバックアップも受けて…本物さながら

選挙の2週間前、生徒たちは新人候補者・益田大輔さんの選挙事務所へ。

(益田大輔候補)
Q.市長に立候補した一番の理由は?
「ズバリ!高山を変えたいと思ったからです。高山のエンターテインメントを本気で考える部署を作りたい」

SNSで発信するための、候補者インタビュー。2人の候補者の主張を公平に伝えるため、質問内容も長さも同じにします。

そして、8月26日。

(実行委員)「投票お願いします!」

期日前投票がスタート。市内4つの学校に設置された投票箱と記載台は、市が予備に持っている本物。行政のバックアップも受け、模擬選挙とはいえ真剣そのものです。

初日の投票者数は50人 想定の半分に…

投票用紙には、候補者の名前とは別にメッセージ欄も。こども選挙は、このメッセージを伝えるのが大きな目的で、投票数とともに選挙後に各候補者に届けられます。

(投票した2年生)
「高齢者とか大人のことを考えた市長もいいけど、子どものことも考えている人に市長をやってほしいと思います」

滑り出しは、順調に見えましたが…

(実行委員)
「もっと関心持つと思ったんやけどな…投票ってそんなに難しいことじゃないから、学校で開催されていて気軽にいける」

初日の投票者数は50人、想定の半分でした。

投票率を上げるため、投票箱の移動を校長へ相談するも…

そこで、生徒たちは...

(斐太高校3年 池田晃太朗さん)
「(投票を)視聴覚室でやらせていただいているんですけど、投票箱を文化祭の受付で使う外へ移せないか」

(校長)
「今からってこと?」

視聴覚室から多くの目に触れる校門の前へ、投票箱を移動したいと校長に申し出ます。

(校長)
「それはでも、選挙の趣旨と違う気がするけど。『投票場所はここです』と広報してやっているので」

(斐太高校3年 池田晃太朗さん)
「その通りなんですけど…投票することがどういうことなのか1人でも多くの人に体験してもらいたい」

(校長)
「俺もさっき見に行って思ったけど、あんまり来ていない。本物の選挙でも同じことが課題にある」

一旦決めた投票所の移動は、もちろん実際の選挙でも行われないこと。政治への関心を呼び起こす難しさを、身をもって痛感する高校生たちです。

(斐太高校3年 切手佑樹さん)
「扱っているものが選挙なので、やはり壁は高かったなという感じ。もう少し広報活動頑張ります」

投開票日当日 小学生の姿も

そして迎えた、8月30日の投開票日。市内4箇所に投票所が設けられ、小中学生たちの姿も。

(小学生)
「18歳以下の人は投票できないのに、行けると聞いたから来た。高山に地下鉄を作ってほしい!」

(中学生)
「(投票は)こんなに簡単なんだなと思いました。面倒くさがらずに行けばいいのになと思いました」

(斐太高校3年 切手佑樹さん)
「午後8時になりました。たかやまこども選挙 開票を開始します」

いよいよ開票作業。1枚ずつ確認しながら慎重に仕分けていきます。

そして、午後10時半過ぎ…実際の高山市長選では、現職の田中さんが新人の益田さんを僅差で破り当選を果たしました。

「1票合わない…」 開票作業でまさかのトラブル

一方、こども選挙の方ではトラブルが...

(実行委員)
「ない!やばい全部おかしい!」
「持って帰ったとかないよな?さすがに」

投票した人数と、票の数が「1票」合いません。

(斐太高校3年 切手佑樹さん)
「2重交付の可能性は?紙を2枚渡した可能性はない?」

机の下やポケットの中まで探しますが、見つからず。切手くんの決断は…

(斐太高校3年 切手佑樹さん)
「有権者が1枚持ち帰ったという推定のもと、持ち帰り票1という判断で公表します」「たかやまこども選挙の結果は、益田大輔さん508票・田中明さん377票・無効票1・持ち帰り票1 計887票で確定します」

結果は“大人”と真逆に!? 

投票率14%。こども選挙では、新人の益田さんが131票上回り、実際の選挙とは反対の結果になりました。

(斐太高校3年 切手佑樹さん)
「この一票がとても悔しい。ただ、子どもたちが一生懸命、投票用紙に思いを書いてくれたのがうれしい」

今回、投票とともに寄せられた「子どもたちからのメッセージ」には、若い世代が暮らしやすい街づくりを求める声が。

政治に関心を持ってもらう難しさと、1票の重みを身をもって知った高校生たち。その挑戦は、政治と街の未来を真剣に考えるきっかけとなったようです。