「特別支援学級を担当したら『大出世』とバカにされ…」ひまわり組、たけのこ組…名称が差別に?担任教師が明かす現実

先月、SNSに投稿されたある声が話題になった。「小学校の支援級を『ひまわり組』や『たけのこ組』って名称つけるのはやめてもらいたい。これこそ差別の始まり」というものだ。特別支援学級にだけ独特の名前がついていることに違和感があるという子どもの声を、保護者が代弁した形だ。
ネット上では「気持ちがすごくわかる」「バカにしていると思った」といった共感の声もあれば、「名前を変えても実態は何も変わらないのでは」との指摘もあった。名称に限らず、特別支援学級として分けることは、“区別”なのか“差別”なのか。『ABEMA Prime』では、当事者・教員・保護者、それぞれの立場からこの問題を考えた。
■「〇〇組」の名前と、教師の間にもある差別意識

特別支援学級の担任を務める遠藤さんは、同僚の教師から受けた言葉に驚いたという。「『あの先生、仕事できないから特別支援入ったんだよね』と悪口を言ってきた。私が実際に特別支援を担当することになったときは『大出世ですね』と、人をバカにしたような言い方をされた」と振り返る。
先生の子どもに対する扱いにも疑問を感じることもあるという。「理科や社会、体育などの授業では、特別支援から通常級に『交流』として行くことがある。その際に使う机が、普段はいないからと、物を置く場所にしていたりする」と語る。
「子どもは先生を見ている。先生が差別的な考えや価値観を持っていると、それが子どもに吸収されて、学級の中が『差別していいんだ』という雰囲気になってしまう」と警鐘を鳴らした。
担任として同僚の視線に悩まされた経験もある。「特別支援では自立が目標なので、何でもやってあげるわけではない。自分でできることは自分でやってもらう。ある程度見守ることが必要だが、周りの先生からは『なんであの人は何もやらないんだろう』という視線を感じることがあった」と述べた。
■保護者・トクシマさん「そもそも学級が足りない」

中学生の子どもが特別支援学級に通っているトクシマさんは、環境そのものの不十分さを指摘する。「都内は支援学級自体が少ない。希望する支援学級に入れず、遠いところを案内される。障害があると分かっている子が、混雑した電車やバスに乗って通わなければいけないのは、すごく負担だ」と語る。
トクシマさんは、特別支援学級の設置状況には地域差があると指摘する。 子どもが特別支援学級に入った頃、住んでいる自治体では、支援学級がある学校は3割ほどだったという。 「保育園や幼稚園で一緒だったお友達と、同じ学校に通えない、一番近い学校に通えない」と説明し、遠い学校まで電車などの公共交通機関で通うよう求められる状況について「非常に差別的に感じました」と訴えた。さらに、在籍する子どもは増えていることに触れ「30人以上というのもざらにある。ギュウギュウの過密状態だ」という。
地域による違いについては、「大阪府は特別支援が進んでおり、ほぼ全校に設置されている」と紹介。一方で、東京都については「子どもが入った頃には、私の自治体では3割ぐらいしか支援学級がなかった」と説明した。
名称については「私の子どもは気にするタイプではなかったが、中には嫌だと言っている子もいた」と話した。また、周囲の保護者から「〇〇学級」という名称を使って通常級の子からかわれたケースも聞いたという。
■専門家が指摘する「インクルーシブ教育」の可能性

こうした中、議論では「インクルーシブ教育」にも焦点が当たった。障害などの有無にかかわらず、子どもたちが可能な限り同じ場で共に学ぶことを目指す考え方だ。
インクルーシブ教育を研究する学習院大学教授の小国喜弘氏は、遠藤さんが話した「温かいクラスを作れる先生ならどんな子がいても大丈夫」という考えと、トクシマさんの「幼稚園で一緒だった友達と一緒に通いたい」という思いを踏まえ、「この2つを合わせると、普通学級でみんなが暮らせるようなことができれば問題がない」と語った。
また、2022年に国連が日本政府に対し、分離を永続化する教育をやめるよう勧告したことに触れ、「地域で友達と一緒に学ぶことは人権であり、公教育が保障すべきものだ。日本はあらかじめ分けた上で、一部の時間を一緒にするという逆転した形になっている。結果として“お客様扱い”される子が出てきたり、差別構造の中でバカにされてしまう現状が生じている」と指摘した。
欧米の大規模調査では、インクルーシブな環境の方が障害児とされる子どもの学力が上がり、他の子どもも下がらず、むしろ上がる傾向があるという。「助けたり助けられたりが当たり前の環境になる。友だちに『今の授業分からなかった』と聞けるようになる」と説明した。
一方、遠藤さんは実現の難しさも指摘する。本来、特別支援は専門性の高い仕事である一方、自身のような講師が「穴埋め要員」として配置されたり、普通学級でうまくいかなかった教員が特別支援に回されたりするケースもあると説明。「それをできるだけのリソースや制度が、ちゃんと揃っているかどうかの話だ」と述べた。
トクシマさんは「学籍は一緒で、授業ごと・活動ごとに柔軟な形が取れればいい。ただ、日本の学級規模は先進国でも最大級に大きい。規模自体も減らさないと、先生も子どもも負担が変わらない」と語った。
小国氏は最後に、「一緒に学ぶことを基本にした上で、一部の時間を特別な訓練にあてる形へと転換していく必要がある」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
