イケアさんへ。アレルギーっ子の息子に人生初のソフトクリームをありがとう

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イケアでの買い物を終えたあと、家族で食べるソフトクリーム。多くの人にとっては、いつもの楽しいひとときかもしれない。けれど、乳アレルギーのある息子にとって、ミルク味のソフトクリームは長い間、「食べられないもの」だった。そんな我が家の景色を変えてくれたのが、イケアの「プラントベースソフトクリーム」だ。乳製品を使わず、植物由来の原料でつくられた、なめらかなソフトクリーム。しかも価格は、わずか税込50円。さらに通常のプラントベースソフトクリームに加え、新商品としてよくばり盛りプラントベースソフト(税込¥100)も登場している。おいしく、手軽で、誰もが選びやすい。一つのソフトクリームに、イケアの考える「より快適な毎日」が詰まっていた。

ソフトクリームは、買い物の最後のお楽しみ

イケアへ行くと、買い物を終えたあとにソフトクリームを食べたくなる。

広い店内を歩き回り、家具や雑貨を眺めたあとの、ちょっとしたご褒美。50円という手頃な価格も相まって、イケアのソフトクリームは多くの人に親しまれてきた。

けれど、乳アレルギーのある息子にとって、ミルク味のソフトクリームは食べられないものだった。家族の誰かが食べている横で、息子だけが別のものを選ぶ。

あるいは、みんなで食べること自体を諦める。そんな場面は、我が家にとって決して珍しいことではない。

もちろん、食べられないものがあることは理解している。

それでも、家族みんなが同じものを手にして、同じタイミングで「おいしいね」と言い合える時間は、やっぱりうれしい。

人生初のプラントベースソフトクリームを恐る恐る食べる息子。場所はIKEA横浜

いつものミルク味が、プラントベースになった

2023年10月、イケア・ジャパンは、全国のイケア店舗で「プラントベースソフトクリーム」の販売を開始した。植物由来の原料でつくられ、乳製品は一切使用していない。

それまで提供されていた乳を使ったミルク味のソフトクリームに代わり、定番商品として登場した。

期間限定の特別な味ではない。レモン味やラムネ味でもなく、多くの人が慣れ親しんできた、あのミルク味を目指して開発されたソフトクリームだ。

初めて知ったとき、私は驚いた。

乳を使わない商品を追加したのではない。それまでのミルク味そのものを、プラントベースへ切り替えたのだ。

食事に制限がある人のためだけに別の商品を用意するのではなく、誰もが同じ商品を自然に選べるようにする。その決断に、イケアらしさを感じた。

家族みんなで、同じソフトクリームを食べる

息子と一緒に、プラントベースソフトクリームを手にした。

見た目は、誰もが思い浮かべる白いソフトクリームそのもの。なめらかで、やさしい甘さがある。乳製品を使っていないことを意識せず、家族みんなで同じ味を楽しめる。

そのことが何よりうれしかった。

食物アレルギーがあると、商品を選ぶときに、まず原材料を確認する。

「食べたいか」よりも先に、「食べられるか」を考える。それが毎日の習慣になる。

だからこそ、特別な準備をしなくても、買い物のついでに立ち寄り、家族みんなで同じソフトクリームを食べられることが、とてもありがたい。

ソフトクリーム一つの話かもしれない。でも、我が家にとっては、家族の楽しい時間が一つ増えたということだった。

プラントベースソフトクリームがあまりに美味しかったようで、プラントベースソフトクリームを食べるためだけにIKEA横浜に再来訪。2個購入して独り占め(笑)

おいしく、簡単で、手頃な価格でなければならない

イケアは、人と地球にポジティブな影響をもたらす、より健康的でサステナブルな食習慣とライフスタイルのきっかけを提供したいと考えている。

そのため、健康的でサステナブルな食事は、環境に配慮しているだけでは足りないという。

おいしく、簡単で、手頃な価格でなければならない。

この考え方が、私はとても好きだ。

どれほど環境に配慮した商品でも、価格が高く、手に入りにくければ、日常の選択肢にはなりにくい。

イケアのプラントベースソフトクリームは50円。以前の乳を使ったソフトクリームと同じ価格に設定された。

特別な人だけが選ぶ高価な商品ではない。誰もが気軽に選べる日常の商品として販売されている。

環境のために我慢するのではなく、おいしいから選ぶ。食物アレルギーがあるから仕方なく選ぶのでもなく、家族や友人と一緒に楽しめるから選ぶ。

そんな選択肢を50円で届けてくれることに、イケアの本気を感じた。

約2年をかけた、日本独自の開発

このプラントベースソフトクリームは、イケア・ジャパンによる日本独自の取り組みとして開発されたという。

プロジェクトが始まったのは、2021年頃。

国内の食品メーカーと協力してサンプルを試作し、一部店舗で約1カ月間のテスト販売を実施。利用者へのアンケートを行うなど、試行錯誤を重ね、約2年をかけて販売に至った。

一般的なソフトクリームでは、乳のコクが味の重要な要素になる。そこで、乳の代わりに使われたのが豆乳だった。

しかし、豆乳を多く使えば独特の風味が強くなる。粉末原料を含む約10種類の豆乳を比較し、豆特有の香りが少ないものを選定。甘味と塩味のバランスも細かく調整したという。

さらに、乳製品を単純に豆乳へ置き換えるだけでは、食感がシャリシャリしてしまう。ソフトクリームらしいなめらかさを実現するため、豆乳とほかの原料との配合にも工夫を重ねた。

50円の小さなソフトクリーム。その裏側には、約2年にわたる開発者の挑戦があった。

なぜ、定番のソフトクリームを変えたのだろう

記事を書きながら、どうしても気になったことがあった。

なぜイケア・ジャパンは、人気の高いミルク味のソフトクリームを、プラントベースへ切り替えるという決断をしたのだろう。

「プラントベースソフトクリーム」50円(税込)

従来の商品を残しながら、新しい選択肢を加える方法もあったはずだ。それでも、すべての利用者が同じ商品を楽しめる形を選んだ背景には、どのような想いがあったのだろう。

そして、約2年間の開発で最も苦労したことは何だったのだろう。

そこで、プラントベースソフトクリームの開発をリードした、イケア・ジャパン コマーシャル・フード・マネジャー 岩垣剛史さんにお話を伺った。

イケア・ジャパンに聞きました

--定番のミルク味のソフトクリームを、プラントベースへ切り替えようと考えた理由を教えてください。

イケアでは、よりサステナブルな暮らしを、より多くの人にとって身近で手軽なものにしたいと考えています。一方で、「環境に配慮したいけれど、何から始めればよいかわからない」と感じる方も多くいらっしゃいます。

そこで、多くのお客さまに親しまれているソフトクリームをプラントベースに切り替えることで、毎日の暮らしの中で、よりサステナブルな選択を気軽に取り入れていただくきっかけをつくりたいと考えました。特別な意識や我慢をすることなく、いつものようにおいしく楽しんでいただくことを大切にしています。

--日本独自の商品として、約2年間にわたり開発されたそうですが、最も苦労したことは何でしょうか。

最も苦労したのは、多くのお客さまに長年親しまれてきた定番のミルク味を、プラントベースでどこまで再現できるかという点です。

これまでにも、フルーツなどの風味を生かしたプラントベースソフトクリームを展開してきましたが、定番のミルク味は素材そのものの味わいが際立つため、より高い完成度が求められました。お客さまにこれまでと変わらないおいしさを楽しんでいただける商品を目指し、約2年にわたり試作と検証を重ねました。

また、テスト販売では「プラントベースだと気づかなかった」「おいしかった」といった声も多く寄せられ、商品化への大きな手応えにつながりました。

--豆乳特有の風味を抑えながら、ソフトクリームらしいコクとなめらかさを実現するために、特にこだわった点を教えてください。

プラントベースソフトクリームの原材料には、豆乳やえんどう豆などを使用していますが、豆乳特有の風味や、シャリっとした食感が強く出やすいという課題がありました。

そのため、素材の風味を活かしながらも、豆乳特有の香りを抑え、なめらかな口当たりとソフトクリームらしいコクを両立できるよう、原材料の配合や味わいのバランスを何度も調整しました。

--プラントベースソフトクリームを、以前と同じ50円で提供することには、どのような想いが込められているのでしょうか。

イケアのビジョンである「より快適な毎日を、より多くの方々に」を実現するためには、よりサステナブルな選択肢も、おいしく、手軽で、誰もが利用しやすい価格であることが大切だと考えています。

プラントベースフードを特別なものや高価なものにするのではなく、多くのお客さまに気軽に楽しんでいただきたいという想いから、従来と同じ50円という価格を維持しています。

イケアでは、環境への配慮をお客さまだけに委ねるのではなく、イケア自身が商品や価格を通じて、よりよい選択をしやすい環境をつくることも大切にしています。ソフトクリームを通じて、幅広いお客さまにプラントベースを身近に感じていただければと考えています。

--乳アレルギーのある方やそのご家族をはじめ、この記事を読む皆さんへメッセージをお願いします。

イケアでは、より多くの方においしい食事や楽しい時間をお届けできるよう、多様なニーズやライフスタイルに寄り添ったフードの提供を目指しています。

プラントベースソフトクリームは、植物由来の原材料を使用しながらも、ソフトクリームらしいなめらかな口当たりやコク、おいしさを大切にして開発しました。お子さまから大人まで、ご家族やご友人と一緒に、気軽に楽しんでいただければうれしく思います。

また、乳アレルギーをお持ちの方やそのご家族を含め、食事にさまざまな制約や配慮が必要な方にとっても、プラントベースという選択肢を知っていただくきっかけになればと考えています。

勝手に表彰します

今回、我が家が勝手に贈る賞は、「みんなで食べられる50円ソフトクリーム賞」です。

受賞企業は、イケア・ジャパン株式会社。

理由は、乳製品を使わないソフトクリームを、特別な商品としてではなく、誰もが気軽に選べる定番商品として届けてくださったから。

そして、おいしさも、なめらかな食感も、手頃な価格も諦めず、家族みんなで同じものを食べられる時間をつくってくださったからです。

50円のソフトクリームが、家族の買い物をもっと楽しくしてくれる。

「より快適な毎日を、より多くの方々に」というイケアのビジョンは、家具だけでなく、この小さなソフトクリームにも表れているのだと思います。

家族みんなで楽しめるソフトクリームを届けてくださり、本当にありがとうございました。

商品概要

商品名: プラントベースソフトクリーム

価格: 税込50円

販売場所: IKEA豊洲、IKEA横浜ベイクォーター、IKEA京都、IKEA岡山、IKEA広島を除く店舗

※在庫状況は店舗で異なります。取り扱い状況、原材料、アレルギー情報などは、購入時に店頭および公式情報をご確認ください。

・イケア・ジャパンのオフィシャルサイト

https://www.ikea.com/jp/ja/newsroom/range-news/20231017-plant-based-soft-pub79c2d320/

お問い合わせ先:イケア・ジャパン カスタマーサポートセンター

Tel:050-4560-0494

www.IKEA.jp

プロフィール/水野正和(みずの・まさかず)

10歳の息子を育てる父親。息子は幼い頃から小麦、卵、乳、そば、ピーナッツ、甲殻類、キウイ、桃などの食物アレルギーがあり、「食べること」と家族で向き合い続けてきた。医師の指導のもと、現在は小麦を食べられるようになるなど、一歩ずつ前進している。

「ありがとう」を伝えたい企業は、案外たくさんある。

この連載「勝手に企業表彰。」では、当事者家族だからこそ出会えた商品やサービス、そして暮らしを少し豊かにしてくれた企業への感謝を、一人の生活者として綴っていく。