脳科学者の茂木健一郎氏が、自身のYouTubeチャンネルで「宇宙と私たちを隔てるもの、そしてつなげるもの。」と題した動画を公開した。動画では、普段の生活で宇宙の存在を忘れがちな現代人に向けて、我々と大宇宙とのつながりや、インターネット社会における皮肉な現状について深い洞察を交えて語っている。

茂木氏はまず、太陽光が散乱して見える青空を「スクリーン」と表現し、我々を宇宙から隔離している遮蔽物であると指摘。夜になり星空が見えることで、そのスクリーンの向こう側にある宇宙の存在を意識できると語った。続けて、写真家の石川賢治氏による写真集『月光浴』でのエピソードを紹介。満月の光で万物を照らした風景を撮影する石川氏が、「地球の万物と宇宙が一つ繋がりになったような気がする」と語っていたことに触れ、青空という遮蔽物がなくなることで得られる宇宙との一体感の重要性を説いた。

また、高高度で太陽風のプラズマがぶつかって発光するオーロラについても言及。カナダなどの先住民族であるデネの人々の言葉で、オーロラが「目覚めた空」を意味することを紹介し、それが「大宇宙に関心を向けさせる一つのきっかけになる」と語った。さらに、我々の体を構成する原子が超新星爆発で生まれた重い元素である事実に触れ、「生命というものが宇宙にも満ちているという感覚は大事」と力説。一方で、現代人がインターネット上の些細な出来事にばかり気を取られ、「地表の上のコケみたいな生活をしている」と、大宇宙の存在をすっかり忘れてしまっている現状に警鐘を鳴らした。

最後に茂木氏は、実業家のイーロン・マスク氏が進める火星移住計画を「宇宙的意識の拡大」として評価する一方、現代の矛盾を突く。インターネット社会を支えているのが、マスク氏のスペースX社が展開する衛星通信「スターリンク」であることを引き合いに出し、「宇宙的規模に繋がるはずの衛星というものが、我々を地上のコミュニケーションに夢中にさせている」と指摘。「空の星として輝いているのが、なかなかちょっと皮肉な現代的な状況なのかな」と語り、宇宙の技術が皮肉にも我々を地上のネット社会に縛り付けているという、興味深い考察で動画を締めくくった。

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