「これは人気が出るのも納得」…熊本発の人気つけ麺店が、ラーメン激戦区で「爆売れ中」
とんこつラーメンの聖地・福岡県では昨今、とんこつ以外のラーメンを提供する「非とんこつ」と呼ばれる店が増えつつある。しかし、そうした言葉があるのは、いまだにとんこつ文化が根強いことの裏返しでもあるだろう。
そんな福岡で、2025年にオープンしたつけ麺店が行列を作っている。2010年に熊本県で誕生した「つけ麺 魚雷」だ。
長い歴史を育んできたとんこつの街で、人気を集めるつけ麺の実力を確かめに店に向かった。
とんこつ王国・福岡の人々も行列。「つけ麺 魚雷」の実力
店があるのは、福岡市の中心部である天神の南側、渡辺通りという地域。ここ数年は、おしゃれなBARなどの個人店が並び「裏天神」などとも呼ばれる街だ。
筆者が訪れたのは、平日の11時前。開店までは15分ほどあったがすでに先客が2組。最後尾につくと、開店までに5組7名が並んだ。列には、インバウンド客もいたが、近所からと思しき軽装の客も。福岡の人の舌も満足させるつけ麺であることは間違いないようだ。
もともと美容室だったという物件。暖簾がかかり、店頭のトリコロールのサインポールが回りだせば開店の合図だ。
店内はカウンターのみ10席。入ると同時に魚介系の香りが鼻をくすぐり、食欲をそそられる。
福岡県民には長い「麺の茹で時間10分」
注文したのは看板メニューである「魚雷つけ麺(300g)」(1,100円)。麺の量は200g・250g・300gまでは同額となっている。
パンチの強いスープに負けない力強い麺も特徴であり、その茹で時間は10分強とのこと。実際、11時5分にオーダーが通り、提供されたのは11:20だった。
数十秒で茹で上がり、数分で提供されるとんこつラーメンに慣れている福岡育ちの筆者には、やや待ち遠しい時間ではあった。とはいえ、茹でた麺を氷水でしっかりと締めるという工程をしていたため、致し方ないのだろう。
多くの福岡県民を唸らせる、スープから一口。数種類をブレンドしているという真っ赤な唐辛子がドサッと入ったスープは見るからに辛そうだが、最初に感じられるのは、魚介系の香ばしい香りと味。片口鰯や宗田鰹がふんだんに使われているとのことで、しっかりと主張がある。
それを口の中で味わっていると、第二印象として辛さがガツンと訪れる。辛いものへの耐性は、個人差があるため絶対評価がしにくいが、筆者にとっては「辛過ぎず美味しい」と感じられた。
なお、筆者は一蘭なら秘伝のタレ3倍、CoCo壱番屋なら3辛で注文する、やや辛いもの好きであることは参考まで。
そんな辛さの後から、ズッシリと重さを感じるようなコクと旨みがやってくる。「他では類を見ない」と自称するほどに、大量の豚骨と鶏ガラを炊き出していることで生み出されるパンチのある味わいだ。
また、印象的だったのは、確かに辛さは目立っているのだが、スープからは常に優しい甘みが感じられることだ。それによって、辛さが飛び道具ではなくなっているように思えた。
細麺文化の福岡であえて「中太」で勝負
これだけ主張の強いスープだが、麺がそれに負けてないのがすごい。つけ麺にしては、太さは中程度かやや細いくらいだが、すすってみると見た目以上に存在感と重みを感じる。
100年以上の歴史を誇る熊本県の老舗「富喜製麺所」に特注しているという、「つけ麺 魚雷」でしか味わえない麺。細麺が主流の博多ラーメン育ちである筆者は、麺をよく噛むことに慣れていないが、スープの味の奥から噛んでみると小麦の香りが立ち上がってくるのがわかる。
また、「辛過ぎない」という感覚は、冷やした麺で食べることにも一因があるように思えた。
辛さは熱いとより強く感じられるため、ラーメンでは辛すぎるところを、つけ麺特有の温度によってジャストの辛さに着地させているように感じられた。
スープに入った具材は、チャーシュー・のり・ネギ・玉ねぎ・メンマ。
肉厚のチャーシューは、スープの旨味を吸っていながら、噛むと肉自体の美味しさもジュワッと吐き出してくる。ガッツリしたものを求めている人も十分に満足できそうな一品。
ただ、個人的に好みだったのが、ネギと玉ねぎだ。濃厚を謳うスープとはいえ、食べ進めるうちに箸休め的なポイントも欲しくなるもの。そこにネギとみじん切りにした玉ねぎが、清涼剤のようにスッと入ってくるのが嬉しい。
それによって、次の一口が改めて濃厚さを受け入れられる状態になり、食事の後半にも飽きがこない。
最後に「スープ割り」をお願い。単に薄くなるわけではなく、魚介系の香りが最前面に押し出される味わいに変わり、新たな表情を楽しむことができた。
後編記事『熊本の人気つけ麺店が、ラーメン激戦区で売れまくる「納得のこだわり」』では、代表の松永佑佳氏にインタビュー。スープ完成までにどんな苦労があったのか?とんこつ文化圏である熊本・福岡において、なぜつけ麺だったのか? を聞いた。
