「功夫女足」の演出は「キャプテン翼」のオマージュか、それとも盗用か―香港メディア
2026年8月15日、香港メディアの香港01に「『功夫女足』は『キャプテン翼』のオマージュか、それとも盗用か」と題した記事が掲載された。
記事は、「チャウ・シンチー(周星馳)監督の最新作『功夫女足』には、高橋陽一氏原作の日本の熱血サッカー漫画『キャプテン翼』から着想を得た演出が数多く見られる。しかし『キャプテン翼』の全シリーズを読破した熱心なファンである筆者は、それらに不快感を覚えなかった。なぜなら、チャウ・シンチーは単に原作を模倣したのではなく、自らの発想を加えつつ、作品への敬意を表現していたからである」と述べた。
そして、「盗用とオマージュの違いは、映画ファンの間でたびたび議論されるテーマである。簡単に言えば、他作品の要素を借用しながら、それを隠して自分のもののように見せようとするのであれば盗用である。一方で、借用したことを隠さず、むしろ元ネタが分かるように示し、観客にもその出典を伝える姿勢であれば、それはオマージュと呼べる」と主張した。
その上で、「『功夫女足』における『キャプテン翼』の要素はどうであろうか。チャウ・シンチーはそれを隠そうとしていただろうか。劇中に登場する『至尊無敵杯』は国際大会であり、各チーム名こそ国名ではないものの、どの国をモチーフにしているのかは一目で分かる。それぞれの必殺技も、その国のイメージと結び付けられている」とした。
また、「日本を象徴する文化といえば、誰もがアニメや漫画を思い浮かべる。ほかの国が大胆な発想で描かれたため、日本だけが漫画の必殺技を繰り出すという演出は、むしろ極めて自然な流れである。さらに注目すべきは、チームの監督役を演じているのが日本の俳優・佐藤健である点だ」と言及。「彼は『るろうに剣心』シリーズ、『バクマン。』『亜人』『はたらく細胞』など、多くの漫画原作映画で主演を務めてきた。つまり佐藤が監督として登場した時点で、チャウ・シンチーは『これから始まる対日本チームの試合は、漫画の世界そのものとして楽しんでほしい』と宣言しているようなものである」と論じた。
さらに、「実は筆者は『功夫女足』と『キャプテン翼』の両方のファンであり、サッカーを媒介に香港式ナンセンスコメディーと日本の熱血スポーツ漫画が融合する作品を以前から見てみたいと思っていた。『キャプテン翼』を知る者にとって、本作の演出は新たな楽しみを与えてくれる。同時に、想像力を武器とする2人のクリエイター(高橋とチャウ・シンチー)の対話とも受け取れる」とした。
記事は、「近年は『自分が不快に感じた』という理由だけで極端な低評価を付ける観客も少なくない。『功夫女足』もそうした評価を受けやすい作品である。筆者は『キャプテン翼』の技の借用をオマージュと捉えているが、抵抗を覚える人がいることも理解できる」と述べた。
そして、「制作側もそれを意識したのか、これらの場面は予告編には含まれていなかった。また、コンパクトな物語構成、人物描写の薄さ、AI利用を思わせるCG表現、過去作へのセルフオマージュ、広告演出なども一部の観客には受け入れ難いだろう。公開2日目の豆瓣(Douban)では10点満点中6.6点だった。ただこの数字だけで興行成績が左右されるわけではない」と指摘した。
記事は最後に、「実際、多くの観客は『笑えて、楽しく、ストレスが発散できれば十分』を求めて劇場へ足を運んでいる。チャウ・シンチーはその大衆心理を的確に捉えており、物語はシンプルでも筋を通し、人物には必ず見せ場を用意する。『功夫女足』は彼の最高傑作ではないにせよ、多くの映画人が到底到達できない完成度を備えた作品であることは間違いない」と評した。(翻訳・編集/岩田)
