副業禁止の会社で副業をしています。会社にバレた場合、解雇されますか?
そもそも、本当に副業禁止?
「うちの会社は副業禁止だから、絶対副業はできない」そのようにお考えの方へ質問です。
ご自身で就業規則を確認しましたか? それは、思い込みや他の社員から聞いた不確かな情報ではないですか?
「自分で確認したことがない」という方は、最初の一歩として早速就業規則を確認して“副業”に関する規定の内容をチェックしましょう。
就業規則のどこに記載があるかは、会社によってさまざまです。独立した項目である場合や、服務規程全般の中に紛れ込んでいる場合もあるので、見つからない場合でも注意深く探してみましょう。
一般的に、副業に関する規定は大きく分けて次の3つがあります。
・副業を全面的に禁止している
・副業を禁止しているが、条件付きで許可する
・副業に関する規定がない、または作られていない
世の中では、副業はそもそも許可されているのでしょうか? 実はそうでもないのが実態です。2023年の調査によると、従業員の社外での副業・兼業を認めていない(または検討していない)企業は、全体の51.6%にも上ります(図表1)。
図表1
出典:厚生労働省 公益財団法人産業雇用安定センター従業員の「副業・兼業」に関するアンケート調査結果の概要 2023年(※1)
“副業”という言葉も昔と比べれば一般的になってきたとはいえ、副業を認めていない会社が少なくないのもまた事実です。
禁止されている副業がバレたら解雇される?
副業が禁止されているにもかかわらず、副業をしていることが発覚した場合、頭によぎる最大のリスクは解雇です。
しかし、本当に会社は従業員を解雇することができるのでしょうか?
この点については、「単に禁止している副業をした」という事実だけで会社が従業員を解雇することは、以下の法律を見ても、極めて難しいと言えます。
まずは、日本国憲法です。会社と雇用契約を結んでいても、勤務時間外の時間をどう使うかは本人の自由です。その権利は憲法で保障されています。
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」(憲法第22条1項)
ただし、会社による副業制限の有効性が同条だけで決まるわけではなく、就業規則や副業の内容、会社の業務への影響などを踏まえて判断されます。
また、労働契約法においては、客観的に合理的な理由を欠く解雇は無効とされています。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(労働契約法第16条)
したがって、会社が従業員を「禁止している副業をした」というだけで解雇するのは、極めてハードルが高いのが現状です。
さらに、従業員の副業は国もサポートしています。厚生労働省は国民が安心して副業や兼業に取り組めるよう、平成30年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定して、企業の副業解禁や推進を支援しています。
それでも解雇されるのはどのような場合?
副業禁止は個人の職業選択の自由を奪う可能性があるうえ、国も働き方改革の一環として推進していることが分かりました。しかし、だからと言って、副業禁止の会社で副業がバレたら解雇されるリスクがないわけではありません。
前述の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、企業が副業・兼業を禁止または制限できる場合として、以下のケースを挙げています(※2)。
(1)労務提供上の支障がある場合
(2)業務上の秘密が漏洩する場合
(3)競業により自社の利益が害される場合
(4)自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
例えば、次のようなケースが当てはまると考えられます(※3)。
(1)副業が深夜まで及ぶような仕事であり、本来の業務に差し支えている
(2)社外秘の資料を副業先で配布した
(3)別途設立した副業先で、自社の取引先から商品を仕入れ販売している
(4)自社の信用を損なうような発信を、副業用アカウントを使ってSNSで頻繁に繰り返した
実際に、解雇が相当か不当かで争われ、解雇が有効と判断された裁判例もあります(※3)。
副業を進める場合の心構えとは?
最後のまとめとして、「そもそも、本当に副業禁止?」の項でご紹介した3つのパターンごとに、副業を進めるに当たっての心構えを記しておきます。
・副業を全面的に禁止している場合
もし、お勤めの企業や会社が副業を全面的に禁止しているのであれば、使用者もしくはそれに近い方から、その理由について尋ねておくのがよいでしょう。一方で、本記事に記載した労働者の権利や不当な解雇が禁じられていることも念頭に置いておいてください。
・副業を禁止しているが、条件付きで許可している場合
「それでも解雇されるのはどのような場合?」の項に記載した例外に該当しないかを、副業を選ぶ際はしっかり確認しておきましょう。会社の許可を得る場合は、特に注意が必要です。
・副業に関する規定が見つからない、または存在しない場合
例えば、パートやアルバイトを含め、常時使用する労働者が10人未満の事業場では就業規則の作成義務がありません(労働基準法第89条)。また、就業規則とは別に副業に関する規定を作成している場合もあります。
この場合であっても、雇用主等から副業が本当に禁止されているかどうかについて直接確認するなど、独自の判断で結論を出さないようにしてください。
出典
(※1)厚生労働省 公益財団法人産業雇用安定センター 従業員の「副業・兼業」に関するアンケート調査結果の概要
(※2)厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン
(※3)厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説
執筆者 : 酒井 乙
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。

