とんかつ専門店「かつや」で、客足の伸び悩みが表面化した。脱・税理士の菅原氏は、値上げを重ねてきた結果、客数の減少傾向が続いているとみている。物価高で外食チェーン全体が値上げを迫られる中、なぜかつやの動きだけがこれほど注目を集めるのか。その背景には、単なる物価高では片付けられない事情が横たわっている。
 
かつやは看板商品であるかつ丼を中心に、ここ数年でこまめな価格改定を重ねてきた。1杯あたりの値段は段階的に引き上げられ、積み重なった上昇幅は決して小さくない。値上げのたびに割引券を配るなど客離れを食い止める工夫も続けてきたが、それでも歯止めがかかりきらない状況が続いているという。低価格路線を武器に業界内で存在感を放ってきた同店にとって、値上げは避けて通れない選択だったといえるだろう。菅原氏によれば、原価率の高さも業界平均を大きく上回る水準にあり、薄い利益幅で経営努力を続けてきた実情がうかがえるという。売上高や利益そのものは一定の規模を保っているものの、直近の決算では客数の落ち込みが加速し、前年の水準を割り込みかねない局面に差しかかっているとも語られている。
 
一方で、同じかつ丼を扱う「松のや」が出店を加速させ、ご飯のおかわり自由といったお得感を武器に存在感を強めている点も見逃せない。値上げによって割高感が生まれたかつやに対し、松のやが受け皿となっている構図が浮かぶ。店構えの新しさやテーブル席の広さなど、価格以外の使い勝手の差も客の流れに影響しているようだ。
 
さらに興味深いのは、同じくこまめな値上げを続けているにもかかわらず、客離れを起こしていないチェーンの存在だ。かつやとその店との間には、価格改定への反応を大きく分ける決定的な違いがあるという。それが何かは、値上げという表面的な事象だけでは説明がつかない部分に潜んでいる。かつやの側も新業態の展開や省力化への投資などで巻き返しを図っており、今後の動き方次第で流れが変わる可能性は消えていない。
 
値上げ後にどう立ち回るかは、低価格を掲げてきた外食企業にとって避けて通れない課題だ。日々の外食選びで価格を意識している人にとって、かつやを巡る一連の動きは大きなヒントになる。

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