《専門家の視点》熊本地震に見る「朝鮮半島の地震リスク」 日本と異なる韓国の“耐震不安”

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7月28日に発生した熊本地震の“揺れ”は、海を越えて朝鮮半島にも伝わった。釜山(プサン)など韓国南部地域では760件余りの揺れの通報が寄せられ、建物上階でも揺れを感じることができる震度3が観測された。

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なぜ、日本の地震が韓国にまで影響を及ぼしたのか。このような揺れは再び訪れる可能性があるのだろうか。そして、韓国の建物は地震に耐えられるのだろうか。

本サイト提携メディア『時事ジャーナル』では、地震の性質や再発の可能性、韓国国内の建築物の耐震実態について、3人の専門家に話を聞いた。

釜山大学地質環境科学科のキム・グァンヒ教授は今回の地震の特性を、ソウル大学地球環境科学部のイ・ヒョンウ教授は朝鮮半島の地震の可能性を、漢陽(ハニャン)大学建築工学部のハン・サンファン教授は韓国国内の耐震の現状を指摘した。

(写真提供=AP/アフロ)

今回の地震で最も大きな関心を集めたのは「長周期地震動」だった。キム・グァンヒ教授はまず、今回の地震の性質から正した。

熊本地震はプレート境界の海溝で発生した地震ではなく、地下約16kmの内陸地殻で発生した横ずれ断層型地震だと教授は言う。したがって、「日本の地震はどれも長周期地震動が強い」という一般的な認識は、今回の事例にはそのまま適用することは難しいと説明した。

ただし、長周期地震動そのものをプレート境界地震だけの現象と捉えることもできないと語った。

キム・グァンヒ教授は「中大型の内陸地震も長周期成分を生み出す可能性がある」とし、「プレート境界地震は破壊規模が大きく、広い地域へと長く伝わる一方、内陸地震は断層付近の特定の方向へ強いパルス波が現れるという違いがある」と説明した。

かといって、韓国が安心できるわけではない。

西南日本や九州、南海トラフで巨大地震が発生した場合、長周期地震動が釜山の洛東江(ナクトンガン)三角州や海岸埋立地のような軟弱な堆積層で増幅される可能性がある。特に、超高層ビルの固有周期と合致すると、揺れが大きくなるおそれがあるという説明だ。

ただしキム・グァンヒ教授は、釜山全域を危険地域と断定することには警鐘を鳴らした。地域ごとの地盤の固有周期と超高層ビルの実際の応答データを合わせて分析してこそ、危険度を正確に評価できるとした。

「地震被害を左右するのは地盤だけではない」と教授は強調した。地盤は揺れの大きさを拡大させたり小さくさせたりする役割を果たすが、実際に崩壊するかどうかを決定づけるのは建物の耐震性能だというのだ。だが「軟弱地盤が被害を大きくする重要な要因であることは確かだ」と付け加えた。

防災教育のあり方についても、日本式のモデルをそのまま導入することには慎重な姿勢を示した。

地震が珍しい韓国では、避難行動が身についていないため、反復的な避難訓練が優先されるというものだ。教授は「防災メール(緊急SOSメール)は教育ではなく、すでに訓練された行動を開始させる引き金になるべきだ」と述べ、場所ごとの反復訓練の重要性を強調した。

「10年前の慶州地震が再び起きる可能性がある」

イ・ヒョンウ教授は、今回の地震がマントル対流とプレート境界部の応力(ストレス)変化が複合的に作用した結果だと分析した。

「熊本はこうしたプロセスの直接的な影響を受ける地域だ。韓半島(朝鮮半島)東南圏は今回の地震と直接的な因果関係はないものの、広域的に蓄積された応力が断層帯を通じて解消される過程で、一定の影響を受ける可能性はある」と教授は述べた。

その根拠として、2016年の事例を挙げた。当時、熊本地震が発生してから数カ月後に慶州(キョンジュ)地震が続いたということだ。イ・ヒョンウ教授は「地震が発生しないことが最善のシナリオだが、10年前と同じことが繰り返される可能性を排除できないだけに、備えが必要だ」と述べた。

備えの出発点としては、老朽化した建物の安全診断を挙げた。活断層調査も引き続き拡大すべきだが、単に研究予算を増やすだけで解決する問題ではないと語った。地域住民の財産権や土地補償の問題など、社会的合意が伴わなければならないためだ。

イ・ヒョンウ教授は「活断層の研究はすでに数年前から行われており、予算や人員も少なくない」とし、「大きな断層網だけでなく、小さな断層網までくまなく調べるなど、研究のアプローチをさらに多様化させる必要がある」と説明した。

災害対応体系については比較的好意的に評価した。

「2016年の慶州地震と2017年の浦項(ポハン)地震を経て、緊急SOSメールや避難訓練の体系はかなりの程度定着した」とイ・ヒョンウ教授は延べながらも、「日本より地震の発生頻度が低い分、時間が経つにつれて警戒心が薄れるおそれがある点には注意しなければならない」とした。

イ・ヒョンウ教授は今年発生したベネズエラの地震と今回の熊本地震を比較し、「似たような規模の地震であっても被害は大きく変わり得る」と説明した。

日本は耐震設計と防災システムが整っているため被害をかなりの程度抑えることができたが、韓国は老朽化した建物や施設が密集している地域で強震が発生した場合、むしろベネズエラと似たような被害を受ける可能性もあるというのだ。「地震が少ない国ほど最も危険なのは油断だ」というのが彼の結論だ。

「公共施設の耐震化率82.7%」vs「民間は18%」

では、韓国国内の建物は地震が発生した際、どれほど安全なのだろうか。

ハン・サンファン教授は数字で現実を説明した。

行政安全部が発表した2025年時点の公共施設における耐震確保率は82.7%だ。これに対し、民間建築物は18%にとどまっている。

このような格差は、政府による支援の有無に起因している。

公共施設は政府が年平均約5000億ウォン(日本円=約558億円)を投入し、継続して耐震補強を進めてきた。

一方、民間建物は大部分が中・低層であるため、長年にわたり耐震設計の義務化対象から除外されており、対象となる建物の数もあまりに多い。

制度改定の過程でも抜け穴は明白だった。

韓国の耐震設計義務化は1988年に初めて導入されたが、2004年までは6階未満の建物が、2016年までは3階未満の建物が適用対象から除外されていた。すべての新築建物が義務化対象に含まれたのは2017年からだ。

30年近く例外規定が続いてきたため、相当数の既存建築物は今なお十分な耐震性能を確保できていない状態だ。

さらに大きな問題は、既存建物の耐震補強が依然として義務化されていない点だ。

オーナーらが容易に踏み切れない背景には、初期工事費の負担や工事期間中の営業損失、不足している情報などがあるとされている。

(記事提供=時事ジャーナル)