「緑茶」をよく飲む人は死亡リスクが低い? 4万人・11年追跡、”男女差”はあるのか医師が解説
毎日何気なく飲んでいる緑茶。その飲み方が健康や寿命に関わっているとしたら、気になる人も多いのではないでしょうか? ベトナムの研究グループが、4万人以上を対象に緑茶を飲む習慣と死亡リスクとの関係を長期間にわたって調べたところ、緑茶をよく飲む人ほど死亡リスクが低い傾向にあることが分かりました。今回は、この内容について中路先生に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
ズイタン大学研究開発研究所の研究員らが発表した内容を教えてください。
中路先生
ズイタン大学研究開発研究所の研究員らは、ベトナム北部の10歳以上4万2146人を対象に、2007~2019年に追跡した「ハノイ前向きコホート研究」(特定の集団を長期間追跡し、生活習慣などと病気との関連を調べる研究の手法)のデータで、緑茶を飲む習慣と死亡リスクとの関係を調べました。追跡期間の中央値は11年間で、この間に2494人が亡くなりました。分析の結果、緑茶をよく飲む人ほど死亡リスクが低くなる傾向が見られ、特に男性で明確でしたが、女性では統計的にはっきりとした差は見られませんでした。また、年齢や体格指数(BMI、体重と身長から算出する肥満度の指標)、喫煙や飲酒の習慣、糖尿病の有無にかかわらず、同様の傾向が確認されました。本研究はベトナムで初めての前向き研究であり、緑茶摂取が死亡リスクを下げる可能性を示すものですが、結論を確かなものとするには今後も研究が必要です。緑茶を飲む際の注意点とは?
編集部
緑茶を飲む際の注意点について教えてください。
中路先生
厚生労働省によると、緑茶にはカフェインが含まれており、お茶として飲む場合は1日8杯程度までが安全の目安とされています。これは添加カフェインではなく、茶に自然に含まれる分も含めた量です。妊娠中・授乳中は1日6杯程度(カフェイン約300mg以下)が目安です。緑茶やその成分(EGCGなど)が心臓病やがんの予防に役立つかについては研究結果が一致しておらず、はっきりした結論は出ていません。また、緑茶抽出物のサプリメントでは、まれに肝臓の不調が報告されています。腹痛や尿の色の変化、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)などがあれば、使用を中止しましょう。持病のある人や薬を服用中の人は、緑茶や関連製品を試す前に医師に相談しましょう。内容への受け止めは?
編集部
ズイタン大学研究開発研究所の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。
中路先生
ベトナムで初めて緑茶と死亡リスクの関連を追跡した、とても興味深いものだと感じています。とはいえ、これは「観察研究」(生活習慣と病気などとの関連を統計的に調べる研究手法)と呼ばれるもので、緑茶そのものが寿命を延ばすと証明されたわけではないという点は心に留めておいてもらえたらと思います。緑茶をよく飲む人は、普段から食事に気を配っていたり、規則正しい生活を送っていたりと、緑茶以外にも健康的な習慣を持っていることが多いと考えられます。これらの背景が結果に影響している可能性もあります。ですから、緑茶はあくまで健やかな暮らしを支えてくれる「心強い味方」の一つと考え、「これさえ飲んでいれば大丈夫」と気負いすぎないくらいが、ちょうどよいと思います。
また、「体によい」と聞くと、つい量を増やしたくなってしまいがちですが、緑茶は「たくさん飲むほどよい」というものではありません。カフェインの摂りすぎに加えて、緑茶に含まれるタンニンには鉄分の吸収を妨げる働きがあるので、貧血で鉄剤を内服中の人は、少し控えめにするとよいかもしれません。抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)のワーファリンを内服中の人は、緑茶のビタミンKが薬の働きにかかわることもあるでしょう。このように、持病がある人は、「体によいと聞いたから」と増やす前に、一度かかりつけの先生に相談してみると安心です。
今回、女性では男性ほどはっきりした差が見られなかったように、緑茶との付き合い方には、人それぞれの違いや、まだ分かっていないこともたくさんあります。特別な健康法として身構える必要はありません。例えば、甘い飲みものの代わりに、無糖の緑茶を選んでみる。そんな小さな習慣こそが、長い目で見て、あなたの健康を支えてくれるのではないでしょうか?
編集部まとめ
今回の研究では、緑茶をよく飲む習慣が死亡リスクの低下と関連している可能性が示されました。ただし、飲みすぎるとカフェインの摂りすぎにつながるほか、持病がある人は注意が必要です。日々の生活では、1日の目安量を守りながら、食事とのバランスを意識して無理のない範囲で緑茶を取り入れてみましょう。

