スピード違反がバレるから? 全国初!! 「オービスを盗んだ男」に密かに迫っていた警察の捜査

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全国で初の逮捕

今年6月18日、埼玉県加須市の国道で速度違反取り締まりのために設置されていた「可搬式オービス」1台(購入価格約900万円)が何者かに持ち去られるという事件が起きた。「可搬式オービス」が盗まれたのは全国で初めてである。

「事件当日、加須署交通課員2人がオービスを設置した場所から100〜200m離れたところに止めたパトカー内で監視していましたが、目を離した隙に持ち去られた。20〜30分間、盗まれたことに気付かなかったそうです」(全国紙社会部記者)

それから約1ヵ月後の7月27日、埼玉県警交通指導課と加須署は窃盗の疑いで加須市の配送業・倉本浩司容疑者(58)を逮捕した。前出の社会部記者が続ける。

「6月18日の午後11時5分ごろから15分ごろまでの間に、倉本容疑者が運転する軽貨物自動車がオービスの前を通り過ぎ、引き返してくる様子が周辺の防犯カメラで確認できた。盗まれたオービスにも倉本容疑者名義の軽貨物自動車が速度超過した様子が映っており、逮捕の決め手となりました」

「倉本容疑者は取り調べに対し、『走行中に(オービスが)光ったことに気付き、確認のために戻った』と供述。スピード違反が発覚するのを恐れて盗んだのではないかとみて、詳しい経緯を調べています。倉本容疑者は引き返したことは認めていますが、『私は盗んでいません』と窃盗容疑は否認しているようです」(前出社会部記者)

7月28日、倉本容疑者が送検された。朝8時過ぎ、加須署の護送口に姿を現した倉本容疑者には緊張した様子もなく、その場にいたカメラマンには苦笑しているように見えたという。

「そのうちニュースになりますよ」

倉本容疑者はどのような人物なのか。

自宅は最寄り駅から徒歩で30分ほどの古い住宅街にある一戸建てで、家族と生活していた。近所の住民によると、「朝、ゴミ捨て場で挨拶したことがありますが、物静かで大人しそうな人」だという。

取材を進めると、オービスが盗まれた1週間後にはすでに捜査の手が迫っていたことがわかった。倉本容疑者の自宅近くに住む40代の男性が打ち明ける。

「6月24日ごろ、警察が『防犯カメラの映像を見せてほしい』とウチに来たんです。前日の夜7時から翌朝5時までの映像を見たい、と。加須署だけでなく県警の捜査員もいたので何か大きな事件があったのかと思って聞いたら、『窃盗』だと。『そのうちニュースになりますよ』なんて言ってましたね。

『犯行に使われた車はほぼ特定できていて、この家の前が通勤路なんです』と言っていました。空き地に覆面パトカーを止めて、夜8時から翌朝5時まで張り込んでいましたよ」

逮捕の様子を目撃した住民もいた。

「朝7時過ぎに黒塗りの車が倉本さんの家の前に止まって、5〜6人の黒っぽい服装をした男性が中に入っていきました。10分ほどすると、白いTシャツを着た倉本さんと男性たちが一緒に出てきて、そのまま車に乗りこみました。

逃走を警戒しているのか、少し離れたところにも警察がいて逮捕の様子を見ていて、倉本さんを乗せた車が発進すると、別の車でついていってました」

盗まれたオービスはまだ見つかっていないという。全国で初めて盗難に遭った「可搬式オービス」は無事、任務に戻れるだろうか。

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取材・文:中平良