連続テレビ小説『ブラッサム』モデルの作家・宇野千代が人生論を語る。98年の生涯で4度の離婚を経験「女性は全生涯が結婚適齢期である」【書評】
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私は、どんなときでも、どんなところからでも、幸福を探し出して、自分のぐるりに幸福をはりめぐらせて生きて来ました。
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私の幸福論 宇野千代人生座談
そう語るのは、明治・大正・昭和・平成という時代を駆け抜けた女流作家の宇野千代さんだ。
『私の幸福論 宇野千代人生座談』(宇野千代/文藝春秋)は、著者が95歳の時に語った、幸せに生きるために心がけている「日々の考え方」や「行動」の秘訣が詰まった一冊である。
引用----
「この長い人生を支えてくれたのは、仕事でした」。
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本書の中で、私(本記事の執筆者)がハッと胸を打たれたのはこの一文だ。仕事をしている時間は、人生の大半と言える。色々な考え方もあると思うが、「生活のために割り切って」よりも、「人生を支えてくれるもの」という気持ちで付き合えるのは、幸せなことではないだろうか。
■仕事との向き合い方
宇野千代さんは、そのような境地になるための、仕事との向き合い方についても語っている。
一つは「一生懸命に打ち込む」こと。仕事に対して「どうやればうまく行くか、どうすればもっとよくなるか」を考えると、次第に夢中になっていき、飽きることなく続けていけるという。
二つ目は「予定を立てること」。
引用----
私たちが毎日、目が回るように忙しいと思うのは、予定を立てないで、行きあたりばったりに、仕事に追いまくられるからなのですね。(中略)このときから、手帳、手帳と、手帳を離さないようにし、予定を立てるようにしました。するとどうでしょう。なアーんだ、ちっとも忙しくない。却って時間があまるのです。
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作家業だけではなく、ファッション雑誌の創刊や、きものの販売やデザインまで携わっていた宇野千代さんの言葉だと、かなり説得力があるのではないだろうか。仕事で忙殺されそうな時は、「予定を立てて」また、「一つずつやっていけば、必ず終わる」ものとして、焦りや苛立ちに心を支配されないことが大切なのだろう。
最後は、もし自分には難しいと感じる仕事に直面したら。宇野千代さんはフランスの哲学者アランの言葉を紹介している。
引用----
自分の方から進んで、その難しい事柄の中に這入っていく。そうすることによって、その難しいことが、最もたやすく、愉しいことに変わるのである。
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難局に直面し、自分には無理だと感じたら、つい逃げてしまいたくなる。しかし「最初から完全無欠の出来栄え」を期待せず、まずは行動、そして継続。主体的な姿勢こそ、仕事を愉しめるようになるコツなのだろう。
さて、ここまで仕事に関する内容を取り上げてみたが、本書では恋愛、おしゃれ、老いといったテーマでも幸福論が綴られている。著者は4度の離婚を経験した恋多き女性でもあった。そんな彼女の語る「女性は全生涯が結婚適齢期である」の章も、自分を縛る窮屈な“常識”を取っ払ってくれるような内容となっているはずだ。
■人間は「手で考える」?
最後に。昨今、恋愛でも仕事でも、行動する前にネットで知識を得て、頭で分かった気になり、満足したり、または決断を諦めたりしてしまう方も多いと思う。そんな現代人に送りたいのが、こちらの文章だ。
引用----
人間は、頭で考えるのではない、手で考えるのだと思うのです。頭で考えるだけのことでは、何もしないのと同じなのです。
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行動して初めて経験になり、それが連鎖して次の行動につながる。これを千代さんは「生きのよい生き方」と語っているのだが、もしあなたが人生に行き詰まりを感じているのなら、それは「手で考えていない」からかもしれない。
本書は、決してお説教的ではなく、自慢話でもなく、若者から当時の宇野千代さんと同じ年齢の方まで、多くの読者――特に女性に、幸せになるために前進するエネルギーをたっぷりと注いでくれるような一冊だと思う。
文=雨野裾
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私は、どんなときでも、どんなところからでも、幸福を探し出して、自分のぐるりに幸福をはりめぐらせて生きて来ました。
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そう語るのは、明治・大正・昭和・平成という時代を駆け抜けた女流作家の宇野千代さんだ。
『私の幸福論 宇野千代人生座談』(宇野千代/文藝春秋)は、著者が95歳の時に語った、幸せに生きるために心がけている「日々の考え方」や「行動」の秘訣が詰まった一冊である。
「この長い人生を支えてくれたのは、仕事でした」。
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本書の中で、私(本記事の執筆者)がハッと胸を打たれたのはこの一文だ。仕事をしている時間は、人生の大半と言える。色々な考え方もあると思うが、「生活のために割り切って」よりも、「人生を支えてくれるもの」という気持ちで付き合えるのは、幸せなことではないだろうか。
■仕事との向き合い方
宇野千代さんは、そのような境地になるための、仕事との向き合い方についても語っている。
一つは「一生懸命に打ち込む」こと。仕事に対して「どうやればうまく行くか、どうすればもっとよくなるか」を考えると、次第に夢中になっていき、飽きることなく続けていけるという。
二つ目は「予定を立てること」。
引用----
私たちが毎日、目が回るように忙しいと思うのは、予定を立てないで、行きあたりばったりに、仕事に追いまくられるからなのですね。(中略)このときから、手帳、手帳と、手帳を離さないようにし、予定を立てるようにしました。するとどうでしょう。なアーんだ、ちっとも忙しくない。却って時間があまるのです。
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作家業だけではなく、ファッション雑誌の創刊や、きものの販売やデザインまで携わっていた宇野千代さんの言葉だと、かなり説得力があるのではないだろうか。仕事で忙殺されそうな時は、「予定を立てて」また、「一つずつやっていけば、必ず終わる」ものとして、焦りや苛立ちに心を支配されないことが大切なのだろう。
最後は、もし自分には難しいと感じる仕事に直面したら。宇野千代さんはフランスの哲学者アランの言葉を紹介している。
引用----
自分の方から進んで、その難しい事柄の中に這入っていく。そうすることによって、その難しいことが、最もたやすく、愉しいことに変わるのである。
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難局に直面し、自分には無理だと感じたら、つい逃げてしまいたくなる。しかし「最初から完全無欠の出来栄え」を期待せず、まずは行動、そして継続。主体的な姿勢こそ、仕事を愉しめるようになるコツなのだろう。
さて、ここまで仕事に関する内容を取り上げてみたが、本書では恋愛、おしゃれ、老いといったテーマでも幸福論が綴られている。著者は4度の離婚を経験した恋多き女性でもあった。そんな彼女の語る「女性は全生涯が結婚適齢期である」の章も、自分を縛る窮屈な“常識”を取っ払ってくれるような内容となっているはずだ。
■人間は「手で考える」?
最後に。昨今、恋愛でも仕事でも、行動する前にネットで知識を得て、頭で分かった気になり、満足したり、または決断を諦めたりしてしまう方も多いと思う。そんな現代人に送りたいのが、こちらの文章だ。
引用----
人間は、頭で考えるのではない、手で考えるのだと思うのです。頭で考えるだけのことでは、何もしないのと同じなのです。
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行動して初めて経験になり、それが連鎖して次の行動につながる。これを千代さんは「生きのよい生き方」と語っているのだが、もしあなたが人生に行き詰まりを感じているのなら、それは「手で考えていない」からかもしれない。
本書は、決してお説教的ではなく、自慢話でもなく、若者から当時の宇野千代さんと同じ年齢の方まで、多くの読者――特に女性に、幸せになるために前進するエネルギーをたっぷりと注いでくれるような一冊だと思う。
文=雨野裾
