西松屋チェーンで商品が切りつけられる被害が…(C)日刊ゲンダイ

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【「表と裏」の法律知識】#344

電車内のシートを切り裂くこと300回! 独身56歳「鉄道オタク」の呆れた犯行動機

 ベビー・子ども用品を販売する西松屋の大阪市内の店舗で、店頭に並んでいた商品が刃物のようなもので切りつけられる事案がありました。

 SNSには切り裂かれた子ども服の写真が投稿され、「子どももたくさんいるので怖すぎる」「もし子どもに危害が加えられていたら……」など、不安の声が広がりました。西松屋チェーンも事案があったことを認め、従業員が警察に通報し、商品を切りつけたとみられる人物が警察に確保されたと説明しています。

 このようなお店の商品を刃物などで切りつけた場合、どのような犯罪になるのでしょうか。

 まず考えられるのが、器物損壊罪(刑法261条)です。他人の物を壊したり傷つけたりした場合に成立する犯罪で、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金などが定められています。

 法律上の「損壊」は、物を完全に壊して使えなくする場合だけではありません。物の価値や本来の使い方を損なわせる行為も含まれます。売り物の服を切り裂けば、そのまま商品として販売することが難しくなるため、器物損壊罪が成立する可能性が高いと考えられます。

 さらに、状況によっては威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する可能性もあります。「威力」とは、人の自由な意思を制圧するほどの力や勢いのことです。暴力や大声による脅しだけでなく、その場の状況からみて、人が自由に行動することを難しくさせるような行為も含まれます。また、実際に店員や客が恐怖を感じたかどうかではなく、客観的にそのような力や勢いがあったかどうかが重要です。

 今回、客や店員がいる店内で刃物のようなものを使って商品を切りつけ、店員が対応を余儀なくされるなど通常の営業が妨げられたのであれば、具体的な状況によっては威力業務妨害罪も問題となります。この罪には、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。

 商品を傷つける行為は、単なる「いたずら」ではありません。お店に損害を与えるだけでなく、周囲の人を危険や不安にさらし、複数の犯罪に問われる可能性のある行為なのです。

(郄橋裕樹/弁護士)