23日、学生にタンデム型太陽電池の作製を指導する楊新波教授(右)。(南京=新華社配信)

 【新華社南京7月29日】中国江蘇省蘇州市の蘇州大学は24日、同学の楊新波(よう・しんは)、張暁宏(ちょう・ぎょうこう)両教授の研究チームが次世代太陽電池の産業化プロジェクトで新たな進展を遂げたと発表した。香港理工大学や複数の太陽光発電企業と共同でインジウムを含まない再結合層の材料を開発し、ペロブスカイトと結晶シリコンの間に「分子の橋」を構築することで、タンデム型太陽電池の光電変換効率と長期的安定性をさらに高めた。

 研究成果をまとめた論文は24日、国際学術誌「ネイチャー・エナジー」電子版に掲載された。

 楊氏によると、従来の結晶シリコン太陽電池の光電変換効率が理論上の限界に近づく中、学術界と産業界は「タンデム型」という技術路線に注目している。硬い結晶シリコン板と異なり、ペロブスカイト太陽電池材料は薄い膜状で、両者を重ね合わせることでより広い波長帯の太陽光を吸収し、光電変換効率をさらに高めることができる。

楊新波、張暁宏両教授の研究チームが作製したインジウムを含まない再結合層を採用したタンデム型太陽電池。(南京=新華社配信)

 しかし、タンデム型電池の内部にはペロブスカイトと結晶シリコンをつなぐ中間の再結合層があり、優れた電荷輸送性や透光性、界面結合力、長期的な信頼性を兼ね備える必要がある。産業界では現在、インジウムを含む透明導電材料が多く使われているが、インジウムは希少金属で資源に乏しく、価格も高いことから、各国がインジウムを含まない材料の研究を進めている。

 楊氏のチームが開発したのは酸窒化チタンを用いたインジウムを含まない再結合層で、ペロブスカイトと結晶シリコンの間の複数の箇所で化学結合を形成し、安定した「分子の橋」を構築。電荷の効率的な輸送と再結合を促し、電池の安定性も高めた。

 チームは新材料を用いて207.9平方センチの工業標準サイズのタンデム型太陽電池を作製。権威ある機関の認証により、光電変換効率は30.6%に達することが確認され、高温高湿の環境で千時間連続稼働させても効率は初期値の95%以上を維持した。(記者/陳席元)