フーシがサウジ関係タンカー攻撃、原油輸送代替ルートの紅海にも戦域拡大か…原油先物価格は上昇
【カイロ=溝田拓士、テヘラン=吉形祐司】英海軍の関連機関・英海運貿易オペレーション(UKMTO)は22日、バブルマンデブ海峡に近いサウジアラビア沖の紅海で、タンカー1隻が被弾して火災を起こしたと発表した。
イエメン拠点の親イラン勢力フーシがサウジ関係のタンカー2隻を攻撃したと明らかにした。米イランの戦闘が再び激しくなるなか、戦域はホルムズ海峡だけでなく、紅海にも広がりつつある。
サウジ国営通信は23日、炎上したタンカーの乗員は全員無事だと報じた。フーシは、タンカー以外にも「約10隻を引き返させた」と主張している。
バブルマンデブ海峡は紅海の南側に位置し、ホルムズ海峡と並ぶ、地域の海上交通の要衝だ。海峡の幅は約30キロしかない。
ホルムズ海峡の通航が難しくなるなか、サウジは紅海を代替ルートとして活用し、原油の輸送を拡大している。攻撃が続けば原油市場を始め、世界経済に影響が広がるのは必至だ。
イランを後ろ盾とするフーシは20日、対立するイエメン暫定政権側のサウジ関係船舶を対象に「海上封鎖」を行うと発表した。ロイター通信によると、イランがフーシに要請したといい、イランはサウジが米軍を支援しているとみている。
ホルムズ海峡を巡る緊張も高まっている。米中央軍は22日、イランを攻撃したと発表した。12日連続となる。イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は23日、イランの指定航路を通らずホルムズ海峡を通過しようとしたタンカー3隻のうち、1隻が爆発、炎上したと発表した。2隻は引き返したという。革命防衛隊は「(3隻は)米国の誘導で機雷が敷設された海峡南側を通過しようとした」と主張した。
トランプ米大統領は22日、イランがホルムズ海峡で今後船舶を攻撃する度に「イランの橋または発電所を爆撃し、破壊する」とSNSに投稿。これに対し、イラン軍は22日の声明で「実行すれば石油は一滴たりとも輸出させない」とし、域内各国の石油、ガス関連などの経済インフラを報復攻撃すると警告した。
WTI原油先物価格、一時1バレル=92ドル台まで上昇
【ニューヨーク=木瀬武】23日午前のニューヨーク原油先物市場で、代表的な指標となるテキサス産軽質油(WTI)の9月渡し価格が一時、1バレル=92ドル台まで上昇した。米国とイランの戦闘激化で連日値上がりが続いており、6月11日以来、約1か月ぶりに90ドルを超えた。
イランの支援を受けるイエメンの反政府勢力フーシが、紅海でサウジアラビアのタンカーを攻撃したと伝わり、中東情勢や原油供給が一段と混乱するとの懸念が強まった。今月7日に米国がイランに対する空爆を再開して以降の上昇率は約3割に上る。
23日のニューヨーク外国為替市場では円安・ドル高が進み、対ドルの円相場は一時、1ドル=163円90銭台まで下落した。1986年11月以来、39年8か月ぶりの円安水準となる。
原油先物価格の上昇に伴うインフレ(物価上昇)懸念などから米国で利上げ観測が強まっており、運用に有利となるドルが買われやすくなっている。米労働省がこの日発表した失業関連の統計で堅調な労働市場が意識されたことも、ドル買いにつながった。

