NVIDIAは、AIで生成された可能性がある動画をフレーム単位で解析する「Synthetic Video Detector」を発表しました。報道機関や放送局などでの利用を想定したAIマイクロサービスで、非圧縮動画では最大92%の精度を記録し、1080p動画を最短22ミリ秒で処理できるとされています。

At SIGGRAPH, NVIDIA Advances Graphics and Simulation With Agentic and Physical AI | NVIDIA Blog

https://blogs.nvidia.com/blog/siggraph-news-2026/#synthetic-video

Nvidia's new Synthetic Video Detector can identify fake AI videos with up to 92% accuracy - microservice based on cutting-edge research looks to combat misinformation in broadcasts with just 22ms processing time | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/nvidias-new-synthetic-video-detector-can-identify-fake-ai-videos-with-up-to-92-percent-accuracy-microservice-based-on-cutting-edge-research-looks-to-combat-misinformation-in-broadcasts-with-just-22ms-processing-time

Synthetic Video Detectorは、NVIDIAがメディア業界向けに提供する「NVIDIA AI for Media」の一部であり、NVIDIA Inference Microservice、通称NIMとして提供されます。動画をフレームごとに調べ、AIで生成されたコンテンツが含まれている可能性を示す分類スコアを出力する仕組みです。

報道機関は、このスコアを使って確認が必要な映像の優先順位を付けたり、疑わしい映像を隔離したり、より詳しい検証に回したりできます。NVIDIAは、Synthetic Video Detectorを既存のファクトチェックや映像検証の代替手段ではなく、時間に追われる編集現場で判断材料を追加するためのツールと位置付けています。

Synthetic Video Detectorは動画を504×504ピクセルのフレームに切り分け、Metaが開発した画像認識モデルのDINOv2とDINOv3を使って特徴を分析します。それぞれのフレームには、本物に近いほど0、AI生成に近いほど1となるスコアが付けられ、動画全体の判定結果が算出されます。

実際にSynthetic Video Detectorを試すことができるデモページがNVIDIAによって公開されています。

synthetic-video-detector Model by NVIDIA | NVIDIA NIM

https://build.nvidia.com/nvidia/synthetic-video-detector

利用規約が表示されるので、「Acknowledge & Continue」をクリック。



左の「Input」の「Upload」をクリックしてチェックしたい動画をローカルからアップロードし、「Run」をクリックするとSynthetic Video Detectorによる分析が始まります。



今回チェックしたのは以下の動画。右下にウォーターマークが入っている通り、GoogleのGeminiに作成させたAI動画です。

分析の結果、「合成動画である可能性は92.6%」という結果が表示されました。折れ線グラフはフレームごとの「AIで生成されたコンテンツが含まれている可能性」を示しています。



NVIDIAが用意した非AI動画を読み込ませて分析したところ、スコアは3.5%でほぼリアルの動画であると判断されました。



SNSやニュース配信サービスに投稿された動画は、圧縮やサイズ変更、トリミング、再エンコードなどの加工を受けることがあります。NVIDIAによるテストでは、非圧縮動画で最大92%、圧縮率15%の動画で87%、圧縮率50%の動画でも82%の精度を記録したとのこと。

処理速度は、NVIDIA RTX搭載システムで1080p動画を最短22ミリ秒、NVIDIA L40 GPUでは約30ミリ秒とされています。オンプレミスやエッジ環境、ハイブリッド環境、外部ネットワークから隔離された環境にも導入できるため、機密性の高い映像を組織内に保持したまま分析できるのが特徴です。

NVIDIAはSynthetic Video Detectorについて、従来の映像検証を置き換えるものではなく、時間的な制約が大きい報道現場で新たな判断材料を提供するものだと説明しています。AIによる判定を既存の検証手法と組み合わせることで、編集部が迅速に対応しながら報道基準を維持し、映像に対する社会的な信頼を守れるようにすることが狙いだとのことです。