17日、ニューヨークで、レセプションに参加するトランプ米大統領(左)とFIFAのインファンティノ会長=ロイター

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 【ロサンゼルス=増田知基、ニューヨーク=大月美佳】サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米3か国大会が、19日(日本時間20日)に閉幕した。

 米国のトランプ政権は、大会による経済効果などから「レガシー(遺産)」を強調する。共催したカナダ、メキシコとの関係改善を図る動きは見えず、終始、「トランプ色」の濃い大会となった。

出場停止猶予

 ニューヨーク・マンハッタンの「トランプタワー」で17日、国際サッカー連盟(FIFA)によるレセプションが開かれた。トランプ米大統領は今大会を「史上最も成功したスポーツイベントだ」と自賛し、FIFAのジャンニ・インファンティノ会長と握手を交わした。

 両氏の親密な関係は際立っている。米代表選手の出場停止処分が猶予となった一件では、トランプ氏が処分見直しを求めたことが明らかになり、競技への政治介入との指摘もあがった。

 米政権は大会の成功をアピールする。ホワイトハウスのW杯タスクフォース(作業部会)は17日の記者会見で、650万人以上が試合を現地で観戦し、各都市に大きな経済効果をもたらしたと強調した。会場付近などでの不審な無人機の取り締まりや、W杯グッズの偽造品の押収でも成果を上げたという。タスクフォースのトップは「建国250周年という絶好の機会に来た人たちは米国の偉大さを体験した」と誇った。

チケット高騰

 大会は盛り上がりを見せた一方、課題も残した。中でも、需要に応じて価格が変動する制度の導入によるチケットの高額化には批判が大きかった。

 米紙USAトゥデーは16日、ニューヨーク近郊で19日に開かれる決勝のチケットの平均購入価格は1万1000ドル(約180万円)を超える状況だと報じた。

 ニューヨークのゾーラン・マムダニ市長はチケットの高騰を問題視し、1枚50ドル(約8000円)の格安チケット1000枚を市民に抽選販売した。期間中は市内で100以上の無料観戦イベントが催され、19日も決勝の観戦イベントが開かれる予定だ。

 18日の3位決定戦の観戦イベントに息子を連れて参加した、大学職員キム・ラフラムさん(42)は「私みたいなシングルマザーはチケットに手が届かない。サッカーは本来、誰もが気軽に楽しめるスポーツであるべきだ」と話した。

「外交関係の崩壊を象徴」

 今大会は史上初めて3か国での共催となったが、冷え込んだ米国とカナダ、メキシコ両国との関係を改善する機会とはならなかった。トランプ政権は期間中も、両国と摩擦を生むような言動を繰り返した。

 米政権は今月1日、自由貿易協定である「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を現行のまま延長することを拒否した。7日にはテキサス州で米移民当局がメキシコ人男性を射殺し、メキシコの大統領が非難した。カナダで起きた山火事を巡っても、トランプ氏は17日、大気汚染対策費用としてカナダへの関税の上乗せを主張し、カナダ側の反発を招いた。

 米調査研究機関スティムソンセンターのエバン・クーパー氏は「W杯は3か国の外交関係の崩壊を象徴するものだ。米国は隣国と共に大会を盛り上げるどころか、(成功を)独り占めして脚光を浴びようとしている」と指摘した。