座るとすね毛が!トランプ、習近平、金正恩… 日本人ジャーナリストが見た「世界の独裁者4人」の素顔
実はトランプはチャーミング
【米国】ドナルド・トランプ大統領(80)
「おぉ、日本から来たのか。友人のシンゾウによろしく伝えてくれ」
こう米国のトランプ大統領(80)から気さくに声をかけられたのは『キヤノングローバル戦略研究所』上席研究員で国際情勢に詳しいジャーナリストの峯村健司氏(51)だ。
’17年1月にトランプ氏が初めて大統領へ就任した直後のぶら下がり取材での一幕。「シンゾウ」とは安倍晋三元首相(故人)のことだ。峯村氏が「安倍首相は私の友人でもあります」と答えると、トランプ氏はニコッと微笑(ほほえ)んだという。峯村氏が振り返る。
「トランプ氏は、テレビカメラの前ではケンカ腰で強面(こわもて)の印象があります。しかしカメラが回っていないと、人懐(なつ)っこくチャーミングな男性です。私は安倍元首相の知人ということでトランプ氏に気に入られたのか、政府高官やセレブが集(つど)うホワイトハウス(米国の官邸兼公邸)主催のカクテルパーティーに毎年のように招待されました。評価の分かれる大統領ですが、彼の懐(ふところ)の深さには魅了されます」
長期にわたりトップの座につき、時に強権を発動する世界の独裁者たち。その言動一つで、国際情勢が激変するケースも多々ある。しかし、メディアを通じて見る彼らのイメージと実際の姿にはギャップがあるようだ。峯村氏が、トランプ氏をはじめ実際に近くで接した4人の独裁者たちの素顔を紹介する。
【中国】習近平国家主席(73)
「中国の習近平氏(73)を初めて見たのは、’07年10月に北京で開かれた共産党大会です。当時は国家主席に就任する前で上海市のトップでした。冴えない印象でしたね。ズボンの裾が短く、イスに座るとすね毛の生えた脚が見えた。頭髪には寝グセがあり、記者からの質問は部下に任せサッサと帰ってしまったんです。
印象がガラリと変わったのは、2年後の’09年12月に副主席として来日した時です。身なりもキチッとして貫禄がついていた。驚いたのは天皇陛下への謁見(えっけん)でした。会見場に入る際、習氏は上半身を90度も曲げ、天皇陛下へ深々とお辞儀したんです。
世界的にみても、天皇家のように2500年以上の歴史のあるロイヤルファミリーはまれです。習氏は、その重要性を理解していたのでしょう。天皇陛下へ深い敬意を表すことで、自身が中国のトップになるための権威づけにしようとしたのだと思います」
ピリついた空気を出す金正恩
【北朝鮮】金正恩総書記(42)
’18年2月に北朝鮮の平壌で行われた軍事パレードでは、金正恩総書記(42)を間近で見ることになる。
「どっしりとイスに座り、厳しい表情でテキパキと部下たちに命令していました。周囲には、金氏の機嫌を損ねないようにピリピリした雰囲気が漂っていましたね。空気が一変したのは、パレードに新型兵器が登場した時です。金氏は大きく手を叩き新型兵器を指さし大喜び。子どものようなハシャぎようでした。
別の機会には、金氏と妹の金与正氏を見ました。与正氏は座ったままの金氏に何事か耳うちすると、せわしなく周囲に指示を出し動き回っていた。兄妹というより、主人と秘書のようなハッキリとした上下関係があるように感じました」
【イスラエル】ベンヤミン・ネタニヤフ首相(76)
イランやパレスチナなど周辺の中東諸国への攻撃を緩(ゆる)めない、イスラエルのネタニヤフ首相(76)の印象も強烈だ。
「’15年3月にネタニヤフ氏が訪米した際、たまたま私がワシントンで行きつけにしていたレストランに彼がいたんです。私と一緒に食事をしていた米国の元高官がネタニヤフ氏に気づき、『日本のジャーナリストです』と紹介してくれました。
挨拶すると、『よろしく』とネタニヤフ氏から経験したことのない力強さで握手され……。痛いぐらいでした。印象的だったのは目です。表情は微笑んでいても目は笑っていない。瞳の奥が動かず氷のようで、底知れぬ恐ろしさを感じました」
峯村氏が続ける。
「第二次世界大戦後の国際秩序が崩れ、各大国は帝国主義に回帰(かいき)しています。強い指導者でないと務まらない。彼らに共通するのは、人間味溢(あふ)れる一面がある一方で、自国ファーストのためなら冷酷さを貫けることでしょう」
大国復活に邁進する独裁者も、その素顔を知ると見方が変わるかもしれない。
『FRIDAY』2026年7月17・24日合併号より
