《生還した男性が明かした“大混乱の現場” 》「『逃げろ!』と叫び声が聞こえた後、爆発して吹き飛ばされた」「ジェットエンジンのように炎が噴射」タイ・バンコクの人気パブで大規模火災…少なくとも27名が死亡
〈ジェットエンジン並みに炎が噴射している〉〈衝撃的だ。こんな激しい火事を見たことがない!〉──映像では、建物から黒煙が立ち上った直後、出入り口から巨大な炎が水平方向に噴き出し、逃げ惑う人々が映っていた。
【写真を見る】出入り口から噴き出す巨大な炎 逃げ惑う人々の様子
現地時間7月12日、タイの首都・バンコクにある人気パブで大規模な火災が発生した。当局によると、少なくとも27名が死亡、73人が負傷し、うち25人が重傷だという。現場を捉えた映像が拡散されると、現地メディアやSNSでは冒頭のような驚きと恐怖の声が相次いだ。
何が起きたのか。現地事情に詳しいジャーナリストが語る。
「現場は、バンコク北部チャトゥチャック区にある『ローンビア・ナ・ラプラオ』というパブ型の居酒屋です。飲食をしながら生演奏を楽しめる大型店で、週末の夜には多くの客でにぎわっています。
現地報道などによると、火は客席前方のステージ付近から広がったとみられ、客の多くが炎を避けて店の奥へ逃げたようです。ところが、厨房やトイレ側の避難経路は狭く、一部にはビールケースやテーブルなどの障害物があったとも言われています。犠牲者の多くはトイレやそこへ向かう通路で発見されたようです。日本人が被害に遭ったとの情報は、現時点では確認されていません」
「ローンビア・ナ・ラプラオ」は、飲食店が集まる繁華街の一角にある、レストラン兼ライブ音楽施設の営業許可を受けている店舗だった。
「なぜ炎があれほど勢いよく噴射したのかは、まだ断定できません。ただ、密閉された店内で内装材などが燃えると、高温の可燃性ガスが天井付近にたまる。そこへ扉が開くなどして酸素が一気に入り込めば、爆発的に燃焼して炎が噴き出す『バックドラフト現象』が起こることもあるようです。現場となった店舗では、内装に可燃性の材料が使用されていた可能性があることが指摘されています」(同前)
「逃げろ」の直後に爆発
火災の発生時、店内ではバンドによるショーが行われていたという。出演者の男性歌手は爆発に巻き込まれ、後頭部付近と腕にやけどを負いながらも生還。一方で、彼のバンドメンバー11人のうち、少なくとも2人が死亡、2人が入院したという。男性はタイの大手紙『タイラット』に、異変の発生から脱出までを証言している。
「男性歌手の証言によると、まず異変に気付いたのはキーボード奏者だったようです。その人物の頭上にある配電盤の辺りに煙が見え、焦げたような臭いがしたため、『急いで逃げろ!』と叫んだようですが、直後、店内は暗転。
ステージ脇にいた男性歌手が暗闇のなか、手探りで扉を探していると、爆発が起きて、体が外へ吹き飛ばされたようです。
爆発後、店内では倒れた人々が助けを求めて叫び、出口付近には炎に包まれた仲間の姿も見えたといいます。彼の交際相手の女性も同じバンドの歌手で、男性は助けに戻ろうとしましたが、熱と煙で視界を奪われ、救出を断念せざるを得なかったようです。その女性歌手は死亡したと報じられています」(同前)
消防は通報から約30分後に火勢を抑えたが、被害は甚大だったという。
「男性歌手によると、その店では火の使用が厳しく禁じられていたようです。バースデーケーキのキャンドルを灯すことも認められず、ライターの持ち込みも禁止だった。店側は火気使用の危険性を理解しながら営業していた可能性があるようだ」(同前)
重傷者の中には、重度のやけどや煙を吸い込んだ人も多く、死者数がさらに増える恐れもあるという。
当局は治療と身元確認を急ぐとともに、火災の原因を詳しく調べている。
