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バスの運転手不足によって、路線網の縮小や運賃の値上げといった影響が全国各地で出ています。人手を確保しにくい背景には、何があるのでしょうか? 存廃問題に揺れる千葉市内の路線を現地で取材し、運行するバス会社の担当者や専門家に聞きました。

■「9月いっぱいで廃止」届け出

13日夜7時半ごろ、千葉市にあるJR幕張駅。多くの人がバスに乗り込んでいます。幕張駅を発着し、1日に約1000人が利用するというバスの路線が今、廃止の危機となっています。

東京都心から電車で約1時間。海側には幕張メッセや、千葉ロッテマリーンズの本拠地がある地域です。廃止が決定したのは、JR幕張駅から直線距離で約4キロ離れた公園までを結ぶ、千葉シーサイドバスが運行する花島公園線です。

小学校や団地なども含め、住宅街を通ります。バスの車内では、減便のお知らせが貼られています。運行会社によると今年3月、関東運輸局に花島公園線を含む3つの路線について、9月いっぱいで廃止することを届け出ました。

その理由について運行会社に聞きました。担当者は「運転手不足。これはまずもう、一丁目一番地ですね」と言います。

■利用客「皆さん本当に困っている」

ただ、利用客は困惑しています。

ある人は、「バスをずっと利用していて、駅前の病院に行ったり、買い物に行ったり。なくなると生活の足がなくなってしまうので、皆さん本当に困っているのが現状ですね」と漏らします。

通勤のため毎日利用するという別の人は「このバスがあるから引っ越したっていうのもあったので、引っ越しちゃってどうしようという感じです」と頭を悩ませています。

■運転手「3万6000人」不足も

バス業界では運転手の時間外労働の規制が強化された、いわゆる「2024年問題」も受け、人手不足となっています。全国のバスの運転手の数がどうなるのか表したグラフがあります(公益社団法人日本バス協会「国土幹線道路部会ヒアリング資料」より)。

2019年に13万2000人いた運転手は、2030年の推計では9万3000人にまで減少。調査をした2022年と同じ規模の運行を確保するには、3万6000人不足することになります。

今回、廃止を決めた運行会社の担当者も「運転手さんいなければ走れませんので、そういった選択(=路線廃止)をもせざるを得ない状況になってしまった」と語ります。

■専門家が原因に挙げる「労働環境」

運転手不足の問題について、交通経済学が専門である関西大学の宇都宮浄人教授に聞きました。原因の1つとして指摘したのは労働環境です。

宇都宮教授
「起こるべくして起こってきている。なぜかというと運転手になる人が、若い人がいなかったからです。なぜいないかというと、労働環境がよろしくないからです」

「バスの運転手の場合は不規則かつ途中、朝とか夕とかあったり、色々ですね不規則かつ休めない。こういう状況ですので、労働環境はよろしくない」

今回、路線の廃止を決めたバスの運行会社は、賃上げを含む労働環境の改善に取り組んできたといいます。

■狭く、すれ違いも…運転の難しい経路

ただ、今回廃止を決めた路線には運転の難しいルートがあるといいます。

担当者
「走行環境。すごい狭い道路を運行するもんですから、それも1つの要因となっています」

その区間はどのような道なのか、実際にバスに乗車してみました。急カーブがあり、狭い道幅で対向車とのすれ違いもありました。こうした道は事故も多く、運転手のストレスも大きくなって精神的な負担になるため、運転手が離れる一因となっているといいます。

■千葉市長「地域にとっては死活問題」

バスの運行会社は7月、廃止についての住民説明会を行いました。そこではこの路線の存続を求める声も上がり、運行会社は10月以降も便を大幅に減らすことを前提に、来年3月末まで継続することも検討しています。

こうした事態に、千葉市はどう対応するのか。市長は9日の会見で「路線バスの廃止は、地域にとっては死活問題でございます。関係者間の調整の場づくり、財政支援を含めた働きかけと調整を進めまして、運転手不足の影響を抑えていきたい」と述べました。

この運転手不足は全国各地で影響が出ていて、札幌市内では来年4月から路線バスの運賃の値上げが決定されました。また広島市内では運転手のなり手不足を解消しようと、広島県バス協会がイベントを開催。県内のバス会社9社が参加しました。

■専門家「行政とタイアップを」

今後、どのように取り組むべきなのでしょうか。

宇都宮教授
「基本的に公共交通っていうのはそんなにもうかるものではないので、そこについて労働環境をよくしたり、あるいは給与を上げることは、バス会社の自力でやれといっても無理になる」

「そこでしっかり行政とタイアップしてやらなければいけないと思う」

(7月13日『news zero』より)