Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

写真拡大

コメの価格が1年7か月ぶりに5キロ・3400円台となる中、本格的な新米シーズンを迎える前にも関わらずコメ余りの状況が続いています。今後の価格はどうなっていくのか…専門家は物価高騰の影響で厳しい生産現場の状況も危惧しています。

13日、静岡県内のスーパーのコメ売り場では山積みになったコメの袋が…。

(記者)
「静岡市駿河区のスーパーマーケット、こちらで販売されている秋田県産の『あきたこまち』が税込3229円で販売されています」

このお店の最安値は秋田県産と新潟県産の銘柄米で3229円。この価格に主婦は…。

(買い物客)
「安くなりましたよね…元に戻るのが一番いいけど、それは難しいのかな」

店舗側は値段が下がることで売れ行きにも変化を感じているといいます。

(富士屋 中田店 荒川 伸一 店長)
「単一銘柄米が3000円を切ることによって、お客さまがたくさん買われていただけるようになりました」

価格の低下によって、スーパー側にもメリットがあるといいます。

(富士屋 営業本部 谷口 豊彦さん)
「家庭で料理をすることによってですね、売り上げも上がりますので、買い上げ点数も上がります。そのためには、おコメが安いということは非常に喜ばしいことだと思っております」

価格が下がっているのはスーパーだけではありません。

このドラッグストアでは最も安いおコメがブレンド米で3002円。お客さんの購入の選択肢に変化がみられているといいます。

(杏林堂薬局 ピーワンプラザ 天王店 井上 晴賀さん)
「5キロ・10キロを買っていただけるお客さまも増えてきております」

このお客さんは、ブレンド米10キロを購入するといいます。

(買い物客)
「おコメちょっと下がったので、ちょうど下がったのがあったので買いに来ました…3000円/5キロがボーダーラインかなという感じ」

農林水産省によりますと、6月29日から7月5日に全国のスーパーで販売された5キロあたりのコメの平均価格は3458円。前の週から96円値下がりし、2025年の同期比では144円安くなっています。3400円台となったのは1年7か月ぶりです。

2024年、暑さによるコメの不作による品薄から始まった「令和のコメ騒動」。店頭での販売価格は5キロ・5000円台となったことも。

政府はこの状況に政府備蓄米の放出を行い随意契約による備蓄米の流通によって2025年6月以降、価格が低下していきました。

しかし…。

2025年、新米が出回った際には、在庫を確保しておこうという動きが激しくなり、例年に比べ高値での買い取りが行われ価格が再上昇し5キロ・4000円台になった時期も。

その後、「コメ不足」から一転、「コメ余り」となったのです。

農水省によりますと、5月末時点のコメの民間在庫量は、過去10年ほどで最高水準の223万トン(前年比+74万トン)となっていて、このコメ余りの現状で価格は下落しています。

(コメ政策に詳しい 日本国際学園大学 荒幡 克己 教授)
「業者の中には、まだ上がるんじゃないか…これがビジネスチャンスじゃないかという思惑もあり、かなり高値で仕入れたというのが実態…明らかに過剰なので売れないため値段を下げざるを得ない状況になってきた」

コメ余りの影響による価格の下落。

本格的な新米のシーズンを迎えようとする中、既に新米の収穫が始まっている地域では価格の動きが…。

JA鹿児島県経済連によりますと、鹿児島県産の早場米では農家に支払われる概算金。いわゆる販売価格の指標にもなるともいわれる前払い金が2025年よりも安くなっているといいます。

この動きに先週、鈴木農水相は…。

(鈴木 農水相)
Q.26年産の鹿児島県産の早場米価格が前年比2割安となることが分かったが
「コメの取引関係者が、今後の見通しとして、需給緩和確定かと見通している傾向が強い状況が継続しているということに十分が留意をして、市場には十分米の供給量があるということだというふうに思います」

需給バランスと価格の動向を注視する姿勢を示す農水省。関係者によりますと、静岡県内でも新米の概算金は安くなる見込みだといいます。一方で専門家は値段の下落について、こんな見方も…。

(コメ政策に詳しい 日本国際学園大学 荒幡 克己 教授)
「中東情勢もあり、肥料価格やその他の資材価格が明らかに上がっている。これを反映させられれば、明らかに2000円/5キロまでは下げられない…それは生産者にとってもそこまで下がってしまったら今度はやっていけない水準になってしまうので、そこはおのずと限度があるというふうに見ている」

消費者の思いとは裏腹に、中東情勢の影響などにより様々な物価が高騰する中で、生産現場の厳しい状況にも目を向ける必要がありそうです。

(スタジオ解説)

(澤井 志帆 アナウンサー)
改めて、こちらは米価格の推移です。1年7か月ぶりに3400円台となりました。青山さん、値下がりが止まらない中ですが、新米の時季も迫っていますよね。政府の方針はどうなっているんでしょうか?

(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
政府は高市政権になってから「受給調整」で価格をコントロールするという方針に戻したんです。つまり、需要が減ってコメが余れば、減反して作らないようにして、値段をある程度のところでコントロールするというやり方です。これは日本政府が長く続けてきて、令和の米騒動をきっかけに石破政権が転換したんだけど、それをまた元に戻したんです。ただ需給調整は今年のようにコメが余ってしまえば価格が下がるし、下がったからコメを作らないようにすると、また例えば気候不順とかで急に生産量が予測以上に下がるとバーンと価格が跳ね上がっちゃう可能性があるんです。来年の需要を予測するとか、生産量を予測するのは実は難しい。しかも、おコメは半年前に田植えをしないと結果が出ないので柔軟性がない。このやり方をしていると、おコメの値段の乱高下がいつまでも続きかねないと私は懸念していますね。

(レギュラーコメンテーター 津川 祥吾 氏)
私たち消費者としてはですね、お米の値段が安くなることはありがたいんですが、一方で生産者さんがお米を作らなくなる…それが一番怖いのかなと。実際、現場の人に聞くと高齢化も進んでますし「もう作るのやめようかな」という人が結構いらっしゃる。これでは私たち消費者も不安なんじゃないのかなと。

(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
全くその通りですね。今年おコメの値段が下がって米農家が離農してしまうと、復活させるのが極めて難しくなります。これは日常の食事の話でもあるけど、安全保障の話でもあるんです。イラン情勢の悪化で原油が入らなくなりましたが、例えば「台湾有事」が起これば日本のシーレーンが封鎖されて、小麦とかトウモロコシとか大豆とか輸入に頼っている食糧が入らなくなる可能性もあるんですね。その時には日本人はおコメを食べなきゃいけない。おコメは…政府が補助してでも作り続けてもらわなきゃいけない。だとすると、「需給調整」ではなくて別の政策に舵を切らなきゃいけないってことが、今回のこの事態を見ても私はわかると思います。

(レギュラーコメンテーター 津川 祥吾 氏)
「食料安全保障」ということについては、「食料・農業・農村基本法」という法律を2024年に改正した時に、合理的な価格形成が必要で、かつ国民一人一人が将来にわたって入手できる状態…これが安全保障が守られている状態だとしました。だから高値安定では「高くて買えないや」ってなってしまう。そこは価格も生産も両方守らなきゃいけない。そのために何が必要だと思いますか?

(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
やはりそれは政府が思い切って、農家を守るための補助金を一定程度、税金で賄うということですね。十分な生産量を維持し、下がった価格分は補填していくと。税金を使うということにアレルギーを持つ人もいるかもしれないけど、日本にとっておコメが大事だということであれば、それは防衛費と同じように考えて、価格を抑えつつ生産量を維持する政策に舵を切っていくことも必要じゃないか。需要と供給に任せるとどうしても米を作りすぎないようにしてしまう。それでも値段が下がれば特に物価が高騰している時代には、離農者が出てきて生産量がさらに下がってしまうということなんだろうと思います。

(澤井 志帆 アナウンサー)
私たちの主食・コメをどう守っていくのか…、私たち一人一人も考えていかなくてはなりません。