記事のポイント
ユニリーバは2026年のW杯で120市場・35ブランド・180種類の限定商品を展開する史上最大のスポーツ施策を実施している。
24時間365日稼働の「ザ・ロッカールーム」を中心に、試合の話題を即座にソーシャルコンテンツへ転換する体制を構築した。
5万人超のクリエイターと250人超のKOLを活用し、ソーシャルファースト戦略を本格展開する実証の場として大会を位置付けている。


2026年のサッカー・ワールドカップ北中米大会は、史上もっとも視聴されるスポーツイベントになる見込みだ。

6月12日の同大会の開幕戦では、サッカーアメリカ男子代表がパラグアイとの試合で平均1800万人の視聴者を集め、2022年の大会開幕戦から132%増加した、とYahoo! Sportsは報じている。

これは、同大会の公式パーソナルケアスポンサーであり、アックス(Axe)、ディグリー(Degree)、ダヴ(Dove)などのブランドを傘下に持つユニリーバ(Unilever)にとって朗報だ。Glossyがすでに報じたとおり、ユニリーバの戦略には限定製品の展開と、数千人のクリエイターを詰め込んだマーケティングファネルが含まれる。

史上最大の提携、120市場で35ブランドを展開



「これはユニリーバにとって史上最大のスポーツパートナーシップだ」と、ユニリーバのパーソナルケア部門でインテグレーテッド・ブランド・エクスペリエンス担当バイスプレジデントを務めるアフケ・ヴァン・デ・クラスホルスト氏はGlossyに語った。

「我々は120の市場で35のブランドを展開しており、世界中の数百万カ所の小売店舗に投入された180の限定製品を用意している」。

これには、4つの主要ブランド、ダヴ、ダヴ・メンズ、アックス、そして米国外ではレクソナ(Rexona)と呼ばれるディグリーへの注力に加え、ドクター・スクワッチ(Dr. Squatch)、ポーラチョイス(Paula's Choice)、ヴァセリン(Vaseline)、リキッドIV(Liquid IV)といったブランドの小規模なプロモーションが含まれる。

「我々はこの機会を過去最大の文化的スポーツイベントと捉えており、だからこそ自社ブランドを引っ提げて参加することに非常に意欲的だ」とヴァン・デ・クラスホルスト氏は述べた。

「同時に、これは世界でこれまでもっともソーシャルでつながったスポーツイベントになることも約束されている」。

24時間稼働の「ザ・ロッカールーム」でバイラルを狙う



ユニリーバは、社内で「ザ・ロッカールーム(The Locker Room)」と呼ばれるコンテンツハブを運営し、常駐のマーケティングチームを24時間年中無休で稼働させている。

これらのチームには、ユニリーバのクリエイターやコミュニティの専門家、そしてサッカー戦略担当者が配置され、大会の重要な瞬間を素早くバイラルなソーシャルメディアコンテンツに変える。

現在、このハブはニューヨーク、ロンドン、サンパウロなどに拠点を構える。ザ・ロッカールームは消費者向けに直接公開されているわけではなく、ライブ配信などを行う予定もないが、適切なタイミングがあれば、ニュースルーム(報道局)のようなセットアップの裏側を明かすこともいとわない構えだ。

「この大会はとてもとても広大で、機会が非常に多いため、我々はテリトリー(およびブランド)ごとに非常に明確な担当領域を設けた」とヴァン・デ・クラスホルスト氏は語った。

たとえば、ディグリーはハイパフォーマンスの瞬間に注力し、ダヴ・メンズのラインは顔のケアを中心に据え、ダヴは女性スポーツに関するあらゆることを網羅し、アックスのコンテンツは「最悪の見た目でも最高の香りを(smelling your best while looking your worst)」キャンペーンを通じて若年層の消費者にリーチすることに焦点を当てている。

「我々は、状況の変化に対応し、文化的な会話に入り込めるよう、非常に機敏かつ即応的であることを計画している」とヴァン・デ・クラスホルスト氏は述べた。

250人超のKOLと5万人のクリエイターを動員



同社はまた、「ハウス・オブ・フレッシュ(House of Fresh)」と呼ばれるクリエイター向けハブをニューヨークとメキシコシティに開設し、大会の準々決勝の期間中にはマイアミに3カ所目を開設する予定だ。

6月末、ニューヨークの拠点に関するコンテンツは、ブラジル出身の伝説的な元選手ロベルト・カルロスの有償出演と、CNNの放送での紹介のおかげで、ソーシャルメディアで10億回以上の視聴を獲得した、とヴァン・デ・クラスホルスト氏はGlossyに語った。

アスリートとのそのほかの有償パートナーシップには、ダニエル・スターリッジ、クリスティアン・プリシック、ヴィニシウス・ジュニオール、フロリアン・ヴィルツ、エンソ・フェルナンデスが含まれる。

カルロスは、招待制のハブに毎日集まる250人以上のキーオピニオンリーダーのひとりにすぎない。これらのスペースにはアクティベーション、ゲーム、サンプリングが用意されており、価値観の一致を確実にするために、すべてのゲストがユニリーバのチームによって入念に審査されている、とヴァン・デ・クラスホルスト氏は語った。そして、マイクロインフルエンサーが主な焦点となっている。

「我々は5万人以上のクリエイターを活用しており、これは我々にとって本当に大きなことで、もちろんそこには綿密な計画が注ぎ込まれている」とヴァン・デ・クラスホルスト氏は述べた。

「当社の新しいマーケティング哲学は、単に誰でもいいからブランドの代弁者として発言してもらうというものではない。本当に素晴らしいフィット感が必要であり、彼らが必ずしもブランドをそのまま代表するわけでなくとも、ブランドの代わりに語る人物として適切かどうかのマッチングを重視している」。

この夏はソーシャルファースト戦略のベータテスト



ヴァン・デ・クラスホルスト氏は、この夏を、CEOのフェルナンド・フェルナンデス氏が今年初めに発表したユニリーバの新たなソーシャルファースト戦略のベータテストと捉えている。

「我々はこれを、一度構築すれば今後も失われない『筋肉』のようなものと見ている」とヴァン・デ・クラスホルスト氏は語った。

「これからのすべての業務において導入していくものになるだろう。すでに多くの素晴らしい計画が控えており、今回学んだケイパビリティ(組織的な能力)をそれらに応用しはじめている。だからこそ、この戦略は一過性のものではなく、定着していくだろう」。

[原文:Unilever's jam-packed World Cup partnership is a beta test for its new social-first strategy]

Lexy Lebsack(翻訳、編集:藏西隆介)