知的財産権の保護促進を目的とする国際連合の専門機関である世界知的所有権機関(WIPO)は、2026年6月に実施された諮問委員会で、海賊版サイトが利用する決済サービスを標的とした「WIPOアラートペイ」というシステムの開発が進めらていることを明らかにしました。

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(PDFファイル)https://www.wipo.int/edocs/mdocs/enforcement/en/wipo_ace_18/wipo_ace_18_40_presentation.pdf

WIPO Alert Pay Aims to Cut Off Piracy Profits with Help from Payment Providers * TorrentFreak

https://torrentfreak.com/wipo-alert-pay-aims-to-cut-off-piracy-profits-with-help-from-payment-providers/

WIPOは2019年に加盟国が著作権侵害サイトを報告できる「広告ブロックリスト」を公開しました。このリストは広告主と共有され、広告主はこれを利用して収益がこれらのサイトに流れないようにすることができます。このシステムは「WIPOアラート」と呼ばれ、海賊版サイトの収入源を断つ試みとして長年にわたり運用されています。

2026年6月2日〜6月4日にスイスのジュネーブで開催された第18回執行に関する諮問委員会会合において、WIPOのトッド・リーブス氏は「資金の流れを追うアプローチの次なる段階」として、「WIPOアラートペイ」の開発を進めていることを説明しました。



リーブス氏によると、WIPOアラートペイは権利保有者とMastercardやPayPalなどの決済サービスプロバイダーとの自主的な協力に基づいて運営され、権利保有者は海賊版サイトが購読料やVIPアクセスなどの支払いに自社の決済サービスを利用している事例を決済サービスプロバイダーに報告することができるとのこと。権利保有者が必要な情報を提供することで、ドメイン名がシステムに登録される前にWIPOがその情報の完全性を確認し、その後決済サービスプロバイダーは独自の利用規約に基づいて海賊版サービスの疑いがあるアカウントに対してどのような措置を講じるかを決定します。

海賊版サイトの運営が認められた場合、まず権利保有者がサイト所有者に通知します。3営業日経過しても応答がない場合、WIPOが介入して2回目の通知を送付します。さらに3営業日経過しても応答がない場合、そのサイトはWIPOアラートペイリストに追加され、決済プロバイダーがその後の処理を行います。



WIPOはプラットフォームを安全にホスティングするのみで、著作権侵害の判断を自ら行うことはないとリーブス氏は説明しています。権利保有者から問題となっているサイトのリストを受け取り、それらのサイトに必要な情報と証明書が揃っていることを確認しますが、WIPOの役割としては形式的なチェックにとどまるそうです。

WIPOアラートペイは2024年11月から2025年8月まで手動による試験運用として実施され、匿名の権利保有者6名と決済プロバイダー2社が参加しました。試験期間中、海賊版コンテンツを扱っている疑いのある35のサイトを対象とした17件の措置を処理し、問題としてフラグが付けられたサイトの71%が閉鎖されるか、または対象の商品が削除されました。すべての参加者がシステムを肯定的に評価し「パイロット運用は有効」と判断され、システムを拡張する準備が整っているとリーブス氏は述べています。



また、試験運用に伴う調査では、一部のサイトが実際にはMastercardやPayPalのサービスを提供していないにもかかわらず、それらのロゴを表示していることも明らかになりました。これは、サイトが信頼性をアピールするために虚偽の表示をしているものと考えられます。

試験プログラムが終了したため、WIPOはWIPOアラートペイの最終段階に取り組んでいます。リーブス氏によると、ソフトウェアエンジニアが数か月かけて手作業によるワークフローを自動化プラットフォームに変換する作業を進めており、その作業はほぼ完了しているそうです。WIPOアラートペイは既にPayPalとMastercardに対応していますが、対応プロバイダーをさらに増やし、対象範囲を拡大していく狙いも明かされました。