ABS秋田放送

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こちらは昭和40年代から50年代にかけて撮影されたマタギによる狩猟の映像です。

マタギは山にわけ入ってクマなどを獲ってきた人たちで北秋田市の阿仁地域が発祥の地とされています。

山の中でクマと向き合ってきたマタギ。

市街地でクマの出没が相次ぐ中、マタギの子孫にあたり自身も狩猟を行っている男性は秋田で生息域を拡大させているイノシシがクマの行動に大きな影響を及ぼしていると指摘しています。

松橋翔さん
「どれくらい痛いのか、どれくらい硬いのかそういうところを実際確認してみてください」

北秋田市阿仁に住む松橋翔さん。

マタギの統領 シカリの家系に生まれた16代目です。

去年、3年間に及ぶ県外での修行を終えて地元に戻りました。

狩猟の腕を磨きつつ、去年から地元の観光協会でガイドを勤めています。

松橋さん
「どうですか?これ触ってみて勝てそうですかね?」

阿仁で捕獲されたクマの「つめ」と「きば」。

松橋さん
「これが実際襲いかかってくるわけです、最高時速60キロくらいまで」「で、手には十本の強烈なナイフを持ってますよと。勝てますか?無理です、勝てないです。なので(クマに)出くわさないための工夫が必要です」

この日開かれたのは自治体の職員を対象にしたクマ対策の研修会。

松橋さんが講師を務め、クマの生態や遭遇した際の対処方法を伝えました。

松橋さん
「よくこういう場所で出くわすのが、私も経験何度かあるんですけれども、いきなり低いうなり声が聞こえてくることがあります。 十中八九クマです」「逃げる時にですね、薮をかき分けて走るように逃げると、音が藪中全体に響きますと。クマからしてみると、茂みがいきなりガサガサしだして、 どっからともなく音が聞こえ出したと、どこにどれくらいの人がいるのか、 どれくらいの敵がいるのかわかんない状況なわけですよ。 クマはパニックに陥ります」「特に子連れのクマは子どもを守ろうとして防衛本能が働きますと。なので、できるだけ音は鳴らさないように、ゆっくり動きつつ距離を取ることが大事です。これがクマ対策の鉄則になります」

川沿いを散策していると松橋さんがクマ以外の痕跡を見つけました。

松橋さん
「ちょこんちょこんとちょこんちょこんと、ここら辺一帯がちょっと掘り返されて土がめくれてるようなところがあります。そっちまでずっと続いてます。 確実にイノシシがここら辺を生息する環境として選んでます」

この数年で顕著に見られるようになったイノシシの痕跡。

松橋さんは、秋田で生息域を拡大させているイノシシがクマの行動に大きな影響を及ぼしていると考えています。

松橋さん
「イノシシとクマの競合というのは顕著で、絶対にイノシシとクマっていうのは居合わせないようにクマの方が 移動していきます。なので最近シカ、イノシシが増えてきたことによって、クマの生息域がかなり追われてます。山の方に行ってくれればいいんですけど、里の方にクマが来ちゃうと今みたいな状況になるわけですね。 これからクマの食べ物とイノシシの食べ物競合すると、 今度それが被んないように畑の作物を食べたりするような クマが増えてきます。今、ここら辺のエリアではソバを植えたりしてるんですけど、ソバとかコメを食べたりするようなクマがちょっとずつ増えてきてます」
「動物の生態系というのはこのエリアに限定しても変わってきてます。イノシシが増えてきて、シカも増えてきて、で、サルも 増えてきてるかもしれないと。なので今までの常識っていうのは通じないです。クマが今までこうだったから、 これからもこうだっていうのは楽観的な考え方ですよと。動物というのは常に適応を続けながら変化していくものです。 なので、里のものの方がおいしいってわかれば里の方に近寄ってきますし、山の方が安全って思えば山の方に帰っていきますと。なので、そこの棲み分けっていうところを一つやっていかないといけないです」

急速に変化する生態系。

松橋さんが一番危惧しているのが、イノシシやシカを襲い成功体験を重ねたクマがエサの傾向を変化させることです。

松橋さん
「今までなかった新しい食料っていう風に認識されちゃうと、もうそこからは新しい食性のクマが出てくるっていうことになるので、肉食寄りのクマが増えてくるっていうのは一番危惧しているところです」

変化する生態系とそれに順応するクマ。

相次ぐ市街地への出没と人への被害を減らすために、まずはクマのことをもっと深く知るべきだと松橋さんは考えています。

松橋さん
「学び続けることが大事だと思ってます」「クマが変わってる中で人も変わらないといけないなっていうのは強く感じているので、私自身も含めて今学び続けて変わり続ける必要があるなと思ってます」

※6月9日午後6時15分のABS news every.でお伝えします