【写真】ライバルながら、互いを支え合う存在だった坂本花織(左)とアンバーグレン

写真拡大

 フィギュアスケート世界選手権(チェコ・プラハ)女子でアンバー・グレン(米国)と坂本花織(シスメックス)の心温まる一幕が脚光を浴びている。

 長年ライバルとしてしのぎを削ってきた2人。坂本が今季限りでの引退を表明しており、競技生活で戦うのは今回が最後だ。そこで坂本がグレンに対して贈った言葉が感動を呼んでいる。

 米メディア「オペレーションスポーツ」は「アンバー・グレンは記者会見で、ライバル選手からの心温まる言葉に全く予想外の感動を覚え、感極まってしまった」と伝えた。

 2人がそろって出席した会見で、坂本は隣にいたグレンに語りかけるようにこう切り出した。「アンバーがこのスポーツのために成し遂げてきたことは、本当にオリンピックだけにとどまらないんです」

「彼女はどの大会でも私たちを、そして私を応援し、励まし、褒めてくれるんです」。この言葉に、グレンは涙を浮かべて聞き入っていた。

 坂本は「通常、私たちの競技では、ライバル同士は大会前にあまり近づかないようにするものです」と指摘するが、グレンは全く異なるという。「彼女は、誰かが困っていたり苦しんでいたりするのを見ると『自分に何ができるだろうか』と考え、それを即座に行動に移せるタイプの人なんです」と熱く語った。

 この言葉の具体例として、坂本はミラノ・コルティナ五輪での出来事を挙げた。同メディアは「オリンピックで坂本が演技後に感情的になり、苦しい状況に陥った際、グレンは自ら進んで坂本を慰めたのだ。自身も5位だったにもかかわらず、グレンは自分の立場をいったん脇に置き、坂本の様子を気遣ったのである。その行動は見過ごされることはなかった。彼女の人柄とスポーツマンシップを象徴する出来事となった。坂本は、彼女の本能的な行動が、いかに彼女を特別な存在にしているかを説明した」とその背景を説明した。

 こうしたグレンの姿勢が、多くのスケーターたちから尊敬されていると坂本は力説。「日本のスケーター全員を代表して言います。彼女が自らの意思で競技を続けていることに、私たちはとても感謝しています。私はアンバーという人間を本当に、本当に尊敬しています」と熱く語った。

 この言葉を聞いたグレンは胸に手を当てて号泣。感激のあまりあふれ出る涙を両手でぬぐった。

 同メディアは今大会を象徴するような場面だったと強調。「グレンにとって、このような公の場で称賛の言葉を聞くことは、まさに感激だった。それは、彼女の影響力が技術点や表彰台での成績をはるかに超えるものであることを改めて実感させるものだった」とたたえた。2人の特別な信頼関係は世界中で感動を呼んでいる。