『豊臣兄弟!』要潤&中島歩ら今後の“敵”たちもハマり役の予感 信長と市の“兄妹の絆”も
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第10回「信長上洛」では、信長(小栗旬)が天下布武を掲げ京へ上る。それは足利義昭(尾上右近)を将軍として、今一度幕府の威光を世に知らしめるため。しかし、信長にとって天下布武はただの通り道であり、その先の天下一統を見据えていた。
参考:宮粼あおい、『豊臣兄弟!』お市役がピッタリな理由 『篤姫』から続く内に秘めた強さ
第10回では足利義昭、そしてその家臣・明智光秀(要潤)が登場。言わずもがな、義昭はのちに信長と対立を深める将軍であり、光秀は「本能寺の変」において信長を自害に追い込む奸臣となる人物。信長にとって因縁とも言える2人が新たに姿を見せ、特に光秀が信長に上洛を進言するシーンには、すでに緊張感が走っている。
そのきっかけとなるのが「ただの順番であろう」という信長の言葉。兄の13代将軍・義輝が暗殺されたことで、義昭が次期将軍候補として仏門から還俗。本来将軍になるはずではなかった義昭にとっての核心をつく一言だ。「ほかが動かぬ故、織田を頼ることにした。違うか?」の余裕たっぷりの信長=小栗旬の台詞回しにも観ていて震える。こちらが一枚上手なのだと牽制する信長に、光秀も早々に手の内を明かし、その無礼な態度に勝家(山口馬木也)ら重臣も神経を尖らせる。
そんな中で信長が援軍として上洛を引き受けたのは、その場に義昭が同席していたから。鋭い観察眼から光秀の従者を義昭だと見破り信長に報告していたのは半兵衛(菅田将暉)。信長と半兵衛、小栗旬と菅田将暉による見えない場所でのコンビネーションに心躍りながら、『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の久能整を想起させるようなミステリー要素を取り入れていることからも、第6回「兄弟の絆」の時に見られたような挑戦の姿勢を感じずにはいられない。
天下布武とは京の都に幕府を再興し、畿内五国を平定、武士の力で再び世に秩序をもたらすことを意味する。京へ上るには、その手前にいる大名の六角家、浅井家との争いは避けられない。信長は市(宮粼あおい)を浅井家の当主・浅井長政(中島歩)に嫁がせることで同盟を結ぶ。言うなれば、市は浅井家への“人質”なのだ。
市の元に呼ばれ向かったのは、女好きの藤吉郎(池松壮亮)ではなく、手前の“弟猿”こと小一郎(仲野太賀)。男に生まれれば、兄とともに戦に向かうこともできたと話す市が「この婚礼はわたくしの初陣じゃ」と小一郎に心の内を明かす姿に、凛々しさと儚さを感じてしまう。織田家のためと市を浅井家に嫁がせつつも、「知れば迷うてしまうやもしれぬ」と大切な妹を思う信長と、全ては兄のためを思う市。そこに垣間見えるのは“兄妹の絆”だ。
近江・小谷城で開かれた婚礼の宴に出席した勝家に、市が伝えた小一郎への伝言「嘘から出た実じゃ」「そなたのせいでわたくしは不幸になった」は、小一郎が市を励ますために話した「浅井長政殿は、秀麗なお顔立ちにて、気性もお優しく、物静かで穏やかな、誰からも慕われるお人とのこと。お市様はきっとお幸せになれまする」という“作り話”へのアンサー。市が告げる「長政殿よりもわたくしにおうてるやもしれぬ。いっそお前と一緒になる方がましであったな」という思いもしない言葉に、冗談が通じない無骨な勝家が動揺しまくる姿がユニークでかわいらしい。
言うまでもなく、長政はのちに義兄となる信長に反旗を翻す人物。義昭、光秀、それに長政と、第10回では信長と対立していくこととなる3人が新たに登場した。義昭は第15代将軍となり、その功績から信長に副将軍の地位を与えようとするが、信長はそれを固辞。腹の底が見えない信長に、義昭と光秀は“一番厄介なやつ”だと一抹の不安を覚えていた。すでに信長と義昭側とで亀裂が生じ始めている。
義昭の下にはつかずに、すさんだ京の都で小一郎たちに銭をばら撒かせる信長。「天下布武などつまらぬ」とため息をつき、信長は「ただの通り道じゃ。わしはこの日の本を一つにする。天下一統じゃ」とさらなる景色を見据えていた。
第11回のタイトルは「本圀寺の変」。かつて将軍・義輝を殺した悪名高き男・松永久秀(竹中直人)が本格登場し、大河ドラマ『秀吉』(1996年)で秀吉を演じた竹中直人と池松壮亮の共演が実現する。(文=渡辺彰浩)
