「自分は死ぬまでいるが子ども達は上京するだろう」百貨店や映画館が消えていく地方都市のリアル
今月、「『チェーン店すら撤退』『百貨店が県内にない』 地方民が“地元の終わり”を感じる瞬間」という記事を書いた。その記事が話題になったみたいで、同日夜には5ちゃんねるにも記事を引用したスレッドが立っていた。
ぼんやり自分の住んでいた地元・宮崎県延岡市の衰退を思いながら日記感覚で書いた記事だったので、スレッドでは「日記書くな」みたいな反応もちらほら。まあこれは仕方ない。
で、その5ちゃんねるのスレッドを読んでみると、結構我がふるさとについて認識している人が多かった。なんでかなって思ったけど、考えてみれば延岡ってなんか陸上競技のメッカみたいなところあるんだよね。
僕も高校時代駅伝やってたのにすっかり忘れてた。谷口選手とか宗兄弟とかいるもんなぁ。前回書いたけど旭化成の創業地だし、あとチキン南蛮発祥の地だし。あ、桝元の辛いラーメンもか。あそこ昔は旨いレバー出してたんだけど、もう食えないのが惜しい……。(文:松本ミゾレ)
故郷はやっぱり衰退の一途…悲しいけどこれ、現実なのよね
ちょっとせっかくなので、スレッドにあった延岡を知っている人たちの声ってのを引用させていただきたい。地方都市あるあるみたいな話が並ぶので、田舎者は我が事として読んでみてくださいよ。
「延岡は旭化成は未だ健在なのに何故続々没落したの?」「延岡って駅はきれいになってたような(筆者注:はい、駅だけはきれいになりました!)」「延岡といえば旭化成城下町。まあまあ恵まれた方な感じはするんだが地方衰退のトレンドからは逃れられないか」「延岡市は別にそこまで衰退してはいないけど、九州の反対側の熊本と比べちゃうとな。TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)で物凄い活性化した街を見ちゃったら、基準が変わっちゃったんだろうな」「その延岡在住だが衰退を肌で感じるな。まぁワイはたぶんタヒぬまでいるが子供達は上京するだろう」
こういう具合に、やけに現地の事情に明るい人たちの声が。みんな物知りだなぁ。
ここには引用してないけど、旭化成グループの工場で火災があった、って書き込みもあった。これは2020年に発生した旭化成エレクトロニクス株式会社の半導体製造工場の火災を指している。ここ、僕の友達も勤務していたんだけど職場が消失しちゃったせいで転勤になっちゃったんだよね、それから今もまだ延岡に戻れていない。転勤先もさいわい宮崎県内なんだけど、そこも結構な田舎で……。
やっぱり昔あった“便利”がどんどん消失するのはしんどいものです…
昔話してもダメなんだけど、僕が今、積極的に田舎に帰らない理由って色々あって。やっぱり1つには、交通系ICが普及していない以前に電車もバスも少ないので、車を持たない僕が帰っても不便極まりないというのがまず1つ。
これも昔はもっと交通インフラが充実してたのよね。でもジジババばっかりになっていくと、だんだんね。たとえば2005年までは延岡と、天孫降臨の地として知られてるっぽい高千穂を繋ぐ鉄道とかあったんだけど、台風のせいでえらい被害に遭ってそのまま廃線になっちゃった。
採算性もないため、これはもう仕方がないんだけど、田舎者としてはこういう適切な判断も、足を削がれる気がするものなのよ。
あと、やっぱり市内に百貨店がないのは実利以上の衝撃があるのだ。屋上にレストランがあるとか、おもちゃ売り場にいっぱいガンプラがあるとか。本屋もあったり1階で総菜買って帰れるだとか。
そういう田舎においての大娯楽である買い物を十分楽しめる施設がなくなるって、凄い大きな欠損に思えるんだよね。
あとはいくつかあった映画館が無くなったり、商店街が老朽化でどんどん暗くなったり、お祭りがなくなったり。そんなのを、ちょっと直視するのが辛いというか。自分の育った場所が死んでいくのって、見たくないのかな。それを見るのも怖いのかも。
なにより、数年前に地元に残った友達から、昔は城があったけど今は石垣ぐらいしか残っていない高台がなぜか七色にライトアップされている画像を送られてきたのも精神的にキツいものがあった。
「石垣を七色に光らせてどうするんだよ」と。自治体の涙ぐましいけど完璧に間違えているアクションを知ると、なお余計に、滅び行くふるさとが哀れに思えてしまうのだ……。

