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AI見守りカメラで、変わる介護現場

高齢化が進む社会で介護を必要とする人は増え続けています。その一方で、現場では人手不足が深刻に。スタッフに重く圧し掛かる負担。その現状を変えようと、今、新たな挑戦が始まっています。

<写真を見る>介護現場を支えるAIの実力

「利用者の環境もいいし、職員の環境も良くなる」
「本当に助かっています」

AIが支える介護の最前線です。

約15年後に待ち構える「介護職の不足」

熊本県では、介護の魅力を発信し、人材確保につなげる取り組みを進めています。

熊本県高齢者支援課 西村徹さん「県民の3人に1人が65歳以上の高齢者と言われていて、厚生労働省の推計によると2040年ごろにには必要とされる介護職に対して熊本県で9500人ほど不足する」

AI見守りカメラ「ミモリック」の実力

そんな中、新たな視点で課題の解決に取り組んでいる介護現場があります。

約170人が暮らす高齢者施設です。ここで独自に開発されたのがAI見守りカメラ「ミモリック」

夜間、入居者の起き上がり動作をAIが検知し、スタッフに知らせます。

しょうぶ苑 合志明展さん「介護を必要とする高齢者の方々が夜間に転倒するケースがよくある。この転倒を防止したいということが1つですね。そして2つ目が介護職の人。その人たちの介護負担の重さを軽減したいと」

従来のセンサーは誤報も多く・・・

高齢者にとって、転倒は骨折や寝たきりにつながる大きなリスクです。これまで使っていたセンサーでは、通知音が鳴っても部屋の様子は分からず、鳴る度にスタッフが駆けつけていました。

江津しょうぶ苑 田子森華さん「夜間は14~15人をひとりで見るんですけど、もしかしたら物を落とされただけかもしれないというだけでもやっぱり行かなきゃいけなくて。もうバタバタ毎日動いてました。」

さらに、従来のセンサーは、寝返りにも反応し「誤報」も多くありました。

それでも本当に危険な瞬間を見逃してはいけない。その緊張が夜勤スタッフの心と体をすり減らしていました。

江津しょうぶ苑 田子森華さん「2箇所同時に鳴ったり、どうかしたら4箇所同時に鳴ることもあるんです。びっくりします」

しょうぶ苑 合志明展さん「誤報が多いからしょっちゅう鳴ると。しかし実際に行かなければならない時には間に合わないと。そういう難しい中で夜勤が辛くなるという風なところがありまして」

「転倒と現場の負担を、減らしたい」という思いから始まった独自開発。現場の声を拾い上げ、完成したのが「ミモリック」です。

驚きの業務改善

江津しょうぶ苑 渡邉康一朗 苑長「お部屋に夜間訪室する回数が73%減少しております。それと転倒が1/3に減少しております」

リアルタイム映像モニターに映ります。

肝は、AIによる人物の認識と、自由に設定できる黄色のエリア、夜はベッドに合わせてエリアを設定し、入居者がその枠を越えようとすると、色と音で通知します。

“立ち上がる前”を知らせる仕組みです。

起き上がり動作を正確に識別することで、誤報は大幅に減少しました。

スタッフは「必要なとき」に「必要な部屋」へ向かえるようになりました。

AIが介護を〝手助け〟

江津しょうぶ苑 渡邉康一朗 苑長「鳴ったから行くっていうわけじゃなくて、最終的に人が判断する前段階をAIがやってくれる」

田子森華さん「音が鳴った時に見る。モニターで部屋の状況を確認して、行かなきゃいけないか、行かなくてもいいことなのかっていうのが判断できるようになって、効率よく動けるようになってます」

すると、業務に余裕が生まれ、走り回る夜勤から、落ち着いて寄り添うケアへ。

入居者や家族の安心感

入居者の家族「安心ですよね。私としてはですね、転んだ時にさっと助けに来てくれると思ったんだけど、もう転んだ後だから骨は折れてると思うんですよ。そしたらもう起き上がった時点で連絡がいくんですよね。びっくりしました。なんかAIがどうのこうのって私よくわからないんですけど、母は夜中によくトイレに行くと言うので、すごく助かりますね。」
入居者(98歳)「安心ですね。転ばないように注意はしているけど、転んでしまうと入院して寝たきりになってしまうもんね」

家族にとっても「見守られている」という安心感が広がっています。

新人や外国人材にも好影響

さらに、経験の浅い新人や外国人スタッフでも、映像で状況を把握できることで、落ち着いて判断できるようになりました。

働きやすさと介護の質の底上げにもつながっています。

しょうぶ苑 合志明展さん「初めて取り組む人も、介護を続けられるぞという風なやりがいを見出してほしいんですね。やりがいを見出すためにはやっぱり余裕が必要。このカメラを導入して少しの余裕ができ『介護をやっていてよかったな』と思ってもらいたい」

介護の現場を、誰もが誇りを持て働ける場所に。

熊本発の挑戦が、未来の介護を照らします。

江津しょうぶ苑 渡邉康一朗 苑長「テクノロジーを使ってどれだけ業務を効率化していくか。そこがこれからの介護の進むべき道かなと」
江津しょうぶ苑 田子森華さん「利用者さんの笑顔が守れて、私たちスタッフの笑顔も守れるような素敵な介護の現場であってほしいなと思ってます」