【未来育む両利き予算】2026年度県当初予算案発表…過去最大規模の一方で課題の財政健全化と両立目指す(静岡)
10日発表された静岡県の2026年度当初予算案は“過去最大規模”となりました。その一方で知事が課題としているのが財政の健全化。投資と財政健全化両方を目指す予算案とは…。
10日、鈴木知事が発表した静岡県の「来年度当初予算案」。
(鈴木 知事)
「ことしの当初予算はズバリ『未来を育む両利き予算』とさせていただきました」
一般会計の総額は過去最大規模となる1兆4141億円で前年度から418億円増えています。テーマは“未来を育む両利き予算”。
その投資の一方で気になるのが…。
(鈴木 知事)
「財政健全化指標の状況は全国下位であり、財政危機宣言に匹敵する状況と申し上げるざるを得ませんが、財政の健全性を回復する道筋を示すことが重要であります」
これまで、2026年度の当初予算編成に向けて“640億円の財源不足”が試算されていました。その点はクリアされているのか…地方行政に詳しい専門家は今回の予算案について…。
(静岡産業大学 小泉 祐一郎 教授)
「神ワザ的な予算になっている。 矛盾するところをうまく組み合わせてやっているなと」
就任2年目・鈴木知事肝入りの当初予算案気になるその中身は…。
まずは「投資」についてです。
災害に強い道路整備や河川改修など公共事業には補正予算も含めて約950億円と去年より100億近く増額しています。
観光関連事業には21億6000万円。インバウンド推進のため新たに宿泊・観光施設改修への助成のほか河口湖や箱根などから三島や伊豆への周遊促進や消費倍増を目指す取り組みも進めます。
産業面では企業立地関連事業に80億円。この中でゲームやアニメなどのコンテンツ業界の誘致にも新たに力を入れます。そのほかスタートアップ支援に6億円。新たな事業として事業承継をした後継者の支援に2000万円。デジタル人材の確保や育成の事業に1億7000万円となっています。
また、医師確保関連事業には約40億5000円。県内で医師が少ない地域を重点地区として医師派遣を支援するほか医師の勤務・生活改善を行う医療機関への助成などです。
続いては「財政健全化」への取り組みです。
当初の試算では県の純粋な借金となる「資金手当債」を70億円発行しなければ予算が組めない状況でしたが、各事業の見直しを全庁的に行ったことで歳出を削減したほか、国の交付金で想定よりも歳入が増えたことで、財源不足額は640億円から285億円まで減少。資金手当債の発行は当初の70億から50億にとどまっています。
10日の会見で、鈴木知事は「いまだ危機的状況に変わりはない」と説明し、財政健全化に向けた取り組みを発表しました。
(鈴木 知事)
「毎年500億を超える財源不足の中で、資金手当債で自転車操業的に財政運営をしてくるという状況が続いていたので、ここから脱却するためには1年やそこらじゃ難しいので、まず改革強化期間に資金手当債に頼らなくても予算編成できるようなところまで持っていきたい」
計画では、2028年までに「資金手当債の発行額ゼロ」を目指すほか、現在1兆5714億に膨れ上がっている通常債残高を2028年末に300億、2034年末に1000億削減することなどを目標としています。
そのための方策として、浜松市の新野球場や県立図書館など大規模プロジェクトの計画を見直すほか、今後の人口減少を踏まえた県庁・教育委員会の職員数適正化として、現在の2万5000人から15年間で約5000人減を目指す方針を示しました。
予算案から見える“鈴木知事の県政方針”について、元県職員で地方行政に詳しい静岡産業大学の小泉教授に聞きました。
(静岡産業大学 小泉 祐一郎 教授)
「予算の歳出を大幅に160億円 を削減しながら、一方で未来型の 投資ということで、産業振興や人材投資、高校の設備投資など公共投資は増やしたり、神ワザ的な予算になっている。 矛盾するところをうまく組み合わせてやっているなと。公共投資を減らすのではなくて、個別の細かい事業や予算の支出を非常に網羅的に点検して160億円を削っている。たとえば正月の門松。その予算まで削っていると聞いた」
“歳出削減”と“未来投資”を両立した神技的な予算と評価した小泉教授。一方で、鈴木知事が目指す“長期的な視点での財政健全化については、今後の大きな課題だと言います。
(静岡産業大学 小泉 祐一郎 教授)
「鈴木知事は、資金手当債といった 借金をできるだけ減らしていこうとしているので、ことしは 何とか組んで来年度予算はできたが、これをさらに削り込んでいくのは並大抵のことではないので、難易度がさらに上がっていく。そこをどうするかというのは、これからの課題だと思う。単年度でできなかったものとしては、公共投資以外の大規模なプロジェクト。これについて、実施のやり方とか内容を見直して経費をある程度削減していくとか。大規模プロジェクトの見直しをどのようにしていくか」
