「お願いだから、カメラを向けないでくれ」アルペン元女王の“悲鳴” 緊急事態で選手を守った独解説に賛辞相次ぐ「素晴らしい判断」【冬季五輪】

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雪面に激しく打ち付けられ、転げ落ちるボン(C)Getty Images

 ショッキングな幕切れだった。現地時間2月8日に行われたミラノ・コルティナ五輪のアルペンスキー女子滑降で、41歳のリンゼイ・ボン(米国)が転倒。その場でヘリコプターに乗せられて救急搬送。左足の骨折による緊急手術を余儀なくされる事態となった。

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 大会の約1週間前に左膝前十字靱帯断裂などの重傷を負ったボンだったが、自身最後の五輪と決めた今大会への意欲は消えず、周囲の反対を押し切って強行出場。5日の公式練習では、靭帯が切れているとは思えない爽快な滑りを見せていた。

 しかし、恐れていた事態が起きてしまった。スタートからわずか13秒で踏ん張りが利かずに旗門に右腕を引っかけたボンは、身体を雪面に激しく打ち付ける形で転倒。自力で起き上がることも叶わない重体となった。

 搬送後の報告で様態の安定が確認されたが、レジェンドが迎えた悲惨な瞬間には、周囲も騒然となった。そうした中でドイツの公共放送『ARD』で解説を務めたレジェンドの対応が反響を呼んだ。

 この日、同局で解説を務めていた元ドイツ代表のフェリックス・ノイロイター氏は、雪面に打ち付けられるボンの転倒を目の当たりにするや否や、「なんてことだ…ああ…くそっ!」と取り乱しながらも必死にリポート。さらに治療を受けている最中にボンの悲鳴にも似た叫び声が中継音声に乗ると、「お願いだから、カメラをそっち(ボンの方)に向けないでくれ」とスタッフに懇願。さらに「もう何度も見る必要はないはずだ。音も消してあげてくれ。私は耐えられない」とボンを守るように訴え続けた。

 元アルペンスキー選手として、ボンの偉大さも、競技の難しさも熟知している。だからこそ、41歳のレジェンドが苦しむ姿は目にしていられなかったのだろう。ノイロイター氏のリポートはネット上でも称賛を集めており、中継を見ていた視聴からはXで「共感的で、敏感で、思いやりに満ちていた」「咄嗟の素晴らしい判断だ」といったコメントが寄せられている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]