(※写真はイメージです/PIXTA)

写真拡大

「成功している人のマネをすれば、自分も成果が出せる」頭ではそうわかっていても、実際にこれを行動に移せる人は驚くほど少ないものです。わかさ生活創業者・⻆谷建耀知氏は18歳の頃、ある販売会社でトップの成績を出し、月給100万円超えや賞与400万円を達成しました。そして、会社から求められ、その稼ぎ方の全てを同僚たちに教えます。ところが、誰もやり方をマネようとはしなかったのです。本記事では、同氏の著書『誰でもできる! 結果に繋がる超・マーケティング思考 すべての答えは個客の中にある』(アスコム)より、組織を変えることの難しさと、成果を出すために本当に必要な視点について解説します。

18歳高卒、健康商品の宣伝講習販売をする会社に入社

訪問販売の会社を辞め、そのあとすぐに入った会社での経験が現在の仕事に繋がる、わたしのスタートラインになりました。その会社は、今ではなくなってしまいましたが「サンケン株式会社」という名前で、健康商品の宣伝講習販売と呼ばれる事業をしている会社でした。「ジャパネットたかた」のテレビショッピングをリアル店舗でするような仕事です。

宣伝講習販売という仕事は「主婦やご老人の方々に無理やり売り付ける」、「クーリングオフなどを受け付けない」などのネガティブなイメージを持たれることもありますが、どんな仕事でも「悪いことをする一部の人たち」の事例が大きく報じられ、そのイメージが付いてしまうものです。宣伝講習販売は現在でも行われている販売方法のひとつで、幸いわたしが入ったサンケンは「相手を騙して売りつけてやろう」、「無駄に高額なものを売りつけてやろう」という方針の会社ではありませんでした。

基本給18万円・入社2ヵ月の新人が成績トップで「給料78万円」を稼いだあと…

サンケンでは月に1度の全社会議があり、成績優秀者が発表をさせられるという文化がありました。わたしは成績1位になれた翌月、会社から全社会議での発表を命じられたのでどのようにして烏龍茶(※)が売れたのか、自分がどう考え、何をしたのか、ということをすべて話しました。

※今では烏龍茶は日本人なら誰もが知っているお茶の一つとなりましたが、当時は「中国から来たダイエットや美容にいいお茶」というイメージのものでした。

わたしとしては、当然誇らしさや嬉しさもありましたが「自分のやり方が会社に広まって、皆が喜んでくれたら嬉しい」という考えや「会社から言われたから全力でやる」というスタンスだったので、隠すところなくすべてを話しました。ここでわたしは、今でも課題に感じることがある「人間の習性」を体験しました。

誰も「成績が上がる方法」を実践しない

全社会議の後、わたしが話したやり方を実践している人が一人もいなかったのです。わたしが烏龍茶販売で1位になれた方法は

・ファン作り  …… 日々の掃除、お客さんの名前を覚える

・お試し体験  …… 購入前の試飲

・セット割引  …… 単品ではなく12ヵ月セットで値引き

・関係構築   …… 配送などのアフターサービス

・ファン活用  …… ファンの方に協力をしてもらう、感想を貰う

という方法で、専門的な知識や技術は必要ないものでした。しかし、それを誰も実践していなかったのです。当時のサンケンのやり方は「インストラクターが前で商品説明をして、ワキが注文を取りに行く」という方法でした。一方、わたしのやり方は「地道な活動でファンを作り、商品を体験してもらって、相手から買ってもらう」という方法です。

「1位を取ったから生意気だ」、「⻆谷のやり方なんてマネしない」というようなことはなく、人間関係も普通であり、むしろ高い給料を貰ったので羨ましがられていたような環境であったのに、誰も「成績が上がる方法」を実践していなかったのです。当時のわたしは新人のプレイヤーであり部下もおらず責任者でもなかったため、周りに対して「なんでやらないんだろう」、「やったらいいのに」と思っているだけでした。

波はありましたが、ほぼ毎月上位の成績であり給料は55万円、94万円、130万円といった月もあり、もっとも多かった月は賞与400万円というものでした。そして、うまく行くたびに全社会議で発表をしていました。

自慢がしたいわけではなく「このような結果が出ていたのにほとんどの人がわたしのやり方のマネをしなかった」ことに驚いていました。表面上だけマネをする人はいたのですが、それで毎回結果が出ていたわけではありません。それは「形だけマネ」をしており、目の前のお客さんに合わせて考えていなかったからだと思っています。

いくら結果を出しても、周りの人のほとんどは当時のやり方、すなわち前例である「インストラクターが前で商品説明をして、ワキが注文を取りに行く」という方法から変わることがありませんでした。「注文を取りに行く」というより「押し売りに行く」ようにお客さんに話しかける人がほとんどで、しかも決まって「自分と距離の近いお客さんに、端から順番に声を掛けていく」というやり方でした。

稼げない人たちが陥る「前例主義」

わたしは「押し売り」はしません。しません、というかできない性格です。なので「明らかに欲しそうな人」だけに目を付けてその人のもとに向かい、「佐藤さん、いりますよね? 何個にしますか?」と声を掛けていました。お客さんも買う気の人ですから「あっ、ありがとう、3個欲しいわ」とスムーズに心地よく注文をくれます。お客さんと関係性ができたあとは「鈴木さん、名前書いといたよ。個数だけ書いといてね」と、明らかに欲しい人には先回りして名前を書いた注文用紙を配って最後に回収する、ということもしていました。

そのようなことを隠さずに伝えていました。それでも、ほとんどの人が「前例と同じやり方」から変わらなかったのです。わたしは「他人と違うことをして目立ちたい」、「型破りなことをしたい」という考えは持っていません。成功している前例ならそれを続ければいいと思っています。しかし、成長したい、売上を上げたいなど「これまで行ったことがない領域に行きたい」ときや、お客さんを見て「こうした方が喜ぶよね」ということがあったときは前例の有無は関係なく「お客さん起点の仕組み」を考えた方が確実に良い結果に繋がります。

国家公務員や水道、ガス、電気、公共機関などの生きるために必要なインフラを守るような仕事であれば「決められたことをミスなくやっていく」という仕事のスタンスで構いません。むしろ、それが大切です。ですが、普通の会社に勤めている、要は「お客さんに良い商品、良い体験を届けて、お礼にお金をもらう」という仕事であれば、常に「お客さん起点の仕組み」のことを意識しておきましょう。

もし「わたしは社内業務が仕事だから、お客さんとは話しません」という人がいたら「あなたに仕事を依頼する人、関係する人がお客さん」と考えてみてください。上司、会社の言うことを聞け、という事ではありません。ムリに業務を引き受ける、残業をする、といった「対処的でその場限りな、継続性のない方法」ではなく、相手が喜ぶ状況が作れれば、あなたの評価も上がっていくでしょう。

⻆谷 建耀知

株式会社わかさ生活

代表取締役社長