なぜ捜索難航? 阿蘇遊覧ヘリ事故から2週間 ドローン、火山研究の専門家たちが見た「火口での活動実態」 冬ならではの厳しい条件
遊覧ヘリ事故から2週間
熊本県の阿蘇中岳の火口で、大破した遊覧ヘリコプターが見つかった事故から2月3日で2週間です。しかし、今もヘリに乗っていた3人は見つかっていません。
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難航する捜索活動の現状と課題を取材しました。
運航会社に業務上過失傷害の疑い
1月20日、男性パイロットと台湾出身の男女2人が乗った遊覧中のヘリコプターが行方不明となり、その後、阿蘇中岳の第1火口内で大破した状態で見つかりました。
この事故について熊本県警は、ヘリの運航会社で岡山県に本社を置く「匠航空」に業務上過失傷害の疑いがあるとして、2月2日までに本社や阿蘇市にある観光施設のヘリの発着場など複数か所を捜索したことが、熊本県警への取材でわかりました。
県警は、押収したヘリの運航計画や整備記録などを分析しています。
匠航空は、RKK熊本放送の取材に「関係当局による確認・捜査が進められている」と認めた上で、「引き続き誠実に協力していく」とコメントしています。
現場で進む「ドローンによる監視業務」とは?
一方、ヘリに乗っていた3人の行方は今も分かっておらず、事故から2週間となる2月3日も、消防と警察が火口近くで活動を続けています。
消防によりますと、そこで行っているのが「ドローンによる監視業務」です。
ヘリの上空にドローンを飛ばし、状況の変化や要救助者がいないかを確認している他、今後の活動に向けて火口内のガス濃度を測定しているといいます。
「データがない」火口でのドローン操縦
事故以降、監視作業が断続的に続けられていますが、ドローンの専門家は「火口の中という特殊な環境での操縦の難しさ」をあげます。
熊本県ドローン技術振興協会 上村雄二郎 理事長「阿蘇中岳は1500mほどあるので風の影響がある。火口は温度が相当高い可能性もあるし、湿度も高いだろうと。そういう条件に対応できるのか。多分、(ドローンを飛ばすうえでの)データがない」
火口内の環境が操縦に与える影響を知るため、ドローンを段階的にヘリに近づけていく必要があるといいます。
上村理事長「一気に現場まで降ろすわけではなく、少しずつ高度を下げることも一つの方法。それなりの段階を経て近づいてかないと、二次被害を起こす可能性がある」
専門家が指摘する通り、消防は「火口内での活動に必要なデータを集めるのに時間がかかっている」としています。
冬ならではの厳しい条件
ほとんど経験がない活動で二次被害の恐れがある以上、慎重に対処する必要があります。
京都大学火山研究センターの大倉敬宏教授は、研究で火口のすぐ近くまで度々行くことがあり、その際「火口底の近くのガス温度を測るなど、研究のために火口内でドローンを使用することもある」といいます。
ただ「この2週間ほどは風が強い日が多く、湯だまりから蒸発したガスが視界を遮るなど、ドローンを飛ばすのに条件の良い日が少ない。冬の間は、厳しい状況が続きそう」と話します。
また「大破したヘリの機体が見つかった北側の火口壁は高温ではなく、火口底の湯だまりからも離れているので、高温で近づけない状況ではない」としながらも「今の時期は、火口の縁が凍っていて足場が悪いので、捜索活動は厳しいと思われる」ということです。
加えて、消防は「火口内で活動できることが分かったとしても、ヘリにアプローチする(近づく・作業する)具体的な方法は現在検討中のため、すぐに活動を始められるわけではない」としています。
二次被害のリスクを避けて活動できる術はあるのか。極めて難しい判断が迫られています。
