富山労災病院 経営危機の現場は 魚津市が財政支援
魚津市にある富山労災病院は赤字が続き、市から財政支援を受けることになりました。この病院に限らず、富山県内の公的病院は、いずれも厳しい経営状況が続いています。現場は今、どんな状態なのか、富山労災病院を取材しました。
富山労災病院 角谷直孝院長
「ここはずっと1年中こんな感じ 真っ暗け。普段、照明はすべて消しております。 部屋の方も在室しているとき以外は消えている状態で、節電を心がけている」
1958年に当時の労働省が開設し、現在は労働者健康安全機構が運営する市内唯一の公的病院です。
70年近くにわたって地域の人々の健康を守ってきましたが、近年は慢性的な赤字に苦しんでいます。昨年度の赤字はおよそ5億7000万円、今年度もおよそ4億6000万円を見込んでいます。
今回、KNBは許可を得て院内を取材しました。
みえてきたのはコストカットに追われる現状です。
富山労災病院 角谷直孝院長
「ユニフォームなんですけど、年間に2つ、 2つくらいしか支給できないので。職員の発案でリサイクルしたらどうかということで、 余っているきれいなやつを拠出してもらって」
スタッフのユニフォームは、退職者などのものを使いまわしています。
リハビリ室のこの機械は、立ち上がる際にサポートするものです。しかし導入して33年が経過し、故障したままです。
「安定して動かなくて、時に止まったりする危険なので使用できない。立ち上がる際に職員が介助しているので、職員の負担が非常に多い」
影響は手術に使う機器にも。患者の体内に入れて使う腹腔鏡は。
手術室スタッフ
「今現在、こちらが壊れているので…」
3台のうち1台が使えない状態です。
X線で胃などを撮影する装置も。
「導入から14年になりました。検査してて、画像が暗くて見えないこともあるし、最悪、検査が中止ということもある。機器更新をお願いしてはいるが、高額なので 、じゃあはい、買おうとはならないのが現実」
思うような医療ができない現状に、じくじたる思いがあると言います。
「やっぱり 安全な医療を提供するのが私たちの仕事だと思っていますので、そういう意味ではやっぱり、装置が安全に使えることが私たちの中で一番大切なことなので」
病院ではコスト削減に加え、経営改善の一環としてこの春からは「急性期」医療への対応から「回復期」を中心とした対応に転換し、病床の削減も行う計画です。
しかし、構造的な問題としてあげられるのが診療報酬です。
2年に1度行われる診療報酬の改定で、近年はわずかに引き上げられるのみで、経費の増大に追いついていません。
富山労災病院に限らず、県内の公立病院や公的病院は厳しい経営状況が続いています。
KNBのまとめでは、県内の公立・公的病院はすべて昨年度の決算が赤字で、赤字幅が拡大した病院も多くありました。
魚津市は去年11月、市内唯一の公的病院である富山労災病院に対し、来年度から3年間で6億円の財政支援を行う方針を示しました。
魚津市 村椿市長
「市民の思いのこもった応援をいただいた病院を、地域医療の中核拠点として残していく、つないでいくということは非常に重要なことだと思っています」
一方で、角谷直孝院長は「診療報酬を10%上げないと黒字化は難しい」と話します。
富山労災病院 角谷直孝院長
「今の診療報酬のレベルであれば、どんだけ努力しても絶対に黒字化はしないと思います。この状況であの自分たちの努力だけでは」
公的病院の使命の一方で、急激な人口減少のなか、地域の医療をどこまで維持できるのか、先が見えない状況です。
富山労災病院 角谷直孝院長
「やっぱり存続できなければ、それも理念も実現できないんで。どこの病院もやっぱり今、完全に生き残り競争に入っていると思っていますから。もう生き残るってことはね、一番の生存本能ですから、それに向けてほとんど必死になってやってると思います」
県内の公立・公的病院をめぐっては、高岡医療圏の各病院や医師会で患者の診療情報を共有する取り組みが、今年4月にも始まる見通しです。改革の具体的な検討が大切だと思います。

