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これ以上は必要ない鋭い加速力

今回試乗したトヨタ・アーバンクルーザーは、パワフルな174psの方。車重は1800kgと軽くないが、0-100km/h加速は8.7秒がうたわれ、なかなか鋭い加速を披露する。小さなクロスオーバーとして、これ以上の勢いは必要ないだろう。

【画像】見た目は本格派SUV トヨタ・アーバンクルーザー サイズの近いEVと写真で比較 全192枚

だがドライブモードがノーマルかエコの場合、アクセルペダルを傾けてからパワーが上昇するまでに、明確なラグがある。鋭さを抑えつつ、もう少し線形的な反応の方が望ましいように思う。144ps版でも、不満ない加速を発揮しそうだ。


トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)

ブレーキはバイワイヤ制御で、減速感は滑らか。回生ブレーキの効きも直感的。3段階から強さを調整できるが、タッチモニターへ触れる必要がある。

アクセルオフで惰性走行する状態も、センターコンソール上のボタンで選べる。他方、ブレーキペダルを踏まずに止まれる、ワンペダルドライブには対応しない。

市街地で優れない乗り心地 正確な操舵感

乗り心地は、小さな側の18インチ・ホイールを履いていても、凹凸での揺れは大きめ。スプリングレートが高い反面、ダンパーの減衰力が弱めで、舗装の細かなツギハギでも落ち着きを失いがち。工事の多い市街地では、快適とはいえないだろう。

タイヤのグリップ力は高く、ステアリングは適度な重さで正確。感触がダイレクトで、小気味よく操れる印象がある。しかし、硬めの乗り心地の割にカーブではボディロールが大きい。もう少しフラットなら良いのだが。


トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)

高速道路では滑らかさが増すものの、競合をリードできる快適性には届いていない。47.8kWhの駆動用バッテリーを積む方が車重は軽く、乗り心地はベターかもしれない。風切り音が抑えられ、車内は概ね静かだ。

運転支援システムは、良好に動作していた。ただし、不必要な項目をオフにするには、反応の遅いタッチモニターを介することになる。

電費や航続距離は1世代前の水準

バッテリーEVとして肝心の電費や航続距離、急速充電の数字は、1世代前の水準にあるといわざるを得ない。気温8度の英国で、複合的な条件で試乗した電費は、平均3.7km/kWh。市街地では4.0km/kWhへ届いたが、高速道路では3.2km/kWhを下回った。

現実的な航続距離は、良くても300kmほど。競合モデルと比較すると、物足りない持久力にある。高効率なヒートポンプ式エアコンは、期待ほど効果を生んでいない様子。


トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)

急速充電も、47.8kWhのバッテリーで80kW、試乗車の59.8kWhで125kWと特筆すべき速さではない。トヨタのbZ4Xは高効率で、小容量のバッテリーでより長い距離を走れる。同社が、優れたEV技術を有することが明らかなのだが。

保障は充実し、正規ディーラーでの定期点検を条件に、最長10年間か100万kmまでカバーされる。インドでの生産だが、信頼性には自信があるようだ。

トヨタへ期待される高い水準へ達せず

重要なカテゴリーへ投入される、アーバンクルーザー。だが車内空間は広くなく、乗り心地は硬めで、タッチモニターの反応は遅く、航続距離は短い。確かに長所もあるとはいえ、競争力は充分とはいえないだろう。トヨタというブランド力があっても。

兄弟のスズキeビターラは、英国では4000ポンド(約82万円)お安く、四輪駆動を選べる。対するアーバンクルーザーは、前輪駆動のみでもある。


トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)

トヨタへ期待される高い水準へ、あと数歩ほど達していないと筆者は感じた。この仕上りへ、同社の上層部は本当に納得しているのか、疑問を抱かざるを得ない。

◯:ソリッドな製造品質 滑らかな回生ブレーキ 充実した保障内容
△:伸びない電費と航続距離 反応の遅いタッチモニター 硬い乗り心地 高めの価格

トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)のスペック

英国価格:3万4460ポンド(約703万円)
全長:4285mm
全幅:1800mm
全高:1635mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:8.7秒
航続距離:426km
電費:6.6km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1800kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:59.8kWh
急速充電能力:125kW(DC)
最高出力:174ps
最大トルク:19.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション/前輪駆動