JRT四国放送

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在宅療養者に対して、高度な知識で栄養管理を行う「在宅栄養専門管理栄養士」。

県内でただ1人、この資格を持つ女性を取材しました。

阿南市でホームヘルパーの派遣や、介護支援事業所を運営する「合同会社きずな」。

ここで勤務する、井上奈緒美さん。

井上さんは2025年末まで、小松島市内の病院で管理栄養士として勤務していました。

2026年に入って、この会社に在宅療養者に対して栄養管理を行う「認定栄養ケアステーション」が新たに創設され、井上さんが仲間に加わりました。

(きずな・仲西亜紀 代表)
「ヘルパーの事業所だけで運営していたのですが、本当に元気な方から明日が分からないような方まで支援をさせてもらってきたなかで」
「いつも、われわれの中で困るのが食事、どうしたらいいのだろうと悩んできたので、そういう方にでもお家で食事を摂っていただけるような、食事の可能性もどんどん広がっていくと思います」

井上さんは、栄養に関する問題を抱える重症疾患を持つ在宅療養者に対して、高度な知識や、技術で栄養を管理する「在宅栄養専門管理栄養士」の資格を持っています。

この資格を持つのは、県内では井上さんただひとりで、全国でも58人しかいません。

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「病院で勤務していたのですが、退院して自宅に帰っていかれて食事が自宅でうまくいかず、再入院してくるケースが多いんです」
「そこで、退院後の家での食事というのがすごく大事だと」

この日、井上さんは阿南市内で在宅療養する男性の家を、栄養指導のため訪問しました。

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「こんにちは、おじゃまします調子はどうですか」

(在宅療養者・池添晴彦さん)
「まあまあやな」

池添晴彦さん70歳。

池添さんは2025年、胃がんを患い、胃の3分の2を切除する手術を行いました。

思うように食べることができず、体重の減少など栄養面に大きな不安を抱えています。

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「冷蔵庫見ますよ」

冷蔵庫にある食材を見ることで、療養者の食生活を知ることができ、改善するべきところが見えてきます。

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「きょうどうしよう、何か食べたいものある?」

(在宅療養者・池添晴彦さん)
「エビチリやな」

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「エビチリにする?」

(在宅療養者・池添晴彦さん)
「うん」

井上さんは、栄養のバランスを考えた献立と、療養者の食べたいものの希望を聞き、2品調理しました。

しかし、よく見ると、療養者のリクエストで作ったエビチリは、ソースを半分しか使っていません。

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「あまり刺激物は(胃がんの術後には)良くないので、チリソースは少なめにして、あとはケチャップで味付けします」
「生活全般まで含めた支援ができるのが、専門の管理栄養士の強みかなと思っています」

栄養指導と聞くと、一般的には食を制限されると思われますが、井上さんの指導方法は「食べてはいけない」という制限はしません。

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「その人に合わせた食事、本人さんが希望するものをどうやったら美味しく食べられるかというのを考えながら、いつもアドバイスさせてもらっています」

(在宅療養者・池添晴彦さん)
「(井上さんの栄養指導は)ありがたいことやな。自分だけなら朝からカップ麺とか、自分で卵を焼いて食べるか、ほんなんやもん」

(記者)
「池添さん、どうでしたか?」

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「きょうはいつもより活気があって元気があったかな」
「日によって状況が変わってくるので、そういうところも細かく見て、他の専門職種につなぐというのも、大事な役割かなと思います」

在宅療養者の訪問を終え、ケアマネージャーに療養者の状況を細かく報告します。

事業所に井上さんが来たことで、利用者とコミュニケーションがとりやすくなったと、ケアマネージャーは話します。

(ケアマネージャー・多喜田サヨ子さん)
「普段から相談ができるということで、それが一番私にとって助かっているところです」
「(利用者の栄養に対する)対処方法もアドバイスもらえるし、必要であれば自宅に行って一緒に話を聞いてくれて、サービスに結び付けていくということが、円滑にできるようになりました」

(在宅栄養専門管理栄養士・井上奈緒美さん)
「食べるというのは、生きる力に繋がると思うので、そこをどうやって諦めることなく口から食べていくかというところを相談しながら」
「諦めている人が、もう一度チャンスをつかめるような管理栄養士になれたらと思います」

生活全体の視点で食・栄養の課題解決を行う「在宅栄養専門管理栄養士」。

食の大切さを在宅療養者とともに考え、寄り添う存在であり続けたいと井上さんは話します。