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会社という組織で、年齢を重ねるほど椅子は減り、評価はシビアになる――。実力や成果だけでは生き残れない現実に直面する中年社員に、いま静かに注目されているのが「推され力」だ。若手や同僚から自然と応援され、「この人のためなら力を貸したい」と思われる存在、通称“推しオジ”。出世競争に勝つための武器は、必ずしも能力や肩書きではないという。なぜ“推される中年”が最強の生存戦略になり得るのか。そのヒントを探った。
◆過酷な競争社会を生き残るために必要なのは…

会社組織はポジション争いの場だ。年齢が上がるに従い椅子の数が減るピラミッド構造の会社組織では、単純な実力だけで生き残っていくのは難しい。そんな過酷な世界をサバイブするために必要なのが、「推され力」だ。

「『この人のためなら一肌脱ごう!』と応援されて、自然と周りに人が集まる……そんな“推しオジ”を目指すことこそが、中年男性にとって最強の生存戦略なのです。推しオジは、いわゆるイケオジや仕事をバリバリこなす有能なリーダーとも少し違います。むしろ仕事ができずとも『この人が困っていたら力になろう』と助けてもらえる人です」

そう強調するのは、外資系企業の営業として「世界2位」の個人売り上げ成績を築いた、作家の和田裕美氏だ。

「マーケティングの世界におけるロイヤルカスタマー理論によると、売り上げの8割を占めるのは、わずか2割のコアなファン層。そしてさらに上位4%の少数精鋭の“信者”たちは、顧客の立場を超えて、自ら率先して商品を布教する『アンバサダー』のような存在になるんです」

◆社内に4人つくれば一生安泰

この考え方は、社内の人間関係にも応用が可能と続ける。

「個人の能力を上げるのには限界がありますが、全力であなたのために力を貸す人が1人いれば仕事効率は2倍になる。重要なのは、全員に好かれる必要はまったくないこと。もし100人の会社なら、たった4人の熱烈なファンをつくればよいのです」

もちろん推しオジへの道は容易ではない。しかし、目指すことは十分可能だ。小誌が実施した20〜30代会社員2000人を対象にしたアンケートの結果、5人に1人は「社内に推しオジがいる」と回答した。意外にも推しオジは身近に存在するようだ。

では、若手はどのような人を推しオジと見なすのか。条件について聞くと、「相談に乗ってくれて頼りになる」「目線が近く話しやすい」「感情の起伏がなく機嫌がいい」という傾向が見えてきた。

「45歳くらいの先輩は、普段からおおらかな雰囲気の人なので、なんでも話しやすい。前に新企画の相談をしたら、『自信あるならやってみたら? 失敗してもリカバーできるでしょ』と軽いノリで背中を押してくれて。いい意味でテキトーなところが余裕を感じていい」(IT・30代男性)

「よく話す他部署の先輩(48歳)が推しですね。異動の悩みを打ち明けたら、自分の失敗談とかすごくアドバイスをくれて。今は他部署だけど、一緒に働いたら力になりたい」(メーカー・30代女性)

ふとしたコミュニケーションがきっかけで、推しオジへの道が開けるようだ。

◆“未来の上司”たちの好感度を上げておく

推しオジ化する効果は目先の利益だけにとどまらない。仮に出世コースを外れても、自分を追い越し出世した部下が引き上げてくれるなど、将来的に“御利益”を受けられるかもしれない。

「自分を“推し”として慕うファンが増えれば、窮地に追いやられたときに助け舟を出してもらえたり、ここぞの場面で加勢してもらえることも少なくないでしょう」(和田氏)

推しオジになることは、組織での生存確率を引き上げることなのだ。その秘訣について、和田氏は「仕事の能力ではない」と続ける。