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Mスポーツ部門による完全なホモロゲ・モデル

BMW 2002 ターボから12年後の1985年、E30型3シリーズをベースにした、初代M3がドイツ・フランクフルトで発表される。1988年にコンバーチブルも追加されたが、クーペはMスポーツ部門による完全なホモロゲーション・モデルだった。

【画像】小さなMの魔力 2002 ターボにM3、Z3 Mクーペ、1シリーズ Mクーペ 現行のM2も 全119枚

当時のモータースポーツで人気だったグループAカテゴリーでは、5000台以上の市販車を生産することが求められた。190クラスで活躍するメルセデス・ベンツを、モータースポーツ部門の技術主任、ポール・ロッシュ氏が放っておくことはなかった。


BMW M3 エボII(E30型/1988年/欧州仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

エンジンは、重い6気筒ではなく4気筒をチョイス。鋳鉄製M10型ユニットを土台に、排気量は2302ccまで拡大された。6気筒のM88/3ユニット用DOHCシリンダーヘッドが短縮して載せられ、4バルブ化により最高出力は自然吸気ながら197psを達成している。

このパワーは、ゲトラグ社製5速MTとLSDが受け止めた。ブレーキは大径化され、ボッシュ社製のABSも実装。サスペンションには、専用スプリングとアンチロールバーに加え、ボゲ社製ダンパーが組まれた。

ドアとボンネット以外専用のボディパネル

ボディは、2002 ターボ以上の変化を果たした。通常の3シリーズ・クーペと共通だったのは、ドアとボンネットのみ。太いタイヤを収めるべく、フェンダーはブリスター状に膨らみ、トランクリッドは高さを増し、リアスポイラーの気流が最適化された。

生産は1991年まで続けられ、進化を重ねつつ1万7000台以上がラインオフしている。今回ご登場願ったのは、超希少なエボII。ワークスマシンに準じた技術が投入された特別仕様で、通常のM3より10kg軽く、英国には50台しか届けられていない。


BMW M3 エボII(E30型/1988年/欧州仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

S14型4気筒エンジンは高圧縮化され、ECUの設定も異なり、最高出力は222psまで上昇。0-97km/h加速を6.7秒でこなす、鋭さを得ていた。ウインドウガラスは薄肉化され、アルミホイールは16インチを履く。

モダンで高品質なインテリア

インテリアは、ホモロゲ・モデルと思えないほどモダンで上質。シートはチェック柄のファブリックを交えた、ハーフレザーで包まれる。人間工学は完璧といえ、ドッグレックパターンの1速を選べば、スムーズなエンジンの積極性へすぐに夢中になれる。

レッドラインの7000rpm目掛けて意欲的に回り、排気音がキャビンを満たす。3000rpmから力強さが増す印象ながら、全域でリニア。パワーアシスト付きのステアリングホイールには、豊かな感触が伝わる。レシオは、公道に丁度いい。


BMW M3 エボII(E30型/1988年/欧州仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

理想的な重量配分も功を奏し、至って扱いやすい。確かなグリップ力で、うねるカーブをフラットに巡る。グレートブリテン島の傷んだアスファルトで飛ばしても、挙動は安定し落ち着きを失うことはない。

今回の例は、走行距離が16万kmを超えている。見事な維持状態のおかげで、胸が打たれるような体験だった。

E36型M3と同じ直列6エンジンのMクーペ

M3は1993年にE36型へ進化するが、1998年に生産が始まったのがZ3 Mクーペ。E36型3シリーズのプラットフォームを利用しつつ、リアサスペンションはE30型譲りのトレーリングアームを踏襲している。短い全長へ収めるための、解決策だった。

長いフロントノーズと、極端に短いリアエンド。新車当時は、ピエロの靴と呼ばれたこともあった。1940年代のBMW 328 ミッレミリアへ影響を受けたという曲線基調のスタイリングは、Z3へ通じるものの、存在感は別物だろう。


BMW Z3 Mクーペ(1998-2002年/英国仕様)    ジェイソン・フォン(Jayson Fong)

この容姿をまとめたのは、クリス・バングル氏。テールゲートを開くと、410Lの荷室が広がる。2シーターのMモデルとして、実用性も忘れていない。

エンジンは、E36型M3と同じ3.2L直列6気筒のS50B型。最高出力は前期型で320psを発揮したが、今回の例は後期型で325psを得ている。

この続きは、小さなMの魔力(3)にて。