【劇場版「牙狼<GARO> TAIGA」】最初に観てほしい作品に!雨宮慶太監督×北田祥一郎対談
2019年の劇場版『牙狼<GARO> 月虹ノ旅人』以来、約6年ぶりに雨宮慶太が原作・脚本・監督を務めた本作では、シリーズ第1作『牙狼<GARO>』の主人公・冴島鋼牙の父、故・渡辺裕之さんが演じてきた魔戒騎士・冴島大河の若き日の活躍が描かれます。
今回は、監督の雨宮慶太さんと、主人公・冴島大河を演じた北田祥一郎さんに、作品への思いや撮影の裏側について語っていただきました。
――シリーズ生誕20周年という記念すべき年に、ファン待望の最新作が劇場公開されることとなりました。制作決定までの経緯についてお聞かせください。
雨宮:昨年の6月、東北新社さんから「牙狼<GARO>」20周年に向けた新作映画の監督・脚本をお願いできないか」という依頼をいただいたんです。その際に出されたオーダーが、「若き日の冴島大河を主人公にした物語」と「四聖獣をモチーフにしてほしい」というものでした。
大河の若い頃のエピソードは、過去にも何度か構想はあったんですが、実現には至っていませんでした。でも、この20周年という節目の作品であれば、大河というキャラクターを通して、これまでとは違った新しいヒーロー像が描けるかもしれないと感じたんです。そう思って、監督・脚本をお引き受けすることになりました。
――北田さんは、「牙狼<GARO>」という作品をご存じでしたか?
北田:タイトルは以前から知っていましたが、実際に映像を観たのは、オーディションの前にシリーズの最初の数話をチェックしたのが初めてでした。
小さい頃に観ていた「仮面ライダー」や戦隊モノとは違った雰囲気で、激しいアクションに加えて、一見シンプルに見えるのにすごく奥深い物語がテンポよく展開していて……すごく印象的でした。本当に”見応えのある”、まさに「大人の特撮」という印象でしたね。
――今作で、冴島大河役に北田さんを抜擢した理由を教えてください。
雨宮:多くの方にオーディションに来ていただきましたが、キャスティングはかなり難航しました。最初はある程度キャリアのある俳優さんを中心に進めていたんですが、思うような人がなかなか見つからなくて、一度リセットして新人の中からも探してみよう、という流れになったんです。
その中で資料を見ていくうちに、僕が描いた大河のスケッチの”佇まい”や”立ち姿”に最も近かったのが北田君でした。アクションについては未知数でしたが、格闘技の経験があるということで「ケガはしにくいかもな」と(笑)。何よりも、彼であれば周りのスタッフも納得して、一緒に作品を作っていけると思ったことが、一番の決め手でしたね。
――北田さんは、出演が決まったと聞いたとき、どんなお気持ちでしたか?
北田:僕としてはあくまでオーディションのつもりで受けていたんですが、制作サイドではすでに「僕で行こう」という話が進んでいたようで……。後日「合格です」と連絡があったときは、嬉しさよりも”驚き”のほうがすごく大きかったです。
雨宮:オーディションというよりは、僕が直接会って、彼のことを確かめたいという気持ちで呼んでもらった感じでしたね。
――監督にお会いしたときの第一印象を教えてください。
北田:最初にお会いしたときは、ちょっと”怖そうな方”という印象がありました。
「命を懸けて作品づくりをされているクリエイターなんだろうな」というのが第一印象で、今でもそのイメージは変わっていないかもしれません。でも、「この人についていこう」と決めていましたし、監督を信頼して撮影に臨ませていただきました。
渡辺裕之から受けた印象をもとに、北田なりに演じた大河
――雨宮監督が今作に込めたテーマについてお聞かせください。
雨宮:今回、テーマとして掲げたのは「家族愛」でした。
ただ何となく入れるのではなく、しっかりと”家族愛”を主軸に据えた作品にしたかったんです。アクションがあって、後味としてそれが感じられる――というレベルではなく、登場人物たち全員が”家族に対する情”を抱えながら物語が進んでいくような、そんな構造にしたいと思っていました。
また、四聖獣をどう物語に絡めていくかを考えながら、脚本も書かせていただきました。
――長く続く「牙狼<GARO>」シリーズだからこそ、これまでのファンを裏切らない作品づくりも大事な要素ですよね。
雨宮:”初めて観る人にもわかりやすい「牙狼<GARO>」”というのが今作のテーマのひとつでしたが、同時に、20年間応援してくださっているファンの方々をないがしろにすることは絶対にできないという想いがありました。
やはり、そうしたファンの皆さんがいてこその「牙狼<GARO>」ですし、彼らが観たときに心に響く要素をきちんと映画の中に入れておかないと、逆に”牙狼らしさ”が薄れてしまうと感じたんです。長年観てくれている方だからこそ伝わるセリフやシーンもあると思うので、そうした部分は特に大切にしました。
――監督は今作の主人公である冴島大河を、どのように描こうと考えたのでしょうか?
雨宮:大河は、もともと鋼牙にとっての”父性の象徴”として登場していたキャラクターです。
今作でも、その視点は若き頃からすでに持ち合わせている、強く芯のある若者として描きたいと考えました。そして、僕自身が理想とする”かっこよさ”を、大河というキャラクターを通じて追求させてもらいました。
――北田さんは、大河のどんな部分を大切にして演じようと考えましたか?
北田:最初に、渡辺裕之さんが演じている大河を観たとき、「かっこよくて、強くて、優しい人だな」という印象を受けました。
なので、今作でも観てくださる方に「大河はそういう人物だ」と思ってもらえるように、その三つの要素は特に意識して演じました。
また、「かっこよくいるために、大河はどうすればいいか?」ということを常に考えながら演じていました。あとはもう、とにかく現場で自分が担うべき役割に毎日一生懸命向き合っていた、という感じです。周囲の方々に支えていただきながら、一つひとつのシーンを全力で演じさせていただきました。
――撮影現場では、監督からどのようなディレクションがありましたか?
北田:「揺るぎなく」という言葉を、すごくよくかけていただきました。あとは、細かいところの指導が多かったですね。「もっとアゴ引いたほうがいいよ」とか(笑)。
雨宮:そうですね、そういう細かいことをよく言っていました。鋼牙役の小西(遼生)にも同じように「アゴ引いて」って言っていましたし、渡辺さんにも全く同じことを言っていたので(笑)。ただ、そうした細かい点は、完成した映画を観ないと伝わらない部分でもあるんです。こちらとしては、それぞれの俳優の”かっこよさ”を把握したうえで撮っているので、素直に演じてもらえれば良い画になると信じていました。
――「牙狼<GARO>」といえば、スタイリッシュでダイナミックなアクションシーンが見どころです。今作でのこだわりをお聞かせください。
雨宮:もちろん、CGによる合成も多用していますが、今作では特に”ボディアクション”に特化した映像にしたいと考えていました。そのため、アクション監督の鈴村(正樹)さんには「アナログでの肉体表現を重視してほしい」とお願いしました。結果として、シリーズの中でも特に”アナログなアクション表現”が多くなったと思います。身体をフルに使ったアクションが多いからこそ生まれる迫力が、この映画にはあります。そして、その分、クライマックスでのCGを使ったシーンがより一層際立つだろうという計算もありました。
撮影の合間も突き詰めた、徹底的なアクション作り
――北田さんは、大河をより魅力的に見せるために、どのような点に気を配って演じましたか?
北田:とにかく「かっこよく見せる」という点は意識していました。特に、頭上に刀の切っ先で円を描いて鎧を召還する――いわゆる”決めポーズ”は、何度も撮り直しを重ねました。
雨宮:あれはもう、できるまでとことんやりましたね(笑)。
北田:渡辺裕之さんの動きも参考にさせていただきましたが、単に真似をしてしまうと、自分が演じる意味がなくなると感じたんです。
だからこそ、自分なりの”かっこいいポーズ”を探して、突き詰めていきました。
――魔戒導師・吹奇を演じた神嶋里花さんも、印象的な演技をされていました。
雨宮:神嶋さんは、特に”表情”がすごく良いんですよ。そこをしっかり出せれば、この映画は成立すると考えていました。
彼女の表情に支えられているシーンも多くて、観た人はきっと、吹奇の表情に一番感情移入するんじゃないかなと思います。
北田:彼女は年下なんですが、現場にいるだけで場の雰囲気がパッと明るくなる存在でした。僕自身も、彼女のことを”吹奇”として撮影以外の時間もずっと見ていたので、本番でも自然体のまま、大河と吹奇の関係性を演じることができました。
――冴島大河と激しいバトルを繰り広げる、蛇道役の瀬戸利樹さんの演技も素晴らしかったです。
雨宮:瀬戸君は、蛇道というキャラクターに対して「しっかりとした理由があって闇落ちした」という空気感を、自分なりに表現してくれました。”映画の中の悪役”として、きちんと成立する芝居をしてくれたと思っています。ただ、キャスティング時には「アクションはほとんどないよ」と伝えていたので、「話が違うじゃないか」って思ってるかもしれません(笑)。「手下がたくさんいるから、アクションはそいつらがやってくれるよ」って言ってたんですけど、大河が全員倒しちゃったので(笑)。
北田:(笑)
雨宮:しかも、あれだけ時間をかけてた衣裳を着て現場に来ると、もう降りられないんですよね(笑)。最終的には腹をくくって頑張ってくれました。ただ、あの重い衣裳でのアクションは本当に危険だったと思います。剣もほとんど金属製の本身でしたから、相当大変だったはずです。よくやってくれたと思います。
――北田さんは、瀬戸さんとの殺陣について事前に話し合ったりしたんですか?
北田:本番が始まる前に、約1か月ほどアクション練習の期間があったんですが、それでも正直、不安が大きかったんです。なので、撮影中もちょっとした休憩の合間に「練習付き合ってください」って瀬戸さんにお願いして、2人でアクション部の方にチェックしてもらいながら、何度も練習しました。瀬戸さんは先輩なんですが、何度も快く練習に付き合ってくださって……本当に感謝しています。おかげで、安心して撮影本番に臨むことができました。
――現場の雰囲気はいかがでしたか?
雨宮:前シリーズから継続して参加していたのは、実は照明部だけなんです。キャストもスタッフも、ほとんどが新しいメンバーでした。だからこそ、過去の「牙狼<GARO>」のスタイルにとらわれすぎず、普通に穏やかな現場にしたいと思っていました。
北田:僕は今回が映画初主演で、映像の現場経験もほとんどない状態だったので、他と比較することはできないんですが……。でも、アクションシーンではアクション部の皆さんが、芝居の面では監督やカメラマンさんが本当にしっかり支えてくださって、とても良い雰囲気の中で撮影に臨めたと感じています。
雨宮:撮影チームとしては、大きなトラブルもなく、苦労は少なかったんじゃないかな。雨で流れたり、大けがで中断ということもなかったし。ただ、現場を止めないための工夫や苦労は多かったですね。台本にあったシーンを現場で全部変更したり、丸ごとカットしたりと、柔軟に対応しながら撮影を進めていきました。そこが一番大変だったところかもしれません。
雨宮慶太が「今までで一番愛おしい」と語る作品に
――完成した映像をご覧になって、率直な感想をお聞かせください。
雨宮:僕がこれまで手がけてきた作品の中で、一番”愛おしい”と思える映画になった気がしています。自分でも繰り返し見返しているほどです。ものすごく新しい映像表現をしているとか、そういうわけではないのですが、僕がこの作品に込めたメッセージや想いが、きれいに映画の中に収まった実感があります。「ちゃんと伝えたいことが形になった」と思えるのは、なかなか得られない貴重な感覚です。
もちろん、そこには自分の努力だけでなく、チームの力、そして”運”も大きく関わっていたと思います。そういったいろんな要素が積み重なってこそ、この映像が完成した。そう感じています。この作品を作れたことを、心から良かったと思っています。
北田:僕は、撮影中はとにかく一生懸命で、完成した映像を見たときに初めて「こうなっていたんだ」と驚きました。自分が出演している作品って、つい「ああすれば良かったな」とか「ここ、もっとこうできたかも」と思いがちなんですけど、この映画に関しては、冒頭5分でそういった感情が全部吹き飛びました。もう完全に映画の世界に入り込んでしまって、「これは純粋に面白い!」と、お客さんの目線で楽しめたんです。それだけ完成度の高い作品になっていると思います。
――20周年を迎えた長寿シリーズの中で、この劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』はどのような位置づけの作品になったとお考えですか?
雨宮:今作は、予備知識がまったくなくてもストーリーが理解できて、しっかり楽しめる内容になっています。だからこそ、「これが『牙狼<GARO>』だ」と、まっすぐに言える作品になりました。これまで「タイトルは聞いたことあるけど、シリーズが多すぎてどこから見ればいいかわからない」と言っていた人たちに対して、やっと自信を持って「まずはこの作品を見てほしい」とおすすめできる一本ができたと思っています。
そして、この『TAIGA』を見て「面白い」と感じてもらえたら、きっと他のシリーズ作品の中にも、気に入ってもらえる作品が見つかるはずです。その”入口”として、最適な作品に仕上がったと感じています。
――今後、北田さん演じる大河が息子の鋼牙にどうバトンをつないでいくのか、気になる方も多いと思います。
雨宮:今回の作品は、北田くんでなければ成立しなかった部分が非常に大きかったです。キャラクターというのは、役者とスタッフの力で作り上げていくものですが、大河という人物に関しては、まず”演者ありき”で描いていった感覚があります。できれば、この1作だけで終わらせずに、続編として物語をつないでいける展開ができれば最高ですね。とはいえ、まずはこの映画がヒットしなければ、次につなげる話はできません(笑)。
僕としては、”牙狼史上最大のヒット作”になってほしいと願っていますし、そうなる予感もしています。ファンの皆さんからの反応もとても良いですし、「見ようか迷っている」という人にも、「絶対にいい作品だから観てほしい」と、自信を持ってオススメできる内容になりました。「まずはここから『牙狼<GARO>』の世界に触れてください」と、声を大にして言いたいですね。
北田:僕としても、大河というキャラクターで今後も「牙狼<GARO>」の世界に関わっていけるなら、とても嬉しいです。でも、それもすべてはこの映画の評価次第なんですよね(笑)。なので、ぜひ多くの方に劇場でご覧いただきたいと思っています。アクションシーンの迫力も、劇場の大きなスクリーンでこそ感じられるものですし、物語の魅力もより深く伝わるはずです。この映画をきっかけに、多くの方に「牙狼<GARO>」の世界を知ってもらえたら、本当に嬉しいです。
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