香りが四次元の映画体験を創る ポップカルチャー と融合した米フレグランス企業の新マーケ戦略

記事のポイント 米フレグランス企業のセントバードが映画「I Know What You Did Last Summer」と連携し、香りで映画体験を拡張する新たな試みを実施した。 同社は過去18か月で複数のポップカルチャー作品と提携し、香りを通じた顧客体験を強化している。 香水とカルチャーの交差により、ブランドとインディーブランド双方に新しい価値を創出している。
最近では、新しいフレグランスセットのローンチイベントとして、映画「I Know What You Did Last Summer」の事前上映会で「香りとともに観る上映会」を開催した。
映画館全体を包む香りの演出
ユニオンスクエアのリーガルシアターで行われたこの上映会では、編集者、ブランド関係者、長期加入者らが招待された。上映中、セントバードと「I Know What You Did Last Summer」のコラボレーションによる限定フレグランスセットの香りが劇場内に拡散され、観客は五感で映画を体験することができた。
この限定セット(35ドル:約5600円)は、スラッシャー映画のムードに合わせて選ばれた香りで構成されている。内容はアルキストの「シドニーロックプール(Sydney Rock Pool)」、マンセラの「フレンチリビエラ(French Riviera)」、ビナウラルの「スーパソリッド(Supersolid)」、コモディティの「モス+ボールド(Moss+ Bold)」、シルク・ドゥ・ソレイユの「ロー ドゥ パルファム(L’eau de Parfum)」で、ブランドのECサイトで販売されている。このセットはソニー・ピクチャーズとの公式コラボレーションだ。
「ソニー・ピクチャーズもセントバードと同様、マルチセンサリーで拡張されたエンターテインメントという考え方を信じている」と、セントバードのCMOであるエレナ・レキュエ氏は語る。「映画鑑賞体験は、嗅覚のレイヤーを加えることで高まり、四次元的な体験に進化する。ソニーが香りのイベントに関与するのは今回が初めてだ。」
映画内の特定のシーンは、このフレグランスセットに含まれる5種類の香りと対応していると、セントバードの統合マーケティングディレクターであるブリトニー・ジャクソン・モーズリー氏は説明した。なお、この映画は1997年のカルトクラシック映画のリメイクであり、今回の2025年版ではマデリン・クラインとチェイス・スイ・ワンダースが主演を務める。
ポップカルチャーとの連携で新たな顧客体験を創出
過去18か月でセントバードは、ポップカルチャーの象徴的な瞬間とマーケティングを結びつける動きを強化してきた。マーベルの「アイアンハート(Ironheart)」や「アガサ・オール・アロング(Agatha All Along)」、Apple TVの「パームロワイヤル(Palm Royale)」、ABCの「ザ・バチェラー(The Bachelor)」とのパートナーシップを展開している。
たとえば「ザ・バチェラー」では、シリーズでおなじみのバラに着想を得て、男女向けにローズ系の香りをキュレーションしたほか、初デートやハネムーンといったロマンチックなシーンごとに香りを提案した。「我々は各パートナーシップを通じて、香りという言語で顧客と新しいユニークな対話を生み出している」とジャクソン・モーズリー氏は話す。
このようなコラボレーションは、セントバードと提携する小規模なインディーブランドにとっても新たなチャンスをもたらしている。「あるインディーブランドがマーベルと直接提携することは想像しにくいが、セントバードを通じてマーベルやディズニー、『ザ・バチェラー』と並ぶ場を得ることができる」とレキュエ氏は語った。
「香水業界は常にファッションと密接に結びついてきたが、我々はエンターテインメントやカルチャーとの接続により大きな可能性を見ている」とレキュエ氏は続けた。また、この香水とポップカルチャーの交差点は、「顧客に夢を見させ、スクリーン越しに香りを感じさせる」とジャクソン・モーズリー氏は強調した。
[原文:How Scentbird scented a movie for its latest marketing activation]
Sara Spruch-Feiner(翻訳・編集:島田涼平)
