「ご飯にかける」だけじゃもったいない…!意外に合う「ちりめん山椒」おつまみレシピ…そうめん、バゲット、温泉卵も

『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。連載第11回の「小満」編「「カレーのお供」がいきなり主役に…!おつまみレシピ「塩ラッキョウ」をおいしくつくる「意外なポイント」」に続く「 芒種 」編をお楽しみください。
6月に出回る実山椒で、ちりめん山椒を手作りする
6月は手作り好きにとって特別な季節です。1年のなかでもこの時期にしか出回らない野山の恵みが立て続けに登場してくるからです。新しょうが、らっきょうに続いて、わらび、梅、赤じそ、新にんにく……と、保存食になる素材が目白押し。
69歳のオイラですが、今週はらっきょう漬け、来週は梅干しの仕込みと、毎週末は大忙しです。
そんなか、スーパーの店先に山椒の実が並び始めました。古くからの生活暦・二十四節気では「芒種」(ぼうしゅ)の頃が実山椒の目印です。穀物の種をまく時期ということが本来の意味。ちょうど田植えどきに遭遇する美しい緑色と鮮烈な香気。まさに緑の宝石です。
実山椒は5月下旬から、6月のほんのいっときにしか出回りません。柑橘系で、和歌山県の有田川流域や、高知県、兵庫県の丹波篠山など、寒暖差のある気候の土地が代表的な産地となっています。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」という諺があります。身体は小さくても、その能力はあなどれない、というたとえにもなっているヤツです。実際、新鮮な実山椒を口にすると、唇はしびれ、香りが脳天を突き抜けます。これがクセになるのです。
オイラはこの「実山椒」を1年じゅう欠かしません。5月末から6月のこの時期に塩ゆでし、あく抜きしたものを1年分冷凍保存しているのです。下処理に手間はかかりますが、冷凍することで、あざやかな緑の実のまま保存することができるので、例年2kgは仕込んでいます。
「ちりめん山椒」の作り方
なぜ、1年分を仕込むかといえば、それは「ちりめん山椒」を通年で手作りするためです。はい。イワシの稚魚である「しらす」と実山椒の佃煮ふうですね。もともと関東では浜ゆでタイプのしっとりした「しらす」が主流で、干したタイプは「しらす干し」と呼ばれてきました。
そのしらす干しをさらに乾燥させたのが、「ちりめんじゃこ」です。しらす以上に、うまみが凝縮されたのが、ちりめんじゃこなのです。
ちりめん山椒の作り方ですが、その炊き方自体は簡単です。ちりめんじゃこを塩抜きしてから、だし、酒、薄口しょうゆ、みりんで煮含めるように炊くだけです。
ただし、仕上げに加える実山椒の仕込みには手間がかかります。実山椒の軸を枝からひとつずつ丁寧にはずし、あく抜きし、保存しておかなければならないからです。こうした処理をした実山椒の市販品はなかなかありません。仕込みが面倒な方は、塩漬けした実山椒の瓶詰めか、実山椒の青煮などの市販品を使うのがおすすめです。
【仕込み編】

1)実山椒は軸を5mmほど残し、枝からひとつずつはずしていく。
2)はずした実山椒はよく洗い、水に1時間ほどさらしたうえで、沸騰した湯で5分ほど塩ゆでする。※塩の量はテキトーですね。実山椒100gなら小さじ(5g)の半分くらい。また、オイラの経験では、炭酸水でゆでると色があざやかに保てる気がします。
3)塩ゆでした実山椒は水に半日ほど浸けてあく抜きする。その後は、ザルに上げ水けがきれるまで置き、ジップロックなど冷凍保存袋に入れ冷凍しておく。※冷凍保存するときは、しっかり空気を抜いて保存しましょう。
4)ちりめんじゃこは、熱湯で塩抜きする。ボウル付きのザルに入れ、熱湯を注いで30秒ほどかき混ぜてから水にさらす。水けがきれれば準備完了。※今回の分量は200gです。ちりめんじゃこは、しっかり乾燥された「上乾(じょうぼし)」タイプを求めましょう。
【調理編】
1)鍋に塩抜きしたちりめんじゃこ200gを入れ、だし汁1カップ(200ml)、酒50ml、薄口しょうゆ小さじ2(10ml)を加え、中火にかける。※だし汁は、市販のだしパックでとっています。
2)ちりめんじゃこに、だし汁を回しかけながら、中火で煮含めるように5分ほど炊く。
3)鍋に下処理した実山椒100gほどを加え、やさしく混ぜながら2〜3分炊く。最後にみりん大さじ1(15ml)を加え、やさしく混ぜてから火を止める。これでちりめん山椒の炊き上がり。※だし汁がなくなるまで炊く必要はありません。甘めの味がお好みなら、みりん大さじ2(30ml)でもよいと思います。
4)火を止めた鍋のちりめん山椒をザルに上げ、汁けをきる。
5)ザルに上げたちりめん山椒は、30分ほど天日干しし、風味をつける。
これで出来上がり。※経験上、1週間以内に食べきりましょう。もしくは、小分けして冷凍しておきましょう。冷凍しても風味はあまり落ちません。個人の感想ですが。

酒肴からバゲットまで…応用範囲が広い「ちりめん山椒」
それにしても、なぜ「ちりめんじゃこ」なのか?
カタクチイワシなど、イワシの稚魚を浜ゆでし、天日干しすると、小魚は「くの字」形になります。そんな「雑魚」(じゃこ)をセイロ(網状の干し板)に広げて天日干しする様子が、でこぼこのある生地「縮緬(ちりめん)」のように見えるからとの説があり、「ちりめんじゃこ」と呼ばれているようです。
漁期は春と秋で静岡県沿岸、愛知県沿岸、瀬戸内海産などのものが特に有名ですが、オイラの好みは小ぶりな鹿児島や宮崎産のものですね。カタクチイワシの稚魚は、南の海から北上しながら成長していくからです。
関西では、「じゃこを炊く」という言葉までありますが、実際、オイラも月に1回はちりめんじゃこを実山椒とともに炊いているのです。ただし、一般的なちりめん山椒のような、佃煮ふうの甘辛い味付けにはしていません。薄味のだしで煮含めるように炊き、実山椒と合わせるような作り方です。

砂糖はまったく使わないので甘くなく、酒のつまみとしても絶品となります。もちろん、ご飯の友にもなりますし、そうめん、温泉卵、さらにはパンや、バゲットにのせてもおいしいのです。そうなんです。我が家の食卓では、あらゆる場面に登場してくるのです。まさに「ちりめん山椒依存症」といった状態です。
長期間の保存を考えなければ、薄味でこそ、ちりめん山椒の魅力が際立ちます。甘辛い京都のお土産とは別物の、滋味深くも山椒の香りが鮮烈なちりめん山椒が作れるのです。
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文・写真/沢田浩
さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。


