入学卒業式など式典に「ジレ」はアリ?ナシ? ママたちの論争をスタイリストはどう見るか

◆卒業・入学式などセレモニーに「ジレ」はアリか?
今、Threads(SNS)を賑わせているのが「卒・入式に着物がダメって思ってる人いるんだ…流行りとはいえジレが式典に相応しいと思ってる人いるんだ…モヤモヤモヤ」という投稿。この投稿を見た人からは「ジレを買ってしまったけど卒園式にジレってダメなの?」「ジレを着ていくつもりだけど常識のない人だと思われる?」など心配する声が相次いでいます。
冒頭の投稿をした人のコメントをさかのぼると、「卒・入式を終えてから数十年」で「ただの独り言でございます」とあり、現役で卒入学式に出席している人たちよりもひと回り上の世代であることがわかります。数十年前は卒入学式にジレはナシだったと思うので、とても常識的な方なのだと思います。
さらにこの論争に拍車をかけたのが、別の方が投稿した「コサージュは私もつけない方が良いかと…主役はお子様ですしね」でした。「ジレもコサージュもダメ?」「ここまで子供を育ててきた親だって主役」など様々な意見が飛び交っています。
◆「セレモニーはジャケットでなくてもいい」派が54%
ユニクロなどを運営するファーストリテーリンググループのPLST(プラステ)が、全国の保育園・幼稚園〜高校生の子ともがいる20〜59歳のママ500名を対象に実施したインターネット調査(調査日:2025年1月23日〜24日)によると、
「セレモニー服はカジュアル化していると思う」77.0%、
「セレモニーの際にはジャケットを着用しなくてもいいと考えている」54.4%
という結果でした。半数以上の人たちが卒入学式にジャケットを着用しなくてもよいと思っていることがわかります。
一方で、約9割の人がどこまでカジュアルにしていいかわからないと回答しています。記念すべき日にマナー違反になりたくない気持ちがあることもわかります。
◆セレモニーでジレを着る時のポイント
学校や地域によって雰囲気が違うので、ひとまとめにして語るのは難しいのですが、私はジレもコサージュもアリだと考えています。
ツイード素材のジレを選ぶ、キャンディスリーブなど華やかなデザインのブラウスにする、コサージュやブローチをプラスするなど、着こなしにひとつセレモニーらしいポイントがあると◎。
あとは、全身で使う色を少なくしたほうが上品な印象になると思います。ジレを着るときは、首元から少しブラウスが出ている方が素敵に見えます。スタンドネック、フリル付き、ボウタイなど首に立ち上がりのあるデザインのブラウスがおすすめです。ここまで洋装の話ばかりでしたが、お着物も素敵ですよね。
◆時代によって常識やマナーは変わる
歴史的な出来事と共に、人々の装いも変化してきました。1868年の明治維新後、政府は一刻も早く欧米に並ぼうと洋服を軍・警官・駅員など公職に就く者の制服としました。それでもなかなか一般の人には広まりませんでした。日本人が洋装を日常的に着るようになったのは大正時代になってから。1923年に起こった関東大震災がきっかけだったと言われています。
大阪で誕生した庶民的な簡易服「あっぱっぱ」は女性の普段着として流行しました。ちなみに江戸時代はお葬式に白を着ていくのが一般的だったそうで、お葬式=黒が常識となったのは洋装が広まってからのことだそうです。
2011年の東日本大震災後は、フラットシューズで通勤する人が増えたと言われています。それまで通勤といえばヒールのパンプスが一般的でしたが、災害時に電車が止まる経験をして、今はスニーカーやリュックで仕事に行く人も多くいます。式典へ参加する際も過去にはヒールのパンプスが常識でしたが、今はフラットシューズの人が多いのではないでしょうか。