HuaweiやSMICなどの中国企業が半導体開発力を強化するため、TSMC社員に移籍を打診していることが報じられました。実際に、TSMCの元社員はHuaweiから「TSMCの3倍の給与」を提示され、執拗(しつよう)な勧誘を受けていると証言しています。

Entre Taïwan et la Chine, la guerre des puces est une bataille des talents

https://www.lemonde.fr/economie/article/2024/11/01/entre-taiwan-et-la-chine-la-guerre-des-puces-est-une-bataille-des-talents_6369864_3234.html

Huawei trying to poach TSMC employees with 3X salary | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/tech-industry/huawei-trying-to-poach-tsmc-employees-with-3x-salary

アメリカの半導体輸出規制によって、中国では高性能半導体の入手が難しい状況となっています。この状況に対応するべく、中国では高性能半導体の国産化に向けた取り組みが続いています。例えば、Huaweiは世界最大の半導体生産企業であるTSMCや、高性能半導体の製造装置メーカーであるASMLの社員を引き抜いて研究体制を構築していることが報じられています。

Huaweiが中国の上海に広大なチップ機器の研究開発センターを建設中、すでにASMLやTSMCなどで働いていた多数のエンジニアを雇用 - GIGAZINE



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海外メディアのル・モンドの報道によると、Huaweiは人材紹介企業を介してTSMCの研究員に連絡を取り、Huaweiへの移籍を打診しているとのこと。この際、HuaweiはTSMC在籍時のおよそ3倍となる給与を提示しているそうです。

TSMCは機密保持のために従業員のアクセス可能な情報を細分化しており、各個人に情報が集中しないようにしています。このため、TSMCの技術を模倣するためには複数人の従業員を引き抜く必要があります。ル・モンドによると、台湾の調査局の捜査を逃れるために、Huaweiは「データ分析企業」などを装って求人活動を展開しているとのこと。TSMCの元研究員であるクロエ・チェン氏は「今でも3カ月に1度くらいの頻度でHuaweiへの移籍打診メールが届く」と証言しています。

海外メディアのTom's Hardwareは「半導体製造企業での実務経験のある人材を雇うことは、輸出制限の影響下にある中国で研究開発を促進するための1つの手段である。このため、HuaweiやSMIC、CXMT、QXICといった企業はTSMCやUMCの従業員に多額の報酬を提示して引き抜こうとしている」と指摘しています。

なお、HuaweiとTSMCを巡っては「Huaweiが販売するAI処理チップからTSMC製の半導体が見つかった」ということが報じられています。輸出規制の対象となっている半導体がHuaweiの手に渡った経緯は不明ですが、TSMCは問題発覚直後に中国企業「SOPHGO」への製品出荷を停止しており、SOPHGOが仲介役として取引に関与していた可能性が指摘されています。

「TSMCの半導体がHuaweiのAIチップに使われていた」という報道の直後にTSMCが中国企業「SOPHGO」への出荷を停止、SOPHGOが仲介して半導体を作らせていた可能性が浮上 - GIGAZINE