京王電鉄、全駅へのホームドア整備と自動運転設備導入を決定 2024年11月6日から工事着手

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京王電鉄株式会社は、2024年11月6日、京王線におけるホームドアおよび自動運転設備の整備工事を実施することを決定した。この決定は、本日開催の取締役会で承認されたもので、今後のワンマン運転の実施に向けた一環として位置付けられている。

京王電鉄はこれまで、ホームの安全性向上を目的にホームドアの設置を進めてきた。特に、1日あたりの乗降客数が10万人以上の駅や、国際的なスポーツ大会の会場近くの駅、さらにはホームが狭く輸送密度が高い井の頭線を優先的に整備してきた。しかし、今回の決定により、京王線全駅へのホームドア整備が進められることになった。

この整備にあたっては、バリアフリーの視点からも配慮がなされ、列車とホームとの間の段差や隙間を縮小する対策も同時に実施される。さらに、ホームドアの設置によってホーム上での安全性が向上するため、自動運転化の推進に向けた自動運転設備の整備工事にも着手することが決まった。

自動運転化工事の概要では、運転士が出発ボタンを押すだけで、列車が自動で加減速することが想定されている。具体的には、列車の起動や加速、速度制御、定位置停止を自動的に行うためのシステムが導入される。また、出発ボタンなどの必要な設備も整備される予定だ。

今回の工事にかかる事業費は、ホームドア工事が669億円、自動運転化工事が162億円の合計831億円と見込まれている。工期については、2024年度に工事に着手し、ホームドア工事は2030年代前半、自動運転化工事は2030年代中頃の竣工を予定している。

今回の整備工事は、京王電鉄の通期業績予想にも影響を及ぼすが、2025年3月期の業績への影響は軽微と考えられている。今後、必要に応じてさらなる情報を開示する方針だ。

京王線のホームドア整備と自動運転化の取り組みは、鉄道の安全性向上とサービスレベルの確保を目指し、持続可能な鉄道事業の実現に向けた重要なステップとなるだろう。

■工事概要
ホームドア工事:669億円
自動運転化工事:162億円
総額:831億円
工期:2024年度着手、ホームドア工事2030年代前半、自動運転化工事2030年代中頃予定