この記事をまとめると

■ドライバー不足への対策としてフルトレーラーが増えている

■現在は最長25mまでのトラックが走行可能だ

■フルトレーラーの特徴や必要な免許について詳しく解説

運転にはセンスと経験が必要

 新東名高速道路を走っていると、さまざまなトラックが走っている姿を見かける。ほとんどは大型トラックやセミトレーラーと呼ばれるトラクターがトレーラーを牽引するものだが、最近はフルトレーラーが走っている姿を見ることも増えてきた。

 フルトレーラーとは、大型トラックがトレーラーを牽引しているもので、大型トラック2台分の荷物が運べるトラックなのだ。

 最近はトラック輸送の荷物扱い量が急増しており、さらにトラックドライバーの高齢化に伴って人手不足も加速している。そこでひとりのドライバーがより多くの荷物を運べるように、と欧米で使われているフルトレーラーを導入することにしたのだ。

 そして、それまで最長で21mとしていた大型トラックの全長規制に対して、申請することによって最長25mまでのトラックが特定の道路を走行することが可能になった。

 車体が長いだけでなく、連結部分で折れ曲がるので意外と小まわりは利くようだが、セミトレーラーよりも長く、曲がり方も異なるだけに運転は難しそうだ。

 そのため、運転できるドライバーにも条件がある。大型免許、けん引免許を取得しているのは当然として、大型トラックの運転業務歴5年以上に加えて、けん引免許取得後5年以上の経験者は2時間の運転訓練を受けることで運転可能になる。または大型の運転業務歴が3年かつけん引免許取得後1年以上の場合、直近3年間の無事故無違反と12時間の運転訓練が必要、となっている。

 そう、セミトレーラーに乗っている熟練ドライバーのなかでも、限られたドライバーだけが運転することを許されたトラックなのである。それくらい大きく重い超大型トラックを運転するのは、センスと経験が必要なのだ。

追い越し行為は禁止されている

 ちなみに我々、一般の乗用車ドライバーも、このダブル連結トラックと一緒に走行する際には、注意する必要がある。

 全長が21mから25mもあるため、このトラックを追い越す際には注意が必要だ。普通車を追い越すより3、4倍は時間がかかるから、追い越しをする前には右側車線の前後のクルマとの間隔に十分な余裕があるか、確認してから車線変更する必要がある。

 以前は高速道路でも主に片側3車線ある路線だけで運行されてきたが、平成4年11月以降は全国の高速道路のほとんどが走行可能になるなど、拡充されている。

 逆に、このダブル連結トラック自身は、追い越し行為が禁止されている。つまり高速道路上をもっともゆっくり走ることが義務付けられているのだ。また、ほかのダブル連結トラックと隊列走行することも禁止されている。

 それは前述のとおり、一般車両が追い越すのには時間がかかるため、2台が隊列走行していると追い越しする際に右側の前走車に追い付いてしまい、左車線に入ることができなくなってしまうこともあり得るから。

 目下の課題は、走るルートは確保されても、駐車スペースが少ないこと。新東名と東名高速以外はほとんどのPA・SAで1台しか止められるスペースがない。これでは利用したくても厳しい、と思うトラック事業者も少なくないのではないだろうか。まだまだ課題のある取り組みなのだ。