池松壮亮、主演作『本心』に「同時代の人たちと対話ができる映画になれば」大阪で5年ぶり舞台あいさつ
俳優の池松壮亮が10月31日、『月』『舟を編む』などの石井裕也監督がメガホンを取った主演作『本心』の大阪・難波のTOHOシネマズなんばで開催された先行上映会に登壇。池松にとって大阪での舞台あいさつは5年ぶりといい、終始リラックスした様子で会場に集まったファンと交流した。
上映後の余韻に浸る観客の前に登場した池松は「ハッピーハロウィン!」と元気にあいさつ。「映画を観てもらえるだけでも嬉しいですが、大阪に来て皆さんにこの映画を手渡しできて嬉しいです!」と喜びを語った。
前日から大阪入りし、ローカル番組への生出演や取材をこなした池松は「大阪の街を回りたい気持ちと、ドジャース戦があったので(気になって)なかなか取材に身が入らなかった(笑)」とジョークを交えながらも、しっかり大阪を満喫した様子。「お昼ご飯に道頓堀の今井さんへ行って、うどんすきを食べました。美味しかったです! そこでドジャースの優勝を見ながら……」と振り返りながら、「仮装した人もいて、とにかく人が多く、いつも活気があるが、いつも以上に活気に溢れていた」と大阪の街の賑わいに驚いた様子だった。
映画『本心』は、「ある男」などの作家・平野啓一郎の小説を原作に、AIで亡き母を蘇らせる青年・石川朔也(池松)を中心に、人間の心と本質に迫るヒューマンミステリー。
原作を読んだ池松が、石井監督へ映画化を提案したといい、「監督からすぐ、メールで『これはすごい、ぜひやろう!』と言われて一気に進んだ」と述懐。また「2020年、映画製作も世の中も止まって、こんな状態はいつまで続くのか? そんな中、原作に出会い、コロナは描かれてなかったけど、アフターコロナで起こるようなことがすべて描かれているような気がして、それくらい強いインパクトがありました。原作と合わせて映画を観てもらって同時代の人たちと対話ができる映画になれば良いなと思います」と真剣に本作への思いを語った。
さらに、AI監修の専門家たちから「コロナ以降、テクノロジーが急速に進化していて、この映画は昨年ならまだ難しく、しかし、来年だったら遅くなる。今年がベスト」とのアドバイスがあったことを明かし、急速に変化する時代背景に合った物語であることを強調。そのうえで「朔也の肉体、感情を通して少し先の未来を一緒に迷子になって、遠回りして生きる実感を伝えることが自分の役割かな」と思いを語った。
そして、母親役の田中裕子については「母が亡くなってからの再会と生活と別れ、全シーンしびれる記憶が残っています」とその圧巻の演技を称賛。客席とのQ&Aでは「キャストを決めるのに池松さんは意見をされたのか?」との問いに「キャストに関しては実は原作を読み終わったとき、なぜか母親だけは田中裕子さんが浮かんだんです。田中裕子さんといえば自分からすると伝説のような方でまさか自分が共演できるとは思っていませんでしたが、石井監督には伝えました」と念願のキャスティングだったことを明かしていた。
最後に「また大阪に戻ってこられて、うれしかったです。皆様の中に良い余韻が残って、何か生活に持ち帰っていただければなぁと思います」とあいさつ。終始リラックスした様子で、ハロウィン仕様となったポスターパネルと観客と一緒に笑顔のフォトセッションでしめくくった。(編集部・入倉功一)
映画『本心』は11月8日より全国公開