「自分の辛さを優先してごめんなさい」乳児殺害などの罪問われた女の裁判員裁判 告白した『赤ちゃんへの気持ち』=静岡地裁沼津支部
2023年5月、出産したばかりの子どもを殺害して海岸で焼き、遺棄した罪に問われている女の裁判員裁判で、2024年10月30日、女の精神鑑定をした検察側の医師の証人尋問が行われました。
医師は、女の発達障害について「直接、影響を及ぼしていない」と分析しました。殺人、死体損壊、死体遺棄の罪に問われているのは25歳の無職の女です。
起訴状などによりますと、女は2023年5月、静岡県沼津市内のインターネットカフェの女子トイレで、出産したばかりの子どもを窒息させて殺害し、沼津市の千本浜海岸でたき火の中に遺体を入れて焼き、損壊、遺棄した罪に問われています。
静岡地裁沼津支部で10月28日に行われた初公判で、女は起訴内容を認めました。裁判では女の注意欠陥・多動性障害「ADHD」の特性が、どの程度犯行に影響を与えたかが争点のひとつとなっています。
10月30日の証人尋問で検察側の鑑定人医師は、女のADHDの特性について「異論はない」とした上で「子どもを殺すしかないという動機形成には直接、影響を及ぼしていない」と指摘。「犯行は合目的に一貫して行なわれたもので、思考力・理解力に著しい減退はなかった」と分析しました。
10月29日の証人尋問で弁護側の鑑定人医師は、女は「ADHD」の特性があるとした上で「孤立出産により心身に大きなダメージが加わり、特性による衝動性が高まったことで総合的な状況判断ができなかった」などと分析していました。
10月30日に行なわれた被告人質問で、女は妊娠中にスマホで「赤ちゃんポスト」を調べたものの、静岡県から距離が遠く、お金がなかったために諦めたと供述。
弁護側から「赤ちゃんへの気持ちを教えてください」と問われ、「私の本当に身勝手な考えで、何の罪もなくお腹の中に来てくれた赤ちゃんに対し、父親が誰か分からないといっても、自分の子供には変わりなかったのに、いくらでも助けを求められる環境にあったかもしれないのに、何の答えを出すこともできず、最終的には命を絶ってしまい、酷いことを重ねてしまって、いくら謝っても、後悔しても、どうにもならないことはわかっているんですけど、ごめんなさいって、母親になれなくて、自分の辛さを優先してごめんなさいって思っています」と述べました。