引退発表の高市未来、晴れやかに報告「もう頑張れない」五輪3大会メダル届かず「本当に高い壁だった」コーチに転身
柔道女子63キロ級で五輪3大会連続出場の高市未来(30)=コマツ=が30日、現役を引退し、指導者の道に進むことを発表した。同日、都内で取材に応じ「本日をもちまして引退することになりました。長年ありがとうございました。現役生活を振り返ると悔しさも少しあるが、柔道をまた違う目線で勉強し、見ていきたい気持ちが強い。これからも日本柔道の発展に少しでも力になれるように頑張りたい」と晴れやかな表情で報告した。
高市は足技や寝技などを武器に、2016年リオデジャネイロ、21年東京、24年パリと3大会連続で五輪に出場。個人戦ではメダルに届かなかったものの、東京、パリでは混合団体戦で銀メダル獲得に貢献した。また、リオ、東京は旧姓の田代で出場した後、22年に元世界選手権代表の高市賢悟氏と結婚。今夏は高市姓で出場した。
パリ五輪の後は「まだやりたいかも」と進退について悩んだというものの、「10月に入ってから、少しずつ、やっぱりもう頑張れないなと。練習でももう一踏ん張りがないし、世界に挑戦するには難しいと思って今月初めに(引退を)決断した」と明かした。
3大会に出場しつつも個人戦でメダルに届かなかった五輪については「本当に高い壁だった」と高市。「でも、そこに向けて全てを懸けて挑んだので、すごく有意義な時間だったし、苦しいことも楽しいこともたくさんあったし、すごく貴重な時間だった。成功して終わりたかったが、そうはいかなかったので、そういった(悔しい)感情や経験も生かしていきたい」と振り返った。
今後はコマツでコーチを務めるが、「今までは自分自身のために一生懸命頑張ってきたので、人に伝えることが苦手だったが、(選手と)うまくコミュニケーションを取れるようにしたい。もう少し柔道を楽しみたいし、大きな視野を持って柔道を見ていきたい」と語った。
この日、所属を通じて引退を発表した高市は、東京・講道館で行われたウクライナチームとの交流事業にアスリート委員として参加。自国では柔道の練習すらままならない若手選手の練習相手を務めた。なお、引退会見は行わない。