米国連大使がイスラエル非難、「壊滅的なガザ人道危機に対応せず」
Michelle Nichols
[国連 29日 ロイター] - 米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は29日に開かれた国連安全保障理事会で、イスラエルはパレスチナ自治区ガザの「壊滅的な人道危機」に対応していないと指摘し、イスラエルに対し直ちに言動を一致させるよう要請した。
米国は今月13日付の書簡でイスラエルに対しガザ地区の人道状況の改善に向けた措置を30日以内に講じるよう要請し、措置が講じられない場合は軍事支援に影響が出る可能性も示唆した。
トーマスグリーンフィールド大使は「イスラエルがガザ全域、特に北部に食料や医薬品などの物資を搬入し、物資を配布する人員を保護しなければならないと米国は明確に伝えている」と述べた。
イスラエル議会は28日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内での活動を禁止する法案を賛成多数で可決。ガザ地区で深刻な人道状況がさらに悪化すると懸念が高まっている。
これを受けノルウェーは、イスラエルが国連や他の国際援助団体などによるパレスチナ人への人道支援を妨げることは国際法に違反していないか、国際司法裁判所の見解を求める国連総会決議案を提出すると発表した。
これに対しイスラエルのダノン国連大使は、UNRWAは「人道機関を装ったテロ組織の隠れみの」と改めて非難。「UNRWAがテロリストに隠れ場所を提供し続ける一方、イスラエルはガザ地区の人々に人道支援を届けるため懸命に取り組んでいる」と述べた。
トーマスグリーンフィールド大使は「ガザ地区への食料など生命の維持に必要な援助を提供するために、現時点でUNRWAに代わるものはない」とし、UNRWAの活動を禁止する法案に懸念を表明。ジャバリアを含むガザ全域でパレスチナ人を飢えさせようとするイスラエルのいかなる試みも拒否すると述べた。